テニスの王子様
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私には好きな人がいる。
その人は私の隣の席で、周りの人からは怖がられていてどうも近寄りがたい。
──数ヶ月前──
…ほんと最悪…重すぎでしょ。先生人使い荒すぎだよ…
『はぁ…』
バッタリと先生に会い、大量のノートを持たされた。
こんな量は女子生徒に頼む量じゃない。
前見えないくらいのノートを抱えていると急に軽くなり視界が広がった。
『えっと…』
「何組だ。」
『7組です…』
「運んでやる」
結局ほぼ全部のノートを持ってくれた彼にお礼を言えず、クラスも違うため名前が分からなかったなつは彼について調べる事にした。
そして気づいたら彼のことを好きになっていた。
─────
皐月「うわー、海堂君ノート出てないじゃない。日直の私が言わなくちゃダメなの?やだなぁ…」
『そ、それなら私が言うよ?席も隣だし。』
皐月「えっ、なつ、怖くないの?」
『大丈夫だよ。』
皐月「こう言う時、なつの怖いもの知らずな性格には助かるよ!」
皐月は拝むようになつに言う。
皐月はなつに有難そうにいているが、なつは海堂が好きなため願ったり叶ったりなのだ。
『ねぇ、海堂君。』
海堂「あぁ?…お前は…」
『隣の席の月下なつだよ。』
海堂「(…隣の席だったのか……)…」
『そんな申し訳なさそうな顔しなくてもいいよ。私そんなに目立たないしね、慣れてるから。』
なつはヘラヘラと笑っていると、海堂はギロリとなつを睨んだ。
海堂「…何の用だ」
『うん、…数学の宿題終わった?今日が提出日なんだけど、ノート出てないの海堂君だけだから…』
海堂「なんでお前が知ってんだ」
『友達が今日日直でね、ちょうど今朝話してたの。』
海堂「フシューーー」
『もしかして忘れてた?』
海堂「…」
『私のでよかったら写す?』
海堂「…頼む」
『じゃあ、はい。』
なつが自分のノートを渡すと海堂はすぐにそれを写しノートをなつに渡した。
海堂「…ありがとうな」
『うん、次からは忘れないでね、課題。』
海堂が言うとなつはニコリと笑い、皐月の席へ向かった。
『皐月、はい。』
皐月「怒られなかった?」
『うん?』
皐月「よかったー!なつ、凄く睨まれてたから怒られてるんだと思ってた…」
怯えたような言い方で皐月が言うとなつは苦笑いをしていた。
『大袈裟だなぁ…』
皐月「お礼にこれあげるよ。」
『いいのっ?やったぁ♪』
なつは皐月にヨーグルト味のタブレットをもらうと席に戻った。
『んー美味しいっ♪』
「何食べてんのー?」
『タブレットだよ。食べる?』
「ありがとー。」
『ほんと美味しいよね♪』
「確かに美味しいけどさ、なつほんと美味しそうに食べるよね。」
『そう?美味しいものは美味しいんだもん。』
なつが幸せそうに言うと、前の席の友達はくすくすと笑った。
「食い意地だね」
海堂「フッ…」
『佐々木さんのせいで海堂君にまで笑われちゃったじゃない!』
海堂「フシューーー…笑ってねー」
「あっ、そうだ次の予習しないと。」
佐々木は前を向き、そそくさと勉強を始めた。
『そうなの?』
海堂「…」
『んー、美味しい♪』
なつが気にせず食べていると、また右から感じる視線。なつはそちらを見た。
『?』
海堂「…」
『か、海堂君も食べる?』
海堂「いらねー!」
『そうなんだ、視線感じたから欲しいのかなって思ってた。』
海堂「……食う」
『あっ、やっぱり欲しかったんだ。はい。これ凄く美味しいんだよ』
海堂「美味え」
『でしょ?私このヨーグルト味、一番好きなんだー♪』
なつはまたタブレットを食べていた。
部活時、なつは男子テニス部の隣のコートを借りて練習していた。
桃「なつー!」
『あっ、良いところに。練習手伝ってよ。』
桃「いいけど、お前がよく一緒にいるやつもテニス部じゃなかったか?」
『皐月?そうだよ?でも、女子じゃパワー足りないじゃない。次のシングルスでは絶対全国制覇したいのよ…この間はパワーでかなわなかったからね。』
桃「そういやお前決勝戦で負けてたな」
『掘り返さないでくれる…?』
桃「そんなの、マムシに頼めばいいじゃねえか。」
『な、何を言ってるの桃城君!?海堂君とストローク練習なんて緊張して打てるわけないじゃない…』
桃「あはは、そんなんでやられてたらまた負けるぜ?」
『うっさい!』
なつと桃が話していると海堂が二人のところに歩いて来た。
海堂「そうやってサボってっからレギュラー落ちすんだよ」
桃「何だと…?」
海堂「お前も邪魔するなら自分のコートに戻れ。」
『ごめんなさい…』
桃「なつはストローク練習しに来たんだよ。今のは言い過ぎじゃねーか?」
