Main story I
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時は過ぎ、あっという間に職場体験当日。
相澤「全員コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用禁止の身だ。落としたりするなよ。」
芦戸「はーい!」
相澤「伸ばすな。はい、だ。芦戸。」
芦戸「はい」
芦戸は注意されて凹んでいる。
相澤「くれぐれも、体験先のヒーローに失礼のないように。じゃあ行け。」
「「はい!!」」
─────
山の中に佇む事務所。可愛い猫の壁に、PUSSYCATSと記載されている。
なつは扉を開けて中に入った。
マンダレイ「煌めく眼でロックオン!!」
ラグドール「猫の手 手助けやって来る!!」
虎「どこからともなくやって来る…」
ピクシーボブ「キュートにキャットにスティンガー!!」
「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」
『月下なつです!!よろしくお願いします!』
なつは早速ヒーローコスチュームに着替えて、四人の前に立った。
マンダレイ「さっ、まずはクエッション。」
『え?』
マンダレイ「ヒーローにとって本当に大切なものが何か。あなたには分る?」
『えっと………』
マンダレイ「1週間という短い期間で、その事をよく学んで帰って欲しいと私たちは思ってるの。」
マンダレイ「大前提を言っておくわね。
プロヒーローは国からお給金を頂いているので、一応公務員なんだけど…成り立ち故に、公務員とは何もかもが著しく異なるの。」
ラグドール「具体的な実務はねー?ヒーロー活動の基本は、犯罪の取り締まりっ!そして事件発生時には、警察から応援要請が来る!!地区ごとに、一括できてるんだよー!」
ピクシーボブ「逮捕協力や、人命救助等の貢献度を役所に申告。そして、専門機関の調査を経て、お給金が振り込まれる。基本、歩合制になってるの。」
マンダレイ「それからヒーローには、副業が許されてるの。公務に定められた当時は、一部で相当揉めたとも聞くけど…市民からの人気と需要に後押しされた名残りね。だから、副業をしているヒーローも多くいるわ。」
虎「だが、ヒーローは日々訓練!日々鍛錬だ!パトロール中といえども、それは変わらん。故に、我はお前の鍛錬を指導してやる。」
一気に情報が入った事で、なつは若干頭から湯気が沸いていた。
マンダレイ「じゃあ説明はここまでにして、パトロールね。」
『はいっ!』
ラグドール「資料を見ると、キャッツの個性は白眼と細胞活性!体育祭ではドーピングで短期間の筋力増強!」
ピクシーボブ「今回の職場体験中では常に2つの個性を発動させる事!」
『え?』
虎「筋繊維は、酷使することにより壊れ、強く太くなる。個性も同じだ。使い続ければ強くなる。即ち!パトロール中にも使い続ける事によって鍛錬を行う!!」
『成程…』
虎「返事はイエッサー!」
『イエッサー!!』
その後、パトロールに行きながらも山道のゴミ拾い。事務所に戻ると掃除、虎とのトレーニングを行いあっという間に日が過ぎた。
─────
そして、3日後の夜。
今日の勤務が終わり、着替えていると一件のメールが来ていた。
“江向通り4-2-10”
『…ここって、保須市………』
………飯田君…出久君も、何か事件に巻き込まれたのかな………
距離的にも力的にも自分は向かえない。
そう思い、なつはすぐに電話で警察に通報を入れた。
『…大丈夫かな………』
洸汰「………何がヒーローだよ…どいつもこいつも……」
ガタッ
『ん?』
洸汰「!!」
少年は、なつと目が合うと走って出て行った。
『マンダレイ!さっき男の子…』
マンダレイ「あの子ね。洸汰。私のいとこなの。」
『………洸汰くんは…ヒーローに否定的なんですね…』
マンダレイ「ん?」
