Main story II
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コンコン
耳郎「なつ、うちだけど…」
耳郎の声で目が覚めて戸を開けると、八百万と耳郎が立っていた。
八百万「なつさん、大丈夫ですか?」
『うん…ヤオモモと響香ちゃんは、身体…大丈夫?』
耳郎「私はもう大丈夫。なつ、目腫れてない?」
『えっと…はは……失恋しちゃった……』
なつが困った様に笑うと、耳郎は有り得ないと言った顔をしていた。
耳郎「は!?どう言うこと?」
『勝己は、私の好きとは違うって…へへっ、今まで家族みたいなもんだったもんね。仕方ないよ…』
芦戸「なつー!今からみんなで…えっ!どうしたの!?」
芦戸、麗日、葉隠も部屋に入ってきて、なつは先程の事を話した。
『…って事なんだけど…』
「「「「「(両思いなのに………すれ違ってんなぁ…)」」」」」
芦戸「うーん…なつは、爆豪の事諦めるの?」
『こんなにずっと好きだったんだもん…諦める事なんて、できないよ…』
芦戸「なら、私達は全力でなつの事応援するよ!」
麗日「そうそう!二人、お似合いやしね!」
八百万「そうですわ。私もできる限りのお手伝いをさせて頂きます。なつさん、これを…」
八百万はなつに冷やしタオルと温タオルを創造し、渡した。
『あっ、そう言えば、皆どうしてここに?』
芦戸「そうそう!あのさ、皆部屋もう出来たー?」
耳郎「うん、出来てるよ。」
葉隠「じゃあさ、お部屋披露大会しない?男子達もみんなで!」
葉隠はとても明るくウキウキと話している。
爆豪を助けようとして、その時に規則を破って行こうとしたもの、止めようとしたものでギクシャクした雰囲気が流れていた事を聞いた。けど、みんなの気持ちは同じ。誰も責めたくない。だからこそみんなで明るくこれからも頑張ろうと空気を変えようとしてくれた気持ちを感じ、なつは頷いた。
─────
夜になり、部屋作りを終わった男達は共有スペースに戻っていた。
上鳴はソファーの腕のところに腰掛け、緑谷常闇峰田が座り、向かいのソファには瀬呂砂藤が座り、頭にタオルを巻いた切島が腰掛けたソファの裏には飯田が立っている。
芦戸「男子、部屋できたぁ?」
上鳴「ああ!くつろぎ中!」
芦戸「あのねっ、今女子で話してて…」
葉隠「提案なんだけどぉ!」
芦戸「フフッ、お部屋披露大会しませんかぁ?」
ワクワクと楽しそうに言う芦戸の提案に、緑谷常闇峰田は「えっ…」とまずいといった顔をした。
緑谷「わあああっ…ダメダメダメ!ちょちょ…ちょっ…待っ……!!」
緑谷の言葉は無視し、皆は緑谷の部屋に入る。
中はオールマイト一色だった。
女子「おお〜っ!」
麗日「オールマイトだらけダァ!オタク部屋だ!」
緑谷「憧れなんで……恥ずかしい…」
『出久君の部屋って感じだ!あっ、このフィギュア懐かしい〜!並べる順番とか、角度まで沢山考えてる出久君が目に浮かぶよ〜』
緑谷「ななななんで分かるのっ!!?」
焦ったように言う緑谷になつがクスクス笑っていると、麗日は少し悲しそうな顔をした。
麗日「なつちゃん、デク君の家上がったことあるんや…」
『うん、勝己と出久君とでよく遊んてたの。出久君とはそんなんじゃないから安心して?』
麗日「安心っ!!?な、なにを言うとるんやなつちゃん!!そ、そんなんやあらへん!」
麗日は先程の緑谷と同じ様に焦り出している。
2人は、お似合いだなぁ…と思いなつは優しく微笑んだ。
麗日「なにその優しい目!!だ、だから好きと違うて…!あー、あ!次、次行こ!常闇君の部屋、だよね!!」
麗日の後を続き部屋を出ると、常闇は部屋の前に背を預けていた。
常闇「フンッ、くだらん。」
芦戸と葉隠が常闇を推すも、常闇は部屋に入れるのが嫌なのか動かない。