海堂「お前には関係ねーだろ!?」
桃「男のヤキモチはみっともねーぜ?」
桃がニヤリと言うと海堂は目を見開いた。
海堂「ヤ…!!? 誰が妬いて……」
『あのっ、ごめんね海堂君。私邪魔だよね、戻るから…』
海堂「練習しに来たんだろ!邪魔なんかじゃねー!」
『そ、そう…?ありがとう。』
桃「海堂、お前が練習付き合ってやれよ。こいつ結構いいコースついてくるし良い練習になるぜ?」
海堂「…お前がやってろ」
海堂は練習に戻っていった。
『…ねぇ、桃。』
桃「なんだ?」
『私、海堂君に嫌われてるのかな?』
桃「いや、それはねーよ。」
『うーん…でも最近話してくんないんだよね。』
桃「いいじゃねーか、あいつはあーゆう奴だ!そのうち分かるぜ。」
桃が言うとなつは気にしながらも練習をした。
それから数週間がたった放課後、なつは公共施設のテニスコートに来ていた。
『杏!ごめん遅くなっちゃった』
杏「なつ、いいよ。私も今来たとこだし。」
『えっと、その人たちは…』
杏「友達だよ。神尾くんと伊武くん。…この子は、なつちゃん。」
『神尾君、伊武くん、初めまして。青学2年の月下なつです。よろしくね。』
神尾「よろしくな。」
伊武「よろしく」
なつはニッコリと笑った。
しばらくテニスをしていると、杏はなつと休憩をしだした。
杏「そろそろかな…なつ、一緒に来て!」
『うん?』
着いた先は二丁目の交差点、待っていると桃とリョーマが歩いて来た。
杏「おっそーい!」
桃「わりーわりー越前がトロくてよぉ、」
『桃?』
桃「なつじゃねーか!ほらなぁ、越前。違うだろ?で、どうしたんだ?」
杏「デートだよ」
『へ?』
桃「デートォ!?」
越前「ほら、だから言ったじゃないっすか。じゃあ俺家あっちなんで。」
杏「越前君もどう?」
杏のその言葉で、四人でテニスコートに戻って言った。
…そういえば、桃城君、レギュラー落ちてから少し元気なかったよね…もしかして、それでかな?…
『そういう事ね…』
越前「先輩、この間部活中桃先輩とストローク練習してましたよね?」
『うん、私も女子テニス部だからね、去年同じクラスだった桃に練習付き合ってもらってたの。』
越前「へぇ。」
『越前リョーマ君だよね?噂は聞いてるよ。スーパールーキーが入部したって。』
越前「ふーん。」
『…海堂君にも勝っちゃうんだもんね。凄いよキミ。』
…レギュラー入りできたのに一時期すごくピリピリしてたもんね…
なつが一人で頷いていると、リョーマはニヤリと笑った。
越前「へぇ、海堂先輩の事よく知ってるんだ。」
『へっ?そ、そんな事ないよ?ただ、クラスが同じなだけで…』
桃「やめとけ越前!なつは一年の時からマムシに惚れてるからよ…ってぇ!殴る事ねーじゃねーか!」
『ちょっと桃ぉ!?それは言わない約束でしょ!?』
桃「そうだっけ?」
杏「なつそうだったの!?」
『もう、杏は安心だけど…越前君、絶対誰にも言わないでよね!?』
越前「ウィッス。」
『もし、言ったらああなるからね?』
みぞおちを肘で殴られて痛そうにしている桃に笑顔を向けてなつが言うと、リョーマは冷や汗をかいた。
越前「絶対、言わないっス…」
『それでよろしい。ほら、桃も痛いフリなんてしなくていいから。早く行くよ?』
桃「ほんと、暴力女だぜ…」
『なにかいった?』
桃「よ、よーし!越前!早く行くぞ!」
桃とリョーマは階段を上っていった。
そんなこんなで桃と神尾vs.越前と伊武のダブルス対決が始まっていた。
不二「月下さんだったよね。」
『不二先輩、名前を知ってくれてたなんて光栄です。』
不二「女子テニス部では二年生エースって呼ばれてるからね。桃とも仲がいいみたいだし。海堂ともね。」
『か、海堂君と仲良いなんて…そんな事ないですよ、どこ情報ですかそれ?』
不二「桃と三人で話していたじゃないか。」
『あー…あれは話すって言うか私が海堂君に怒られてただけで…あの後も気まずくて話せなくなったし…』
なつが俯いていると、不二はなつの頭を撫でた。
不二「きっともう海堂も怒ってないと思うよ。聞いてみたらどうかな?」
『…でも、それで話しかけるなって言われちゃもう立ち直れないですよ。』
不二「その時はボクが慰めてあげるよ。」
『…不二先輩、からかってます?』
不二「フフッ…」
『もう…』
それからはそれぞれ三人色んな話をしていると、杏は兄からの呼び出しで帰っていった。
その後青学の三年生達が来てなつは桃に送ってもらう事になった。
『…ねぇ、桃。』
桃「なんだー?」
『今日海堂君来なかったのって、やっぱり私が居たからなのかな…』
桃「自主練してたんじゃねーか?マムシだからなー」
