テニスの王子様
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「好きや!付き合ってくれ!」
『ごめんな、好きな人いるねん。』
「そうか…」
中学に入ってから何回めやろか。
中学3年間で60回は軽く超えてる。
京都なんかすぐ隣やのに、そんな代わってるんか私は…
名前も知らん男子生徒が放送室から去るとその部屋の奥にいた私の後輩が出て来た。
もうこの際盗み聞きしてたんは無視する。
財前「先輩、好きな人居るんすか。」
『あー…ちゃうちゃう。そう言った方が相手も諦めつくやろ。』
財前「まあ、ホンマに好きな人居ったら諦め着くやろうな。」
『だーかーらー、居いひんって。』
ため息混じりに言うと、いつものうるさい声が近づいて来た。
謙也「財前!!今日の放課後ボーリング大会すんで!」
『!!』
財前「五月蝿いっすわ。」
忍足君と目が合うとすごくニッコリ笑ってくれる。
謙也「おー、なつも居ったんか。せや!なつも来るか!?どうせ今日も暇やろ!」
『ど、どうせって何なんさ!!ウチかて用事くらいあるわ!』
謙也「あー、来れんのか。」
忍足君はシュンとした。
なんか耳と尻尾が見える気が…
私はこの顔に弱い。
『い、行くけど…』
謙也「そか!よかった。ほな部活見学来るか?放課後暇やろ。」
『いいわ、テニ部はギャラリーが喧しいし。図書室で時間つぶしとく。』
謙也「そか。ほなまた放課後な!」
忍足君は難波のスピードスターや!と言いながら走って言った。
『…なにぃ』
財前「別に何も言っとらんっすわ。」
『ニヤニヤしんといてくれへん?』
財前「あ、謙也さんや」
『』ビクッ!
光はニヤニヤと笑っている。
財前「…。先輩、分かりやす過ぎますわ。」
『…絶対忍足君には内緒にしてや』
財前「白玉ぜんざい1つ。」
『分かった。今度奢るから。』
財前「しゃーないっすね。先輩の頼みやしな。」
『光あんた……、物で脅したくせによー言うわ。』
チャイムが鳴り、光は教室に戻っていった。
─────
小春「なつちゃ~ん、今日一緒にお昼ご飯食べへん~?」
私がいつも一緒にいる友達とお弁当を食べてたら、小春ちゃんが来た。
『いいよ、ユウ君はほっといていいん?』
小春「ええのええの!今日は女の子だけでお話ししましょ。」
「女子トーク言うたらやっぱり恋愛?」
「そういえばなつ、この前も呼び出されてたよなぁ。何回めや~?この罪深き女め!」
『いやいや、数えてもないし、罪深くも無いし…』
小春はニッコリと笑っていた。
小春「なつちゃん、好きな人おるって噂やけどホンマなん?」
「あれってあれちゃうん、あんたの事は一切好きでも無いし気にもしてへんから近寄ってくんなよー。って意味で言うとるだけちゃうん?」
「でもあれやんな、なつの恋愛話とか一回も聞いた事ないよなぁ。」
小春「せやろせやろぉ?」
「で、どうなん?」
こう言う話になったらニヤニヤと話し出す。
私は顔に熱が集まるのを感じていた。
『…3人にはかなわへんわ、いるよ』
「うそやんほんま!!?」
「マジで!?だれだれ!!」
小春「アタシ当ててあげよかぁ?」
『小春当てそう…当てんといてや~…』
小春「ケンヤ君やろ?」
小春の語尾にはハートマークがくっきり付いて居る。そのくらいニタニタと笑っていた。
『…ア、アタリ…』
「そうなん!?」
「ギャラリーをおもっきし蔑んでるなつがなぁ…」
『ほらなぁ?二人ともそんな反応するやろ~?だから言いたくなかってん…』
3人は嬉しそうに笑っていた。
「うそやって、なつの恋話とか初めてやん、嬉しいわぁ」
「ウチらはなつの事応援してるで?」
小春「そうやで、アタシらはなつちゃんの恋、応援とるんやで。」
『ありがとう。』
