Main story I
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「「「……………」」」
緑谷はボロボロで意識を失い、麗日は嘔吐しており、飯田は背中を摩っていた。
『お茶子ちゃん、ちょっとごめんね。』
なつは白眼で麗日を見て、細胞活性で指先だけをドーピングさせ、吐き気どめの点穴を突いた。
麗日「あれ…なおった!」
『良かった。』
飯田「月下君は個性二つ持ちなのか…」
麗日「助かったよ〜ありがとう」
三人はモニタールームに戻った。
上鳴「なんだよ…こりゃあ…負けた方がほぼ無傷で…勝った方が倒れてら…」
常闇「勝負に負けて、試合に勝ったというところか…」
蛙吹「訓練だけど」
緑谷は小型搬送用ロボのハンソーロボによって保健室に運ばれている。
爆豪「ハァハァハァ…(右…デクは読んでた…読んだ上で…訓練に勝つ算段を……そりゃつまり…ガチでやり合っても俺…完全に…デクに…)」
オールマイトは爆豪の方に手を置いた。
「戻るぞ。爆豪少年。講評の時間だ。勝ったにせよ負けたにせよ、振り返ってこそ、経験ってのは活きるんだ」
─────
モニタールーム
飯田、麗日、爆豪、なつは並んで立っている。
オールマイト「まぁ、つっても…今戦のベストは飯田少年だけどな!!」
飯田「なな!」
飯田は驚いていた。
蛙吹「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
オールマイト「んー、そうだな〜、何故だろうなぁ〜?わかる人!」
オールマイトが促すと、八百万が手を挙げた。
八百万「ハイ、オールマイト先生。それは飯田さんが一番状況設定に順応していたからです。
爆豪さんの行動は、戦闘を見た限り私怨丸出しの独断。
そして先程、先生が仰っていた通り、屋内での大規模攻撃は愚策。
緑谷さんも同様。
受けたダメージから鑑みても、あの作戦は無謀としか言いようがありませんわ。
麗日さんは、中盤の気の緩み。そして、最後の攻撃が乱暴すぎたこと。
ハリボテを核として扱っていたら、あんな危険な行為は出来ませんわ。
月下さんは、的確な判断をしていましたが、途中幾度か心ここに在らず。
常に気を張っていれば、もっと早くに対策ができていたはずですわ。
相手への対策をこなし、「核」の争奪をきちんと想定していたからこそ、飯田さんは最後対応に遅れた。」
飯田「ぐっ…!」ジーン
飯田は喜びで震えていた。
八百万「ヒーローチームの勝ちは「訓練」だという甘えから生じた、反則のようなものですわ。」
オールマイト「(思ってたより言われた!)
ま…まあ、飯田少年もまた、硬すぎる節はあったりするわけだが…まあ…正解だよ!くぅーっ!!」
八百万「常に下学上達!一意専心に励まねば、トップヒーローになどなれませんので!」
…八百万さんの言ってる事、正解だ…二人の事ばっか気にして…集中できてなかった…
オールマイト「よし!では場所を変えて、第二戦を始めよう!今の評価をよく考えて、訓練に挑むように!」
「「「はい!!」」」
その後、全ての対戦が終わり、はじめの集合場所へと戻った。
オールマイト「お疲れさん!!緑谷少年以外は
大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!
初めての訓練にしちゃ皆!上出来だったぜ!」
蛙吹「相湯先生の後でこんな真っ当な授業…何か……拍子抜けというか…」
オールマイト「真っ当な授業もまた私たちの自由さ!それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室にお戻り!」
オールマイトはダッシュで消えていき、一瞬にして遠くにいた。
上鳴「オールマイトすっげぇ!」
尾白「なんであんなに急いで…」
峰田「かっけぇ…」
オールマイトは走りながらチラッと爆豪を見る。
オールマイト「(爆豪少年………自尊心の塊………膨れきった心ほど脆いもの…先生として!しっかりカウンセリングせねば!!だが今は!!授業やってると時間ギリギリだぜ…シット!)」
─────
その後、着替えが終わり教室に戻るとすでに男子達は集まっていた。
切島「なぁ!女子も集まった事だし、みんなで訓練の反省会しねぇ?」
芦戸「いいね!やろやろー!」
その中でも、爆豪は普通に帰ろうとする。
上鳴「あれ、帰んの?爆豪!」
爆豪「チッ…」
切島「やろうぜー!」
麗日「そうだよ!私もノート取ってきたら参加するよ?」
爆豪「…」
麗日と上鳴は爆豪よりも先に廊下を出て、職員室へと歩いていく。
爆豪が扉を開ける前に、なつは爆豪の服を掴んだ。
『爆豪君!………』
爆豪「……」
………なんで声かければ………
爆豪と目が会い、泣きそうになり手を離すとそのまま歩いて行った。
蛙吹「今の間、何だったのかしら…」
なつが立ち尽くしていると、前の扉が開かれた。
緑谷「(はぁ…午後の授業すっぽかしちゃった…これは相澤先生に縛り上げられる…)」
