テニスの王子様

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それはなつが氷帝学園一年生だった時、保健室に元気な声が聞こえてきた。

宍戸「失礼しま~す…あれっ、先生いねーの?」
『はい、…今日、先生出張で…私が月曜当番なので代わりに…』
宍戸「あー、そうか。」

宍戸が少し頭をかいて困っているとなつの目には血が出ている膝に気づいた。

『!!…膝、血が出てますね、すぐに処置します…!水で傷口は流しましたか?』
宍戸「ああ。」
『良かった…消毒しますので、沁みますけど沁みたら我慢してくださいね。』
宍戸「ぶっ…我慢すんのかよ…ってぇ!」
『はい、終わりました。部活頑張ってくださいね。』

なつは素早く処置をするとニコッと笑った。


─────


二年生になったなつはまた保険委員になっており、月曜の当番でまた保健室にいた。

ガラガラ

宍戸「っス…また当番か?」
『…』
宍戸「おーい」
『!!』
宍戸「どうかしたか?」
『いえ…何でもないです。今日は肘ですね、ちょっと待っててください。』

先日飼っていた犬が他界して泣きそうになっていたなつは忘れるように首を振って笑顔を作った。

宍戸「ああ。…つーかいつまで敬語なんだよ。俺たち同い年だろ?」
『えっ…?でも先輩じゃ…』
宍戸「俺、この学校では結構有名だと思ってたけどな…俺の事知らねーの?」
『はい…同じクラスになった事ありましたっけ…?』

なつが聞くと宍戸はまた困った顔をしていた。

宍戸「ねーけど。テニスとか興味ねーの?」
『テニスは好きです。侑士がテニスしてるんで…』
宍戸「侑士って忍足侑士か?」
『はい。』
宍戸「侑士は知ってて俺は知らねーのかよ…激ダサじゃねーか」
『ごめんなさい…』
宍戸「月下が謝る必要ねーよ。俺は宍戸亮、2年だ。改めてよろしくな。」
『よろしくお願いします。』
宍戸「また敬語だぜ?」
『あっ、よろしくね。』

なつが言うと、宍戸はニカッと笑った。

『はい、終わったで。部活頑張ってね。』
宍戸「サンキュー。…月下も元気出せよ。」
『…うん……ありがとう。』

なつの頭にぽんと手を置いた宍戸は、走って部活に戻っていった。


─────


中学三年

今日も私の隣の席の島崎さんの所には宍戸くんが来ていた。

晴香「はぁ!?亮、あんたまた宿題忘れたの!?」
宍戸「そういう晴香はどうなんだよ」
晴香「あたし?そんなのしてるに決まってるじゃない」
宍戸「見せてくれよ!」
晴香「それが人に頼む態度?」
宍戸「頼む!」
晴香「仕方ないなぁ~」

晴香は勝ち誇ったように宍戸にノートを貸した。
私がちらっと宍戸くんを盗み見ると宍戸君は顔が赤くなっていた。



昼休みの保健室

静香「今日も宍戸くんと島崎さん仲良かったね。」
『うん…』
静香「宍戸君、生意気そうでボーイッシュな女の子がタイプらしいもんね。なつって髪長いしガーリーだし凄い優しいしお人好しだし全くそんな要素ないもんね。」
『うぅ…褒められてる気がしいひん…』

なつがしゅんとしていると静香は不思議にしていた。

静香「でも接点ないのにどうして宍戸君のこと好きになったの?テニス部はまあ、人気だけど…」
『1年生の時から私保険委員やしさ…宍戸くんけがしてよく保健室来はるねん…それで何回か話したことはあるんやけど…』
静香「そうなんだ…私は絶対なつの味方だからね!」
『静香…ありがと。』

