Main story II
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『出久君、まずは手当を!』
なつは緑谷の傷を回復させている。
緑谷「なつちゃん、もう、大丈夫…」
『まだダメだよ!』
緑谷「なつちゃんだって、ボロボロじゃないか…君は施設に戻って負傷してる皆を治癒しなくちゃいけなくなる…だから、まだ温存しておいて。僕はもう、大丈夫だから…早く洸汰君を施設に…」
『!!……そうね。まずは洸汰君を安全な所に…』
なつと緑谷は立ち上がる。2人は荒い息をはき、倒れそうになるも踏ん張った。
洸汰「あっ…おい…」
緑谷「大丈夫。まだ、やらなきゃいけない事がある。」
洸汰「なつ姉ちゃんに治してもらったからってまだそんなボロボロで…何をしなきゃいけねてんだよ!」
緑谷「防御されるのは分かってた。だからこそ撃ったんだ。」
洸汰「え?」
緑谷「そこを差し引いても、大ダメージを与えると思ってた。でも、思ったよりはるかに強いヴィランだったんだよ。
もしこの夜襲に来たヴィランが全員このレベルなら、みんなが危ない…!その上、狙いは僕ら生徒かもしんない…その事を、相澤先生やプッシーキャッツに伝えなきゃ…僕が動いて助けられるなら、動かなきゃいけないだろ!」
『出久君はもう施設に、伝言なら私がいく…!』
緑谷「ダメだ!(かっちゃんの事はなつちゃんは知らない…知ると絶対に飛び出してしまう…なつちゃんも狙われてる以上、敵の元に行くのは危険だ…!)」
『でもっ…!!』
なつが緑谷に言うも、緑谷の目は真剣そのもの。なつは言い返す事もできず、頷いた。
緑谷「ひとまずこのヴィランは放置しとく。ボロボロの腕で、威力は落ちてたろうかも…それでも相当なダメージのはず。すぐには起きないと思うし、起きてもまともに動けないと思う。何よりまず、君を守らなきゃいけない。」
『そうね。』
洸汰「えっ?」
『洸汰にしか出来ないことがある。森に火をつけられてる。あれじゃどのみち閉じ込められちゃう。分かる?洸汰君の個性が必要なの。』
洸汰「えっ?」
緑谷「僕らを助けて、さっきみたいに。」
緑谷が微笑んで言うと、洸汰は頷いた。
『さぁ、おぶさって!まず施設に行かなきゃ…』
洸汰「そのケガで、動けんのかよ!」
緑谷「大丈夫。そのために脚を残した!それに、なつちゃんに治してもらったんだ。見た目よりも酷くはない。」
『行くよ、しっかり捕まって!』
緑谷「(嫌な予感がする…)」
緑谷となつは崖から飛び降りた。
─────────
緑谷となつが少し走ると光が見えてきてそこに相澤が走ってきていた。
緑谷「もう、すぐそこだ!」
洸汰「あっおいあれ!」
緑谷「あっ、先生!」
相澤「緑…んっ…」
『ハァ…先生…よかった…』
緑谷「大変なんです、伝えなきゃ行けない事がたくさんあるんです。」
相澤はなつと緑谷のケガの具合を見て一瞬声を失った。
相澤「おい。」
緑谷「けどとりあえず僕、マンダレイに伝えなきいけない事があって…」
相澤「おいって…」
緑谷「洸汰君をお願いします!水の個性です。それに、なつちゃんはヴィランの目的の一つです!絶対に守ってください!」
相澤「(こいつ、ハイになってやがる…)」
緑谷「お願いします!」
相澤「待て緑谷!」
走り出す緑谷は相澤の叫び声に、立ち止まった。
相澤「ハァ…そのケガ、またやりやがったな…保須での事忘れたのか?」
緑谷「うっあっ…いや、でも…」
相澤「だから、マンダレイにこう伝えろ。A組B組総員、プロヒーローイレイザーヘッドの名において、戦闘を許可する!」
『出久君…気をつけて…!』
緑谷「!!はい!」
緑谷は走ってマンダレイの所へ向かって行った。
相澤は緑谷を見ているなつを見やると、こちらも頭から血を流し、左眼は腫れ、両腕は折れているのか、傷だらけで腫れ上がっていた。