そのあとは四人でそれぞれの恋話に花を咲かせていた。
そして放課後、テニス部を待つために図書室で勉強をしていた。
私の座ってるところは図書室でも奥の方にあり、本棚で隠れてるため人の気配も無い。
窓からはテニスコートが見えるココは私にとってベストスポット。
『よしっ、今日の課題終わりや。』
後どないしよ…あ、明日の予習でもしとこかな…
『とりあえず、古典でもしよかな』
「月下さん、予習しとるん?」
『…えっと、誰…?』
「俺、3年2組の緒方誠司や。」
『通りで知らん人や思ったわ。』
緒方「月下さん8組やもんな。隣ええか?」
『いいで。』
なつが言うと緒方は座り、教科書を広げた。
緒方「俺なあ、月下さんと同じクラスなった事あるんやで?一年の時。」
夕焼けに染まる頃、緒方は口を開いた。
『へぇ。一年のときかぁ…覚えてへんわごめんな。』
緒方「ええねん気にせんとき!それでな、」
ガラガラガラ
謙也「なつ来たでー!」
『忍足君、えらい早いなぁ。』
謙也「終わってからすっ飛んで来たんや。浪速のスピードスターっちゅうのは俺のことや。」
『うん、聞いてない。ほな、片付けるしちょっとまってな。』
謙也「なつ。もっと早く動けんのかいな。NOスピードNOライフやで~。」
『煩いなぁ。謙也みたいにスピードばっかり考えてへんわ。滅びの呪文唱えるで?』
謙也「は、はぁ!?おまっ、その呪文は侑士しか知らんねんぞ!?」
『あっ、そうなん?ほな侑士に聞こかな。』
なつはスマホをいじりだした。
『あー、もしもし侑士ー?…うん、なつやけどさぁ、忍足君の滅びの呪文…?有るみたいなんやけどさぁ…』
謙也「は?なんで侑士の連絡先知っと…」
『え?…そんなんが滅びの呪文なん!?…スローライフの何処が…』
謙也「ギャアアアアア!!!!」
『あ…侑士、効果抜群やったわ。ありがとう。…うん、ほなね。』
なつは電話を切った。
「謙也ー、うるさいでー」
謙也は図書委員に怒られていた。
『えっ、ごめんごめん。もう言わへんから。な?』
謙也「…ホンマやな」
『ふふっ、ほんま面白いわ』
なつが笑うと謙也は顔を真っ赤に染めた。
謙也「そ、そそそそ、そうか…ほな行くで」
緒方「月下さん、帰るんか?」
謙也「…こいつと居ったんか?」
緒方「おん。な、月下さん?」
謙也「お前に聞いとらんやろ。はよ行くで。」
『えっ、ちょっと忍足君!?』
謙也はなつの腕を引き、走った。
校門まで猛ダッシュした所でなつの体力が限界にきた。
『ちょっと…なぁ!忍足謙也!!』
謙也「!!!」
『止まってぇな……忍足君みたいに、運動できひんねんから…』
謙也「スマン…」
『…はぁ、もう大丈夫。』
謙也「うわっ!?」
なつが肩で息をしていると、謙也はバッと手を離した。
『なんなんさ…汚いもん触ってしもたみたいな……』
謙也「ちちちちちちち違うんや!!いや、これはやな…」
『もういいわ。今日はもう帰る。皆んなには用事できたからって謝っといて。』
謙也「待ちぃy…」
『ほなね。』
なつは早足で家に帰った。
─────
翌朝、門では先生が待ち構えていた。
「月下~、お前もたまにはボケろや~。」
『すみません、ウチに面白さを求めんといてください。』
困ってると忍足君が千鳥柄のスーツを着て来た。
あー。あの大人気な番組の座長がしている登場ネタするんかな~と思ってたら予想は的中した。
その番組が好きな私は、反射的にノッてしまい、先生はニヤリと笑った。
「謙也お前番組のネタはあかんで。」
『…はぁ』
謙也「何でそこため息やねん!!」
『いや、反応してしまった事に対しての嫌悪感が…私あの座長めっちゃ好きやのに…何で忍足君のにノらなあかんの』
謙也「ええやんけ!」
二人で言い合っていると、先生は手を叩いた。
