Main story II
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日曜日。
なつたち三人は、とある図書館へと来ていた。
切島「頼むぜ、爆豪!」
爆豪「うっせーんだよ、クソ髪!」
『2人とも、静かにしなきゃ…っ』
なつがそう言い、周りを見ると静かにしてと言う視線が向けられていた。
切島「すんません!」
「威勢がいいねえ…」
おじいさんは苦笑いしている。
『こんな混んでると、他の人たちに迷惑かかっちゃうね…』
切島「なぁ、家じゃダメだったのかよ。」
爆豪「お前んちまで行ってられるか、めんどくせえ」
『じゃあ私の家なら…』
爆豪「んなもん、論外に決まってんだろ。」
声を抑えるなつと切島とは別で、爆豪はいつもどおりの声で答える。
切島「じゃあお前んちでも…」
『勝己の家だと、勝己が光己さんにつっかかって勉強進まないの。』
爆豪「ハァ!?突っかかってんのはババアだろうが。」
『もう、ババアなんて言わない!』
爆豪「……チッ、ちゃっちゃと終わらせるからな。」
切島「おう!......あ、すんません。」
切島の声に、また視線が集まり切島は居心地悪そうに小さくなった。
『けど、切島君って図書館と縁遠そうだね。』
切島「まぁな、静かな所ってのは……けど、林間合宿のために、勉強教えてもらわねえといけねえからな。」
爆豪「つーか、いちいち謝ってんじゃねーよ、バカか。
………あ、バカか。」
切島「バカじゃねーよっ?バカじゃねーけど、お前よりはバカだから教えてもらうんじゃねーか。」
『勝己が賢すぎるだけだよ。』
爆豪「一回しか教えねーからな、さっさとしろ。」
切島「おう!.....あ…」
気を抜くと切島は声の大きさが戻る。
地声の大きさにまた切島は小さくなった。
爆豪「いーからさっさと問題見せろや。」
切島「じゃあまず…これだな。」
『うん、私もそこの部分分かんなかった…』
切島は持ってきた教科書を開いて、二次関数の応用を指した。
切島「いや~、数学はさっぱりでよ…」
爆豪「んなもん簡単だろ……こうだよ。」
爆豪は少し考え、サラサラと答えを書くと切島はフリーズし、そのあと苦笑いした。
切島「いや、答えじゃなくて、答えの出し方を教えてほしいんだって。」
爆豪「答えなんて、まんま計算すりゃ出てくんじゃねーか。アホか。」
切島「いや、だからそのまんまがわかんねーんだって。」
爆豪「は?数学なんてまんま計算するだけだろーが」
切島「いやいや、だから計算のコツみてえなのを教えてほしいんだよ。」
爆豪「だから、この式に当てはめてやるんだよ。」
切島「違うんだよ、だからそれをわかりやすく……」
爆豪「だから、まんまかけたり足したりすりゃいいじゃねーか。」
爆豪は、何言ってやなんだコイツ。といった顔をしている。
『勝己は地頭がいいから……勉強で苦労してないから、理解できてないって事が理解できないんだよね……』
切島「なんてこった…」
『ねぇ、勝己。私たち凡人にも分かるように教えて?』
爆豪「………。
ここをバーッと計算してから、こっちをガーッて計算すりゃいいんだろが。」
切島「男らしい教え方だぜ……」
『あっ、なるほど!そう言う事だったんだね、だからこの場合は……………こう?』
爆豪「おう。」
涙ぐんでいる切島を他所に、なつがスラスラと問題を解くと切島は驚いていた。
切島「えっ!?月下、爆豪の今の説明で分かったのかよ!?」
爆豪「あぁ?それどういう意味だ!?」
眉を寄せる爆豪は、切島の態度を見てさらに眉間の皺を深くした。
爆豪「まさかてめェ……九九を教えろって言ってんじゃねーだろうな……?」
切島「九九くらいわかるわ!!」
『ちょっと…』
シーーーッ!!
周りを見ると、人差し指を口の前にして、静かにしろと促していた。
切島は、思わず今日一番の大声を出してしまい、顔を赤らめる。
爆豪「へっ、だせぇ。」
切島「お前が九九とか言うからだろーがっ!………すんません…」
切島がまた小さくなったとき、絵本を抱えた小さな男の子が、じーつと爆豪を見つめている。
爆豪「あ?なんだ、このガキ。」
『勝己、ガキはダメだよ。ボク、どうしたの?』
切島「ん?迷子か?」
なつと切島が心配して声をかけると、少年は首を振り爆豪を指差した。
「ゆーえーたいいくさいでゆーしょーしたのに、しばられてたおにーちゃんだよね?」
爆豪「あ?」
「どーしてしばられてたの?うるさかったから?としょかんでもうるさくするとしばられちゃう?」
『ぷっ…』
爆豪「うるせえ!!クソガキ!!!!テメェも笑ってんじゃねえ!!」
切島が止める間もなく、図書館に爆豪の怒号が響くと、少年は人生で初めて怒られたのか、目をうるっとさせた後、嵐のような泣き声が響き渡った。
切島「すっ、すんませんでしたぁー!!」
切島となつはあわてて逃げるように爆豪を図書館から連れ出した。