月下も…今動けているのはエンドルフィンドバドバだからだ。普段は緑谷と爆豪で目立たないが、期末テストといい…爆豪がいない場面では相当無茶しやがる……爆豪が月下のストッパーになっているのか……
相澤「さて、月下。洸汰君をこっちへ。」
『あっ、はいっ。』
なつは洸汰を髪で包んだまま相澤へと渡し、2人は施設へと走った。
相澤「月下!何勝手にヴィランと戦闘してんだ!!交戦せず、施設に戻るよう指示が出た筈だ!」
『!!……すみません。でもっ…』
相澤「でもじゃない!行動一つで、周りからの信用を失うんだ。
個人の武力行使……容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されてしかるべきこれらが公に認められているのは、先人たちがモラルやルールをしっかり順守してきたからだ。
資格未取得者が保護管理者の指示なく、個性で危害を加えたこと、例え相手が凶悪なヴィランであろうとも。これは立派な規則違反だ。俺の指示なしに抗戦した月下と緑谷には、除籍処分としなければならない。」
『そんな…』
洸汰「待ってくれよ!なつ姉ちゃん達は俺を助けるために…」
洸汰が言おうとすると、相澤は優しく洸汰の頭を撫でた。
相澤「本来なら、だ。」
『!!』
相澤「…よく洸汰君を守ったな。無事で良かったよ。」
『っ…!!はいっ。』
なつは涙を拭い、前を見据えた。
相澤「(あの言い草は完全に生徒がターゲット。緑谷のあの言い方、一人は月下。もう一人生徒が狙われているかもしれん。ならやむを得ないだろう。生存率の話だ。自衛のすべを…後で処分受けんのは俺だけでいい。)」
マンダレイ「A組B組総員、プロヒーローイレイザーヘッドの名において、戦闘を許可する!繰り返す、えー組B組総員!戦闘を許可する!(いいんだね?イレイザー。)」
相澤「(こんな訳も分からんまま、やられるなよ。卵ども!)」
─────
相澤は洸汰を抱っこし走っている。隣のなつを見ると、意識が途切れるのを堪えるように走っていた。
相澤「(緑谷にすぐ戻るよう伝え忘れた…マズいな…ホウレンソウのホの字もねぇ。今あの負傷で動いてられんのは、エンドルフィンドバドバ状態だからだ。目的を達成したら、落ち着いて動けなくなるぞ…)」
洸汰「おじさん…あいつ、大丈夫かな…?」
相澤「ん?」
洸汰「僕、あいつのこと殴ったんだ。なのにあんなボロボロになって助けてくれたんだよ…僕まだ、ごめんもありがとうも言ってないんだよ…あいつ、大丈夫かな…」
洸汰は捕縛布を握りしめて涙を流している。
相澤「大丈夫。あいつも死ぬつもりなんかないからボロボロなんだろう。でも俺は教室として、勝手をした緑谷を叱らなきゃいけない。」
洸汰「そんな…」
相澤「だから、この騒動が終わったら、言ってあげてくれ。」
洸汰「え?」
相澤「できれば、ありがとうの方に力を込めて…」
そしてまた少し走ると、マンダレイからのテレパスが送られてきた。
マンダレイ「ヴィランの狙いの二つが判明!狙いは生徒のかっちゃんとなつちゃん!」
『!!……………』
……勝己が、狙われてる…?出久君は私には言ってなかった……隠してたの……?勝己が……
相澤「おい!月下、足を止めるな!」
立ち止まったなつを相澤が見ると、なつは白眼を開き、ドーピングをしていた。
洸汰「なつ…姉ちゃん…?」
相澤「くそっ…」
マンダレイ「なつちゃんは今相澤先生と施設へ戻ってる!かっちゃんはなるべく戦闘を避けて!単独では動かない事!分かった!?かっちゃん!」
『勝己…どこ!!個性が…!!相澤先生……』
相澤「さっき言った事、もう忘れたのか!!」
『先生、でも勝己を助けなく……』
相澤はなつの腹を殴り気絶させると捕縛布で巻き、なつを担いだ。
洸汰「なつ姉ちゃん!」
相澤「大丈夫。気を失ってるだけだ。」
相澤は洸汰も抱え直すと、また走り出した。