「謙也もまあ今回は月下がノッたし大目に見たろ。合格や。」
謙也「よっしゃ!なつ、おーきにな!」
『お礼言われても嬉しないわ…はぁ』
私が生徒玄関で靴を履き替えていると、早くもスリッパに履き替えていた忍足君が出現した。
謙也「何でそない冷たいねん!ブレイクんハートやぞ!」
『…忍足君もよう話しかけてくるな。昨日あんなことしといて』
謙也「…違うんや、あの時はなつの手が柔らかすぎて意識したら恥ずかしなってやな………て、違う!嘘や!忘れぇ!」
謙也は顔を真っ赤にして否定している。
なつは自分も女の子として接されてると思い嬉しくなり笑った。
『ふふっ、あははっ、もういいよ。』
謙也「そか、…それなら良かったわ…」
『あーそうなんかぁ。忍足君は私のことちゃんと女子や思ってくれてたんかぁ。』
謙也「当たり前やろ!…あ、それと今日たこ焼き食いに行くで!今日は部活見にきぃや!」
謙也はなつに合わせて歩いている。
それにもなつは嬉しくなっていた。
『たこ焼きは行くけど、見学はいいわ。』
謙也「何でや…俺らのテニス見てたらオモロイぞ。」
『忍足君がテニスしてる所は見たいけど…ギャラリー五月蝿いんやもん。』
謙也「……」
『急に止まって…どうしたん』
謙也「そ、そうか…俺のテニスしてるんが見たいんか…」
謙也のニヤニヤしてる顔を見て、なつはやってしまったと口を開いた。
『あー、でも見たくないかも。』
謙也「何でやねん!」
『内緒。』
謙也「けどなぁ、俺もなつが図書室で勉強しとんのも心配やねん。」
『なんでーな。』
謙也「緒方と居ったやろ…」
『……………誰やっけ…』
謙也「昨日一緒に居った奴やんけ!今の間、なんやねん!」
『ちゃうやん、思い出せへんねんやん。私人の名前覚えるん苦手やん?』
謙也「そうか?でも俺のことはすぐ覚えたやんけ。」
謙也は納得いかない様に言った。
…一目惚れした人やのに名前知ったらすぐ覚えれるに決まってるやん…
『…目立ってたしなー。NOスピードNOライフやー!とか叫びながら廊下走ってる人間やもん。』
謙也「また話逸れたやんけ。ほななつ、今日も部活終わったらすぐ着替えて迎えに行くからな。気ぃつけろよ。」
『?うん。』
何に気ぃつけるんやろ?
そう思ったが、聞くとまた話が長引きそうなので返事しといた。
放課後、なつはまた図書室にいた。
緒方「月下さん、今日も謙也待っとるんか?」
『うん。…え?ちょっと…近ない?』
なつが声の方を見ると、緒方は物凄くなつの顔の近くで話していた。
緒方「そうか?近いことないで。」
『…なに…?』
立ち上がり逃げようとするも、背中には窓、前には緒方で壁ドンされて逃げられなくなっていた。
緒方「俺、一年の時から月下さんの事好きなんや。…最近俺も仲良くなれて脈アリやおもてな。月下さんの断る時に使っとる好きな人って俺のことやろ?」
『はぁ?ちょっと待ってぇな。まず誰かも知らへん人のことを好きになんかなるわけないやん。自意識過剰も大概にしてくれへん?』
なつが緒方をにらみ、押して離れようと思ったら緒方はなつの手首を掴み窓に押し付けた。
緒方「月下さんが此処でずっと勉強しとったんも、俺と二人きりに慣れるからやろ?誰にも邪魔されんでいちゃつけるからやろ?」
『違うって…痛い!はなしてよ!』
緒方「昨日謙也に腕掴まれてたやろ。消毒や。…俺のこと好きやって認めたら、はなしたるわ」
『好きなわけないやろ!クソブス!離せや変態!』
怖がってると悟られないため叫ぶと緒方はなつの頬を叩いた。
緒方「何や女のくせに生意気やぞ!今此処で大声出しても誰もおらん。俺も図書委員やねん。今日は相方休みでな、先生も出張や。」
『…』
緒方「助け呼んでも来よらんぞ。」