常闇「う、う…うっ……ああっ…」
芦戸も葉隠も全体重をかけて常闇を押し、倒れたところを二人が部屋に入って行った。
常闇は恥ずかしさで震えている。
部屋の中はいかにも厨二っぽかった。
葉隠芦戸「黒っ、怖っ!」
『そういえば、常闇君部屋も黒だって言ってたね〜。』
常闇「貴様ら…」
切島「このキーホルダー、俺中学ん時買ってたわ!」
芦戸「男子ってこういうの好きなんねぇ。」
常闇「出て行け…」
常闇はゲンナリとしている。
緑谷「あっ…剣だぁ…カッコいい……!」
常闇「出て行けェ!!」
そして次は青山の部屋。
ミラーボールや甲冑、たくさんの鏡がありキラキラとしていた。
青山「あははーん!」
「「眩しい!」」
青山「ノンノン、眩しいじゃなくて、ま・ば・ゆ…」
葉隠「思ってた通りだ。」
芦戸「想定の範疇を出ない。」
上鳴、芦戸、八百万、葉隠は最後まで聞かず部屋を出た。
麗日「楽しくなってきたぞー!あと、2階の人はぁ…」
峰田「ハァハァ…入れよ。すげえの見せてやんよぉ。」
峰田はおぞましい顔で女子達を見ると、皆は興味を示さずエレベーターに乗り込んだ。
麗日「3階行こ。」
峰田「入れよ、なぁ………」
そして尾白の部屋。
麗日「わぁ〜普通だぁ!」
葉隠「普通だぁ!すご〜い!」
芦戸「これが普通ということなんだね!」
『えっ、けど私こういう普通の部屋好きだよ!』
“普通”という言葉を言われる度、尾白の尻尾は垂れ下がっていく。
尾白「言うことないならいいんだよ?」
尾白は目に涙を溜めていた。
次は飯田の部屋。
室内には難しそうな本やメガネが並んでいた。
芦戸「難しそうな本がずらっと…流石委員長!」
飯田「おかしなものなどないぞ!」
麗日「ブブブッ!!メガネクソある〜!」
飯田「何がおかしい!激しい訓練での破損を想定してだな…!」
飯田は麗日にメガネの多さについて力説していたが、なつや芦戸達は興味がなく、「次つぎ〜!」と上鳴の部屋に歩いて行った。
上鳴の部屋はダーツや帽子、バスケットボール、ステッカー、額に入った服などがあり、女子ウケの良さそうな部屋だった。
「「チャラい!」」
耳郎「手当たり次第って感じだな…」
『うん、上鳴君って感じだ…』
上鳴「え〜っ、よくね?」
上鳴もブツクサ言うがそれはスルーし、皆は部屋を出て行った。
次は口田部屋。
麗日芦戸「ウサギいる!かわいい〜っ!」
『部屋も、ナチュラルで可愛いね〜!』
上鳴「ペットはズリぃよ。口田あざといわ〜。」
上鳴は先ほどの女子達の反応と違うことに拗ねていた。
緑谷「(なんか、競い始めてる…)」
上鳴「…ていうかよ、釈然としねぇ…」
尾白「ああ、奇遇だね。俺もしないんだ釈然。」
常闇「そうだな…」
青山「僕もっ」
峰田「男子だけが言われっぱなしってのは変だよなぁ…お部屋、披露大会つったよなぁ。なら当然!女子の部屋も見て決めるべきじゃねえのかぁ?誰がクラスいちのインテリアセンスの持ち主か、全員で決めるべきなんじゃねえのかぁ?」
女子による容赦ない舌剣が、男子と競争心に火をつけた。
芦戸「いいじゃん!」
耳郎「えっ…」
全く興味のないもの(切島・障子・砂藤・轟)は、ボーッと皆の後をついて行った。
─────
芦戸「えーっとじゃあ、誰がクラス1のインテリアセンスか“部屋王”を決めるってことで!」
耳郎「部屋王?」
尾白「別に決めなくてもいいけどさ…」
峰田「フフフッ…(おいらだけが主張しても足蹴にされてただろう。だが、少なからず自尊心を傷つけられたこいつらの意思に乗じることで…おいらの主張は“民意”という皮をかぶるのさ。これにより、実に自然な流れで女子部屋を物色できる…!!)」
轟「(眠い…)」
そして4階。
麗日「男子棟4階に住んでるのは、爆豪君と切島君と障子君だよね。」