『私の周りは、昔からヒーローになりたいって人ばかりで…私もですけど…この歳の子がそんな風なの
珍しいな…って思って………』
…勝己も出久君も、昔からヒーローごっこばかりして遊んでた………
なつがそう考えていると、マンダレイは少し寂しそうな表情になった。
マンダレイ「そうだね。当然世間じゃヒーローを良く思わない人も沢山いるけど……普通に育ってれば、この子もヒーローに憧れてたんじゃないかな…」
『ふ、つう………?』
ピクシーボブ「マンダレイのいとこ…洸汰の両親ね、ヒーローだったけど殉職しちゃったんだよ。」
『えっ……』
二年前、敵から市民を守って他界した事。
物心ついた子供には、親が世界の全て。
洸汰にとっては、“自分を置いて行ってしまった”のに対し、
ヒーローとしてはこれ以上ない程に立派な最期。“名誉ある死”。世間はそれを良い事・素晴らしい事と誉めたたえ続けた事についてマンダレイは話した。
マンダレイ「私らめことも良く思ってないみたい…けれど、他に身寄りもないから従ってるって感じかな。洸汰にとってヒーローは、理解できない気持ち悪い人種なんだよ…」
価値観の相違に、なつは言葉が出なかった。
『洸汰君はどこに…』
マンダレイ「分からないの…フラッとどこかに出掛けては、戻ってくる…」
干渉しすぎるのも良くない。苦しそうな表情をするマンダレイとピクシーボブを見て、なつは外へ出た。
………私の個性で、洸汰くんを探せる。
なつは限界を遠に超えている身体で個性を使い、洸汰の場所へと走った。
─────
『洸汰くん。』
洸汰「てめえ!何故ここが……!!」
『私の個性。人を探すの得意なの。』
洸汰「俺の秘密基地から出ていけ!」
『秘密基地かぁ、懐かしいなぁ。私も昔幼馴染とよく作ってたよ。』
そう言って座るなつは、日中の鍛錬でボロボロになっていた。
洸汰「だから出ていけって!」
『…う〜ん………少し、私もこの“秘密基地”で休んで良い?』
洸汰「職場体験とかはり切っちゃってさ…気味悪い。そんなに個性をひけらしたいかよ…」
『両親のこと…?』
洸汰「マンダレイか??」
『うん……流れで聞いちゃって………』
洸汰「頭イカレてるよみーんな………馬鹿みたいに
ヒーローとかヴィランとか言っちゃって……殺し合って…個性とか言っちゃって……………ひけらかしてるから、そうなるんだバーカ!」
洸汰は泣きそうになりながら叫んだ。
…私のお父さんとお母さんは、人を救う個性………笑顔で人々を救う…人々を笑顔にするために………
『私は、個性に対して色々な考えがあるから、一概には言えないけど…そこまで否定しちゃうと洸汰君が辛くなるだけだよ………』
洸汰「!!うるせえズケズケと!!出てけよ!!」
『ごめん、取り留めのないことしか言えなくて…秘密基地、みんなには秘密にしておくね。』
なつはそういうと、事務所へと帰って行った。
─────
翌日。昨日の事件はニュースとなっていた。
生徒3人が職場体験中にヒーロー殺しステインと遭遇。そこをエンデヴァーが助け、ステインは拘束されたという事だった。
なつは轟と電話をしていた。
『焦凍…昨日、大丈夫?』
轟「ああ、大丈夫だ。緑谷が、連絡できなかった事謝ってた。」
『そっかぁ、大丈夫なら良かったよ。アドレスだけ来た時すごくドキドキしちゃったから…』
轟「心配、してくれたのか…」
『そんなの当然だよ!友達じゃない!」
轟「……」モヤッ
『焦凍?』
轟「(モヤ?)………ああ、いや、なんでもない。」
その時、ラグドールとピクシーボブが部屋に入って来た。
ラグドール「さぁ!今日も行くよっ!パトロール!」
『あっ!はいっ!
じゃあまた学校でね!安静にね!また色々聞かせてね!』
轟「ああ。じゃあ。」
なつは電話を切った。
ピクシーボブ「恋…人…?」
ピクシーボブは青筋を立てている。
『…違います!!』
その日のトレーニングは、ピクシーボブは特に厳しかった。