緒方の顔が近寄り、もうダメだと目を閉じて顔を背けた時、掴まれてた腕は離れ、誰かに引き寄せられた。
謙也「お前何しとんねん」
緒方「月下さんに告白されてな、付き合う事になってん。邪魔すんなや」
謙也「それがホンマやったら謝るわ。邪魔してすまんのう。」
謙也の背中に守られており、安心したと同時にさっきの恐怖が来たなつは謙也のユニフォームをギュッと握っていた。
謙也「でもそれは嘘やな。怯えとるわ。」
緒方「なっ…」
謙也「俺のなつに金輪際近寄んな。今回は許したるけど次また同じことあったらタダじゃ済まさへんからな。行くで。」
謙也は先ほど握られて赤くなっているなつの腕を優しく掴み、図書室を出た。
着いた先はテニス部の部室。
なつは謙也から手を離されると謙也の服をキュッと掴んだ。
謙也「っ…!……どつかれたんか…赤うなっとる」
『…』
なつは無言で頷く。
目からはボロボロと涙が出て来ていた。
謙也「浪速のスピードスターや言うてんのに女の子一人守れへんとかあかんな。」
『ホンマやわ…ヘタレスター…』
謙也「誰がヘタレスターや。まあでも、せやな……なつがモテる事知らんかったさかい、油断しとったわ。緒方は危なそうやったけどな。」
『…なぁ、アレほんまに思って言ったん?』
謙也「アレってなんや?」
『だから…………俺のなつって……』
謙也「なっ!お、おおお俺そんなクサイ台詞言うとったか!?」
『うん…』
なつが言うと、謙也は真っ赤な顔を隠した。
謙也「今は顔見んな!アレも忘れてくれ、頼むわ!うわぁぁぁああ、どないしよもう俺婿に行かれへん!!!」
『いや、そこまで言わんでも…』
謙也「そんなもん…なつは自分に好意ある男とは仲良くせえへんって小春から聞いてずっと隠しとったのに…!もう友達でさえ居られへんやんけ!」
『ちょっ…忍足君、一回落ち着こか…』
謙也「仲良い思っとってもずっと俺だけ苗字呼びやし侑士の連絡先知っとるくせに俺知らんしほんま何やねん!しかもなつずっと片思いやろ、好きなやつ居るんやろ!?やしいつもテニスコート見える所座っとんのか、白石が好きなんか!?」
『いや、だからな忍足君?』
謙也は頭を抱えて超早口で独り言を呟いている。
謙也「中学入る前からなつに惚れとったのに、白石に会う前にもっとアピールしとけばよかったんや。あー惚れたもん負けやんけ何でやねん」
『忍足謙也!!一回落ち着き!全部声出てる!!私が恥ずかしい黙って!』
謙也「!!…え、声…出とった…?」
『出てるわ…男なんやったらはっきり告白したらええやん。ヘタレスターでもそれくらいせな今後やってけへんで。』
謙也「いや、お前俺のことフる気やろ!?もうあかんわ、生きていかれへんわ俺!」
『フらへんよ!私も忍足君に一目惚れしてたんやから。だいたい人の名前覚えられへん私が忍足君の事すぐ覚えた時点で分かるやろ!苗字呼びなんも名前で呼ぶん恥ずかしいからや、わかってーな!』
なつの涙はすっかり枯れており、逆ギレ半分だ。
謙也「え…?」
『悪い!?』
謙也「悪ないわ!…ふぅ……」
謙也は息を整えると真剣になつを見つめ直した。
謙也「す…好きや!付き合おうてくれ!!!」
『…うん』
謙也「よっしゃ!!!!言うたで!」
『わっ…ちょっと』
謙也に抱きつかれたなつは謙也の背中に手を回した。
金太郎「あー!ケンヤとねーちゃんギュッとしとるー!仲ええなぁ!」
白石「これ金ちゃん。子供は見たらあかん。」
金太郎「なんでーな!ワイら2歳しか変わらへんやん!」
外でガヤガヤと聞こえたため、二人はすぐに離れた。
謙也「な、ななななな何覗き見しとんねん!!…うわぁぁぁああ!」
小春「なつちゃん、良かったなぁ。」
『うん、ありがとう小春ちゃん。』
謙也が顔を真っ赤にしているのを見て、なつと小春は笑いあった。
end