Main story II
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病室に戻ったなつは、細雪に電話をかけ、細雪はすぐに行くと言い病院にすぐ駆けつけてくれた。
『お母さん…来るのにもっと時間かかると思ってた…』
細雪「なつや出久君、他にも多くの被害者が出ているから、治癒を施すために近くに泊まっていたのよ。事務所は畳んで活動もしてないけど、ヒーロー免許はまだちゃんとあるのよ?」
細雪はなつの頭を優しく撫で、手に力を溜めた。なつが爆豪の誘拐のことを知らないと思っている細雪は、何事もなかったかのように振る舞っている。だが時説見せる苦しそうな悲しそうな表情を見逃さなかった。
細雪「もう少し、寝ていなさい。起きた時には、ちゃんと元気に。いつもの日常に戻っているから。」
『……』
お母さん、私知ってるんだよ?出久君達が勝己を救いに行ってくれてるんだよ…?私のせいで、ヤオモモが…規則を守ってでも助けに行ってくれてるんだよ?勝己は、無事なのかな…
知っていることを言いたい。だけど、私がそれに気づいていると知れば母をもっと心配させる。そう思ったなつは、口を紡ぎ目を閉じた。
─────
手が暖かい…
そんな感覚に目が覚めると、細雪がなつの手を握って眠っていた。
頭痛や眩暈、だるさは完全に取れている。
悪夢も見なかった。
一晩中、私を見ていてくれた母に、なつは“ありがとう”と呟いた。
テレビをつけると、どのチャンネルも、事件のニュースで持ちきりだった。
オールマイト「次は…次は……君だ……」
そう言ったオールマイトに、アナウンサーは歓喜し、絶賛している。
その短いメッセージは、一見、まだみぬ犯罪者への継承、平和の象徴の折れない姿に見える。
だけど、トゥルーフォームでボロボロの姿でいうオールマイトに、“私はもう、出し切ってしまった”と…オールマイトから出久君に向けたメッセージだと思い、涙が止まらなかった。
細雪「なつ、起きてたのね。具合はどう?どこか痛いところがあるの?」
『ちがっ…これは、違うの…もう、どこも痛くないよ。』
細雪によると、白馬は神野区の救助活動要請を受け、行っているらしい。そして、根津校長になつが起きたことを連絡しに行った。
それからは警察の調書をとったり、診察を受けたりし、今は相澤と根津はなつの病室へと足を運んでいる。
『相澤先生!勝己は…無事、なんですか?』
細雪「なつ…勝己くんの事……」
『ごめん、知ってた…でも、お母さんが私が知る事で、不安になるんじゃないかって思って…』
根津「大丈夫。爆豪君は無事だよ。その様子だと、飯田君、切島君、轟君、緑谷君、八百万さんの5人の事も知っているんだね?」
『っ…はい。』
相澤「ハァ…」
『けど、ヤオモモは私が行こうとしたから…私はまだ昨日は動ける身体じゃなかったから……私が行こうとしなかったら、ヤオモモはあの晩皆を止めていたかも知れない…だから私が悪いんです。』
相澤「…あのな、」
相澤が何かを言おうとすると、黙って聞いていた細雪は口を開いた。
細雪「…それ以前の問題よ。結果的に、出久君達5名のおかげでかっちゃんは助かったのかも知れない。だけど、結果が良かったからしていい。って言うことにはならないの。もし、最悪の結果になっていたら?ルールー破るという行為は、ヴィランのそれと同じなのよ?」
『っ…』
部屋が静まり返り、なつも反省していることは見てとれる。
根津は明るい声を出し、細雪に一枚のプリントを渡した。
根津「そこで、これからはより強固に守り育てなければならない。そこで兼ねてより考えていた案を実行に移すのさ。」
細雪「全寮制?」
二度のヴィラン襲撃により、雄英側も知らず知らずに芽生えていた慢心や怠惰を見直し、生徒を守りながらも、強く育成ができるよう、雄英の敷地内に寮を設立したというのだ。
相澤「なつさんは、ヴィランの目的の一人でもありました。爆豪君の調書により、爆豪をヴィラン連合に誘い入れるための人質のような役割としてでしたが、なつさんの個性は貴重な治癒個性を持っています。なので、本来であれば3日後からの移動となりますが、本日より荷物をうつし、明日からそこでの生活となります。」
細雪「明日から…」
相澤「娘さんを危険な目に合わせてしまい、不穏に思われるかもしれません。ですが、どうか我々でなつさんを守らせていただけないでしょうか。」
相澤と根津が頭を下げると、細雪は「頭をあげてください。」と慌てて言った。
細雪「私と夫はもともと雄英のOBです。なので、学校に対してはなんの心配もありません。寧ろ、娘が狙われている以上、学校に預かってもらうことが得策とも思います。
それに、相澤先生。記者会見をみて、あの言葉が嬉しかった…相澤先生は、生徒一人一人の本質を見てくれているんだって。かっちゃんは、私にとっても息子の様な存在ですから。
だから、そんな信頼のおける先生を、私は信じます。今後とも、娘をよろしくお願いします。」
細雪が頭を下げると、なつも急いで頭を下げた。
─────
相澤達が帰った後、なつは一度細雪と帰宅し、必要な物をまとめてトラックに詰めて学校へ送った。
『さすが雄英…引っ越しの手配も、早いね。』
細雪「ええ。」
『お母さん、お父さんは寮の事言わなくて良いの?』
細雪「今は勤務中だからね、戻ってきてから言うわ。けど、あの人も私と同じ事を言うと思うわよ?なつは何も心配する事無いわ。」
細雪は微笑むと、なつの頭を撫でた。
そして、押し入れから取り出した数冊のノートをなつに手渡した。
細雪「これも持っていきなさい。」
『?』
細雪「私が昔個性の訓練でメモしていた事なの。為になると思うわ。」
『…ありがとう、お母さん。』
そのノートには、治癒に関してや、ドーピング、そして髪や爪を伸ばしての攻撃などについて書かれている。ページを巡っていると“常に1箇所に意識を集中させ、個性を蓄積する”と書かれていた。
『お母さん、これ…どう言う事?』
そう聞くも、その時が来たらまた教えるわ。と言い、ちょうどその時迎えの車が来てなつは雄英の学生寮へと足を運んだ。
─────
学生寮は1棟1クラス。右が女子。左が男子と分かれており、1階は共同スペースとなっている。
他にも説明があったが、なつは爆豪に未だ会えていない不安で何も聞いておらず、自室である2階のエレベーターから一番近い部屋に入った。
ベッドなどの荷物が届いており、荷解きを済ますと風呂に入りベッドに横になる。
何かしら忙しくしていないと、爆豪のことを考えてしまって不安になる。母から貰ったノートを読み、なつは自身の眉間に意識を集中させ、そのまま眠りについた。