『うーん…それなら良いんだけど………あ』
海堂は階段の下にいた。
海堂「!!…」
『…』
桃「あっ!わりー俺越前に用事あったの忘れてたぜ!マムシ、わりーけどこいつ送ってやってくれ!」
『ちょっと……!』
桃「じゃあなー!」
桃は階段を上っていった。
『えっと…ごめんね、桃が勝手に…私一人で帰れるから…』
海堂「……最近物騒だ……送ってやる」
『え…?』
海堂「どっちだ!行くぞ…」
『う、うん…』
夕日に染まる中、二人の影は少し距離を開けて歩いていた。
海堂「…」
『…そ、空が綺麗だね。』
海堂「そうだな…」
『明日は晴れるかな!』
海堂「そうだな…」
『…』
…話が…続かない………
海堂「…ったな」
『へ?』
海堂「…この間、部活の時…キツいこと言って…悪かった…」
『…ううん、練習中なのに話してた私が悪いんだもの。』
なつが笑うと海堂は目をそらした。
海堂「…次からは…だな……俺を…」
『?』
海堂「…何でもねー」
…私の事嫌いなのに、話す時いつも言葉を選んでくれる…
『…やっぱり、海堂君って優しいね。』
海堂「!何言ってやがる」
『海堂君は覚えてないかもしんないけど、一年の時、ノートを教室まで運んんでくれたんだよ?クラスも違うのに……この間の事も気にかけてくれてたなんて思いもよらなかったし…それに、今だってこうして家まで送ってくれようとしてるじゃない。充分優しいよ。』
海堂「……フシューーー」
『じゃあ、ここだから。ありがとう、また明日ね。』
海堂「ああ…」
なつはランニングして帰って行く海堂の背中を切なげに見つめた。
翌朝、なつは男子テニス部に混じり朝練をしていた。
桃「にしても、よくやるよな~」
『だって三年生はもうやる気ないみたいだし…私たちの代では団体戦で絶対全国に行くんだ…』
桃「俺なら自分の部より厳しい練習なんてしねーぜ」
海堂「月下をお前と一緒にすんじゃねー」
桃「ぁんだと!?」
『ほ、ほら部長に見つかったら怒られるよっ真面目にしないと…!』
海堂「フシューーー…」
二人に挟まれながらもなつは男子テニス部の練習についていった。
皐月「なつと海堂君が付き合ってるってホント!?」
朝、なつが席に着くと皐月がそう言って来た。
皐月「ほら、今日だって一緒に来たし!!」
『それは朝練に出てたからで…』
海堂「お前らがやる気出さねぇからこいつが一人で頑張ってんだろうが」
皐月「なつを庇ってんの!やだぁ!」
海堂「俺は誰とも付き合ってねー。要らねー話信じてんじゃねー。迷惑だろうが!」
海堂は叫ぶと席に着いた。
皐月「怒らせちゃった…?」
『………ごめん、私先生に呼ばれてたんだ!』
なつはニッコリと笑うと、走って教室を出て行った。
着いた先は屋上。
表情は曇っており、なつの目からは涙がボロボロとこぼれ落ちて居た。
…やっぱり海堂君、私の事嫌いなのかな…
そりゃあ、嫌いな人と噂になったら嫌だよね…それなのに、勝手に浮かれて…
『バカみたい…』
こうして、泣き疲れて眠ってしまった。
『…あれ、いま…何時……』
「17時28分だ。」
『えっ…1日寝てたの?!やばい部活っ!!………!?』
目がさめると外は夕日に染まっており、一人焦っていると泣いた原因の相手が近くで触って居た。
海堂「風邪引くぞ」
『海堂君、何でここに…部活は…?』
海堂「終わった」
『どうしてここに…』
海道「…な、何となく…だ。」
『そっか。…よかったら一緒に帰らない?』
海堂「…フシューーーー」
『…ごめん、やっぱり嫌だよね。海堂君私の事よく思ってないみたいだしね…』
海堂「そんな事ねー!…お前の方が…その、……俺なんかと噂に…」
海堂がボソボソと言うとなつは開き直ったようで堂々と海堂に向き合った。
『私は海堂君となら噂になってもいいと思ってるよ。』
海堂「!!」
『……海堂君は好きな人いるの?』
海堂「!!…」
『いるんだ。なら海堂君はそりゃ嫌だよねっ、私なんかと噂になってたら…その人にまで勘違いされたら…ね…』
なつは泣きそうになるのを堪えていた。
『もう下校時間だし…帰らないとだね!じゃあお先に、ばいば「待ちやがれ!!」…!!』
屋上から出ようとすると、海堂はなつの腕を掴んだ。
海堂「俺は………………………月下の事は嫌いじゃねー。」
『うん…』
海堂「…好きだ」
『!……今…なんて………』
海堂「……お前の事が……好きだ…………俺と……………付き合ってくれ……!!」
『うそ…』
海堂「嘘じゃねー」
『…』
なつの目からは涙がボロボロとこぼれていく。
海堂「…返事は」
『私も、海堂君が好き…大好き………私を、彼女にしてください…!』
なつは海堂に抱きついた。
end