切島「おお緑谷来た!!おつかれ!!」
緑谷「?」
切島「おつかれー!いやぁ、何喋ってっか、わかんなかったけど!アツかったぜおめー!」
瀬呂「入試一位の爆豪と互角に渡り合うなんてなぁ!」
芦戸「よく避けたよぉ!」
砂糖「1戦目であんなのやられたから、俺らも力入っちまったぜ!」
青山「エレガントには程遠かっ…」
芦戸「よく避けたよー!」
緑谷「えっえっええっ!」
緑谷が困っていると、切島は自身を指した。
切島「俺ぁ切島観児郎。今皆で訓練の反省会してたんだ!」
瀬呂「俺!瀬呂範太」
青山「僕は青山ゆ」
芦戸「私!芦戸三奈!よく避けたよー!」
蛙吹「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
砂糖「俺!砂藤」
緑谷「あの…その…」
峰田「オイラ峰田」
切島「どっから出てくんだよおめぇ」
青山「僕は青山優雅。キラキラが止まらない男だよ〜」
それを見て、後ろの方の席で机に片膝ついて座っている常闇。
常闇「騒々しい…」
飯田「常闇君!机は腰かけじゃないぞ!今すぐやめよう!」
耳郎「いいじゃんそのくらい。」
飯田「!!」
尾白「てか何その手」
飯田「君たち…偉大な先輩たちが使用して来た机を!蔑ろにする行為を看過する事はできない!」
常闇「騒々しい…!」
緑谷「(ブレないなぁ…飯田君)」
緑谷が飯田を見た時、泣きそうな顔をしたなつが目に入った。
緑谷「あっ…あの…」ガラガラ
その時、後ろの扉から上鳴と麗日がノートを持って来た。
上鳴「なぁ、麗日!今度飯行かね?何好きなん?」
麗日「おもち…!あれっ!デク君怪我治して貰え なかったの?」
緑谷「あ、いや…これは僕の体力のアレで…」
麗日「アレ?」
緑谷「あの、麗日さん…それより…かっちゃんは…」
麗日「みんな止めたんだけど…さっき黙って帰っちゃったよ」
緑谷は走って爆豪を追いかける。
なつはその姿を見ていた。
……出久君はすぐに追いかけられる…私にはできなかった…やっぱり、私じゃ隣は歩けないのかな……大好きだっていうこの気持ちは……
爆豪はゲートを歩いていた。
緑谷「かっちゃん!…………かっちゃん!」
爆豪は足を止め振り返る
爆豪「あ゛ぁ゛?」
緑谷「(母にも言ってない……秘密……)
これだけは…君には言わなきゃいけないと思って…!
僕の個性は…人から授かったモノなんだ…」
爆豪「あ゛?」
緑谷「誰からかは絶対言えない!言わない…でも
コミックみたいな話だけど本当で…!おまけに、まだろくに扱えもしなくて…全然モノに出来てない状態の、借り物で…だから…使わず君に勝とうとした…けど、やっぱり勝てなくてそれに頼った…!僕はまだまだで…!!
だから………いつか、ちゃんと自分のモノにして”僕の力”で君を超えるよ。」
爆豪「…」
緑谷「!!(騙してたんじゃないって言いに来たのに何を僕は)」
爆豪「何だそりゃ…?借りモノ…?わけわかんねぇ事言って…これ以上コケにしてどうするつもりだ
…アイツにも………なつにもあんな顔させて……
なぁ!?だからなんだ…今日俺はテメーに負けた…そんだけだろうが…そんだけ…!氷の奴見てっ!敵わねえんじゃって思っちまった…!!
クソ!!ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった…クソが!!クッソ!!なあ!てめエもだ…デク!こっからだ!!俺は…!!こっから…!いいか!?俺はここで一番になってやる!」
爆豪は目に涙を溜め言うと、振り向き涙をガシガシ拭きながら歩いて行った。
爆豪「俺に勝つなんて二度とねえからな!!クソが!!」
オールマイト「いたー!!!!爆!豪!少年!」
オールマイトはダッシュで爆豪の元へ行き、後ろから肩を掴んだ。
オールマイト「言っとくけど…自尊心ってのは大事なもんだ!!君は間違いなくプロになれる能力を持っている!!君はまだまだこれから…」
爆豪「放してくれよオールマイト!!歩けねえ」
オールマイト「ん?」
爆豪「言われなくても!!俺はあんたをも超えるヒーローになる!」
オールマイト「(アレ…)」
オールマイトが手を離すと爆豪は再び歩いて帰って行った。
オールマイト「あ…うん…(立ち直ってた…教師って…難しい…)」
─────
窓から様子を見ていた芦戸、麗日、蛙吹、なつ
芦戸「なんだったの?アレ…」
麗日「男の因縁ってやつです」
蛙吹「緑谷ちゃんが一方的に言い訳していたように見えたけど…」
麗日「男の因縁です!」
『…』
……そうだ、ここにはヒーローになる為に来たんだ…この気持ちは、しまっておこう……二人の隣を歩けるように…支えられるように…!
そしてこの数日後僕らは知ることになる
オールマイトの言っていた真に賢しいヴィランの恐怖を───
夜。とあるバーで新聞を開き、オールマイトの記事の上にコップを置いている者がいた。
死柄木「見たかコレ?教師だってさ…なぁ、どうなると思う?平和の象徴がヴィランに殺されたら」
男は不気味な笑みで笑った。