飯田「爆豪君は?」
切島「ずっと前に、“くだらねえ、先に寝る”って部屋行った。俺も眠い。」
『勝己らしいね。』
切島は眠そうに頭をかくと、葉隠と芦戸が走って行った。
芦戸「じゃあ切島部屋!」
葉隠「ガンガン行こうぜぇっ!」
切島「どうでもいいけど、多分女子には分かんねえぞ。」
部屋の中には大漁・勝利・必勝・押忍と書かれたポスターや、気合!男気!寝るな!!日々トレーニングメニューが書かれた張り紙、必勝と書かれた横断幕。そしてサンドバッグが置いてあった。
切島「この男らしさは!」
芦戸「うん。」
葉隠「彼氏にやって欲しくない部屋ランキング2位くらいにありそう。」
麗日「アツいね!アツ苦しい!」
切島「ほらな。」
切島は目に涙を溜めて笑顔で言った。
芦戸「次!障子!」
障子「何も面白いものはないぞ。」
芦戸「…って、面白いものどころか!」
轟「ミニマリストだったのか。」
障子「まぁ幼い頃からあまり物欲がなかったからな。」
峰田「こう言うのに限ってドスケベなんたぜ…」
峰田は布団の中をそろっと見ても何も出てこなかった。
葉隠「次は!一階あがって、5階男子!」
芦戸「瀬呂からだ!」
瀬呂「マジで全員やんのか?」
瀬呂の部屋に入った時、瀬呂はフッと笑ったを
女子達は「おお〜っ!」と感心している。
芦戸「エイジアン!」
麗日「ステキ!」
『オシャレ〜!』
耳郎「瀬呂、こういうのこだわる奴だったんだ。」
瀬呂「ヘッヘッヘ〜、ギャップの男、瀬呂君だよ?」
瀬呂はドヤ顔でいた。
葉隠「次次〜っ」
八百万「次は轟さんですわね。」
轟「さっさと済ましてくれ。眠い…」
轟が部屋を開けると、そこは和室になっていた。
瀬呂芦戸「うわぁっ!!!和室だ!!!」
上鳴「造りが違くね!?」
轟「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ちつかねぇ。」
上鳴「理由はいいわ!」
峰田「当日即リフォームって、どうやったんだお前!」
轟「頑張った。」
上鳴「なんだよこいつ…」
葉隠「大物になりそう!」
轟は真顔で答える。砂藤は困ったように部屋を出た。
砂藤「イケメンのやる事は違えなぁ…」
芦戸「んじゃ、次!男子最後は…」
砂藤「俺…」
砂藤の部屋は、食器棚やオーブンレンジ、計りなどがあり、お菓子作りがしやすそうな部屋になっていた。
砂藤「まぁ、つまんねえ部屋だよ。」
切島「轟の後は誰でも同じだぜ。」
尾白「…て言うか、いい香りするの、これ何?」
砂藤「あああっ…いけねえ、忘れてた!だいぶ早く片付いたんでよ、シフォンケーキ焼いてたんだ。みんな食うかと思ってよ、ホイップがあるともっと美味いんだが…食う?」
麗日芦戸葉隠は嬉しそうに「食う〜っ!!」と叫んだ。
上鳴峰田「模範的意外な一面かよ!!」
女子達は嬉しそうにシフォンケーキを食べていた。
麗日「甘〜い、ふわふわぁ!」
葉隠「ボ〜ノボ〜ノ〜!」
『幸せ〜!』
芦戸「瀬呂のギャップを軽く凌駕したぁ!」
耳郎「うんうん。」
八百万「ステキなご趣味をお持ちですのね、砂藤さん。今度私の紅茶と合わせてみませんー?」
砂藤は顔を赤くして耳からも湯気が出ていた。
砂藤「おおっ…こんな反応されるとは…まぁ、個性の訓練がてら作ったりすんだよ。甘いもん買うと高えし…」
瀬呂「ちっきしょー。流石シュガーマンを名乗るだけうまっ。」
切島「ここぞとばかり出してくるな…うまっ」
皆はシフォンケーキを片手に持ち、部屋を出た。
芦戸「男子は以上!うまっ」
葉隠「次は私達…うまっ…だねぇ!」
飯田「うむ!」
尾白「女子棟と繋がってるのは一階だけだから、うまっ…一旦降りて…」
耳郎「やだなぁ…うまっ」
皆それぞれに話すが、あまりの美味さに語尾がうまっになっていた。