Main story I
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───更衣室───
麗日「ねぇ!そこの…デク君と友達の君!」
『月下なつだよ、なつってよんで!」
芦戸「私、芦戸美奈!よろしくー!」
芦戸に続き、他の女子たちはみんななつに興味津々でいた。
蛙吹「なつちゃん、朝爆豪ちゃんと来てたわよね。三人ってどういう関係かしら?」
葉隠「どっちかと付き合ってるのー?」
『どっちも付き合ってないよ?幼馴染で、仲良かったんだ。』
中学の時も、よく聞かれていた事。
なつは流れるように返していた。
耳郎「爆豪と緑谷はそんな仲良さそうに見えなかったけど。」
八百万「みなさん、早く行きますわよ。」
八百万の言葉で、皆は更衣室を出た。
『あの、八百万さん…ありがとう。』
八百万「べっ、別になんて事有りませんわ。」
ツンケンしたように見えた八百万だが、少し嬉しそうに言ったのを見て、なつはにっこりと笑った。
───────グラウンド───────
「「「個性把握テストォ!?」」」
麗日「入学式は!?ガイダンスは!?」
相澤「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間ないよ。雄英は“自由な校風”が売り文句。
そしてそれは”先生側”もまた然り。」
「「「………」」」
…自由な高風……か……けど、入学式はしたほうが良いんじゃないのかな……
考えているなつとは裏腹に、相澤は言葉を続ける。
相澤「お前達も中学の時やってるだろ?個性使用禁止の体力テスト。国は未だ質的な記録を取って評を作り続けてる。合理的じゃない。まぁ、文部科学省の怠慢だな。
………実技入試成績のトップは爆豪だったか。」
爆豪「…おう」
相澤が促すと、爆豪は円の中に入った。
相澤「中学の時、ソフトボール投げ、何メートルだった?」
爆豪「67メートル」
相澤「じゃあ“個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな。」
爆豪「んじゃぁまぁ…球威に爆風を乗せる…死ねぇ!」
爆風と共にボールは飛んでいった。
緑谷「(死ね?)」
相澤「まず自分の“最大限”を知る。それがヒーローの素地を形城する合理的手段」
相澤の手の機械には、“705.2m”と出ていた。
「「「おおお!!!」」」
上鳴「705メートルって…マジかよ…」
『爆豪君、流石だなぁ…』
芦戸「何これ!面白そう!」
瀬呂「個性思いっきり使えんだ!流石ヒーロー科!」
相澤「面白そう…か…ヒーローになるための3年間。そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?よし、八種目トータル成績最下位の者は、見込みなしと判断し、除籍処分としよう。」
「「「はぁぁぁ!!!?」」」
驚いている生徒たちの中、緑谷だけが冷や汗をかいていた。
相澤「生徒の如何は俺たちの自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ。」
ニヤリと笑う相澤。
麗日「最下位除籍って…入学初日ですよ!?
いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!」
相澤「自然災害…大事故…そして身勝手なヴィランたち…かつ、どこから来るかわからない厄災…日本は理不尽にまみれてる。
そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。更に向こうへ。
Plus Ultraさ。
全力で乗り越えて来い。」
飯田「(洗礼と言うには重すぎる…だが、これが最高峰か…やるしかない!)」
爆豪「(もっと行けんな…)」
『(見込みなし…か………記録はともかく、うまく個性を使わないと見込みがないって思われちゃうな…………頑張らなきゃ。)』
麗日「〜っ!」
相澤「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ。」
第1種目:50m走
飯田天哉 3秒4
相澤「まあ…水を得た魚。他がどうするかが見物だな」
蛙吹梅雨 5秒58
麗日お茶子 7秒14
尾白 猿尾 5秒49
青山優雅 5秒51
相澤「"個性”を最大限使い、各記録の伸び代をみれば…何ができて、何ができないかが浮き彫りになってくる…それは己を活かす、創意工夫になる…」
出席番号17.18緑谷と爆豪の番。
爆豪「爆速!」
爆豪勝己 個性“爆破”4秒13
緑谷出久 7秒02
なつは足にドーピングを行い、全力疾走した。
月下なつ 5秒02
『(…5秒切らなかったか…)』
第2種目 握力
緑谷「(卵が爆発しないイメージ…)」
ピピっ 56.0kg
瀬呂「540kgって、あんたゴリラ!?タコか!!」
峰田「タコって…エロいよね…」
バキっ!!
切島「すげぇ!」
上鳴「握力測定不可能って…月下さん、まじ!?」
一方なつは握力計測器を破壊してしまった。
『(手のドーピングのパワーバランスはまだ慣れないなぁ…)』
その後、第3種目の立ち幅跳びや第4種目の反復横跳び、第5種目のボール投げも高得点を出した。
麗日「えいっ!」
ピピ
「「「♾️!?」」」
上鳴「すっげー!♾️が出たぞ!」
『すごいお茶子ちゃん!』
緑谷「(ダメだこれ!すぐ出来るような簡単な話じゃない!皆…一つは大記録を出してるのに…!残りはこれと、持久走 上体起こし長座体前屈…もう後がない…このままだと、僕が最下位……)」
飯田「緑谷君…このままだとまずいぞ…」
爆豪「あ゛ぁん?ったりめーだ。無個性の雑魚だぞ。」
飯田「っ!無個性!?彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」
爆豪「あ゛ぁ!?」
『え?出久君って無個性じゃないの?』
…出久君、ずっと個性なくて落ち込んでたよね…あれは嘘だったの…?
信じられないというなつと爆豪の表情とは裏腹に、飯田はなぜ知らない?という表情をしていた。
相澤「(そろそろか…)」
緑谷「(絶対なるんだ!)!!」
緑谷は手に力を溜め、思いっきり振りかぶるが個性が発動せず、46mだった。
緑谷「た…確かに使おうって…」
相澤「個性を消した。」
緑谷「!」
相澤「つくづくあの入試は、合理性に欠くよ。お前のような奴も入学出来てしまう。」
緑谷「個性を消した…!あのゴーグル、そうか!見ただけで人の個性を抹消する個性!抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!」
上鳴「イレイザー?俺知らなーい。なつちゃん知ってる?」
『聞いたことはあるけど…』
蛙吹「聞いたことあるわ、アングラ系ヒーロー」
相澤「みたとこ、個性が制御できないんだろ…」
緑谷「!!」
相澤「また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったか?」
緑谷「そ、そんなつもりじゃあっ!」
相澤は捕縛布を操って緑谷を拘束し何かを言うと、捕縛布を解いた。
相澤「お前の個性は戻した。ボール投げは2回だ。とっとと済ませな。」
青山「彼が心配かい?僕は、全然。」
麗日「だれキミ…」
飯田「指導を受けていたようだが…」
爆豪「除籍宣告だろ。」
緑谷はボソボソと何かを呟くと、指先にだけ力を入れて、ボールは遠くにぶっ飛んだ。
緑谷「(あの痛み…程じゃない…!)」
記録 705.3m
緑谷「先生…まだ、動けます…!」
相澤「(こいつ…)」