そして週明けの月曜日、いつもの宍戸の元気はなくすごく落ち込んでいた。
なつはその日、部活が終わる侑士を待ち伏せしていた。

『侑士っ…!』
侑士「なつやん、どないしたん。」
『うん、ちょっと…』
向日「侑士~、彼女か??」
ジロー「あー、月下さんだC~!」
向日「えっ、こいつが例の…侑士、付き合ってんのか?」
侑士「従兄妹や。」
『待って侑士。私の方が早うに産まれたし従姉弟やで?』
侑士「…。帰んで。」
『無視はやめてや…』

侑士は向日に絡まれているなつの手をひくと歩いて帰った。

侑士「晩御飯うちで食べていけやと。」
『ありがとう。』
侑士「でもあれやなぁ、なつが部活見に来るって珍しいやんけ。」
『気づいてたんや。』
侑士「そらあんだけ騒いどる人の中で一人ごっつ静かに見てたらな。気づくて。」
『人前で叫ぶとか私には出来ひんよ。』
侑士「宍戸のことか?」
『えっ…な、ななんで分かるん?』
侑士「そら分かるわ。なつずっと宍戸の事あっつい目して見てたやろ。」

確かに部活中、レギュラー陣を応援している女子から離れて非レギュラーの所ばかりなつはみていた。

侑士「無意識とか…恋の病やな。」
『ちょっと…バカにしてる?私は真剣やねんけど………今日な、教室にいる時もずっと元気無かってん…どうしたんやろって思って…』
侑士「あー、あいつ昨日橘って奴に負けよってレギュラーから落とされたんや。」
『そうなんや…』
侑士「まあでも宍戸は負けず嫌いやからな、また強なって戻って来よるわ。せやさかいになつは気にしんとき。」
『うん。ありがとう侑士。』

なつは頷くと侑士の母を手伝う為に階段を降りていった。

─────
そして翌日

保険委員長のなつは生徒会長室に来ていた。

跡部「遅かったじゃねーか」
『ごめんな、どうしたん?』
跡部「これから暫くの間、夜遅くまで保健室に残っておけ。」
『?なんで…』
跡部「夜遅いのが気になるなら安心しろ。その心配はいらねーよ。」
『夜遅いのはいいんやけど…』
跡部「お前の大好きな宍戸が世話になるだろうからな。」
『からかわんといてよ…///テニス部ってそんな怪我するハードな部活やってんな…分かった。じゃあテニス部がみんな帰るまで保健室あけとくな?』

なつがそう言い部屋を出ようとすると、跡部はなつの腕を掴んだ。

跡部「伝えねーと伝わらねー事もあるんだぜ。」
『え?』
跡部「この俺様が手引きしてやってんだ。頑張れよ。」
『跡部君…ありがとう。』

なつはそういうと部屋を出ていった。


跡部に言われたその日、誰もいない保健室で勉強をしていると扉が開いた。

宍戸「月下…」
『宍戸君…その傷…』
宍戸「ああ、ちょっと練習でな…月下はなんでこんな時間まで…」
『跡部君にしばらくテニス部が部活を終わるまでいるようにって言われてん。』
宍戸「そういえば生徒会長室に呼ばれてたな。」
『うん。…宍』
長太郎「宍戸さん、荷物持って来ました!」
宍戸「長太郎サンキュー。月下、俺達もう帰るけど月下も帰るよな。」

なつは言いかけた言葉を飲み込むと、頷いた。

宍戸「暗いし送るぜ。」
『いいよ…』
宍戸「俺がよくねーよ。ほら、行くぞ?」
『うん、ありがとう…』
長太郎「あっ、俺今日早く帰らないとダメだったんですよ!─────じゃあ宍戸さん、月下先輩さようなら!」

鳳は宍戸に何かをいうと帰っていった。


そして帰宅時

『何であの子は私の名前知ってんのやろ…』
宍戸「あー…そんな事より月下、明日も残ってるつもりなのか?」
『暫くって言われたから…テニス部が通常帰宅するまでちゃうかな…?』
宍戸「じゃあその間は俺が月下の事家まで送るぜ。」
『でも…』
宍戸「いいって、遠慮すんな!その代わり、俺に宿題見せてくれたらいいからよ。」

悪戯に宍戸が笑うとなつは笑った。

『宿題は自分でしなあかんよ。』
宍戸「じゃあ教えてくれ!三年間いつもトップ2に入ってんだろ月下は。」
『知ってたんや…』
宍戸「だからよ、朝でも昼でもいいんだ。教えてくれよ。」
『朝と昼ならほぼ毎日保健室いるし教えられるよ。…あと…今からでもいいけど…』
宍戸「まじで!?」
『あっ、でも宍戸君のお母さんがいいって言えばだけどね…』

なつがそういう間にもう宍戸は母親の了承を得ていた。


『ただいま~』
美代「おかえり~…あらっ、お客さんやん、誰や誰や?彼氏??」
『ちゃうって…ただの同級生。』
宍戸「なつさんと同じクラスの宍戸亮です。」
美代「亮ちゃんやねえ、よろしく。私は母の月下美代です。美代ちゃんって呼んでなぁ。美希も未来留も祐介もなんで今日に限って家帰ってこうへんのやろね!今日はご馳走やのに~!」
『ちょっとお母さん…!』
美代「なんやなつ、私が亮ちゃん言うてるから妬いてるんかぁ?」
『そんなんちゃうけど…もう…宍戸君ごめね、もう行こ!?』
宍戸「え?ああ。お邪魔します。」

宍戸はなつに背中を押されてなつの部屋に入っていった。

宍戸「…」
『えっと、じゃあ今日の課題は………宍戸君?』
宍戸「…!ああ、わりー…始めようぜ!」
『うん。』

なつと宍戸は課題を終わらせ、ご飯を食べたあと宍戸は家に帰っていった。



翌朝、宍戸はいつも島崎の所に行くのに、今日はなつの席に来ていた。

宍戸「よお、月下。」
『おはよう…』
宍戸「昨日はサンキューな。」
『私こそ送ってくれてありがとう。』
宍戸「ああ。また今日も勉強頼むわ、なつ先生!」
『ふふっ、なつ先生って…同い年やん』

なつが笑っていると島崎さんが近寄ってきた。

晴香「えー!亮、月下さんに勉強教えてもらうの!?ずるーい私も教えてよー!」
宍戸「はぁ!?お前月下と仲良くねーだろ!話してる所見た事ねーぞ!?」
晴香「すっごい仲良いから。ねー月下さん?」
『えっと…』

なつが困ってると晴香は大きくため息をついた。

晴香「つまんなーい。月下さんすごく大人しいんだもん。よく宍戸もこんな子と絡むよねー」
宍戸「は!?お前何言ってんだよ」
『…私、保険委員行かな…』

なつが教室から出ると宍戸が追いかけてきた。

宍戸「月下!」
『大丈夫やで宍戸君。ほんまに当番なだけやし…』

島崎さんは宍戸君のこと好きなんやろな…宍戸君もほんまは島崎さんのことが…それで私が…

なつが考えていると、宍戸はなつの頭にぽんと手を置いた。

宍戸「今日も残ってろよ送るから。」
『うんっ』

なつは笑顔になり、保健室に戻った。



そして何日か経ったある日の放課後、なつはいつもの様に保健室にいた。

宍戸「月下!!」
『あれっ、宍戸君今日は早いn…!!どうしたんその髪…』
宍戸「…ケジメだ。…変か?」
『ううん、めっちゃ似合ってるで、かっこいい…』
宍戸「か…っ///」
『今部活終わり?片付けるな。』

なつが立ち上がり、宍戸に背を向けると宍戸はなつの腕を掴んだ。

宍戸「俺、レギュラーに復帰したぜ。」
『!!そうなんや!おめでとう!!』
宍戸「やっぱり俺がレギュラー落ちしたこと気づいてたんだな。」
『あ…ちょっと小耳に挟んで…』
宍戸「俺がレギュラーに戻れたのは月下のおかげだ。サンキューな。」
『違うで。宍戸君が努力したからや。』
宍戸「月下がこうして毎日待ってくれたおかげなんだよ。俺はもう二度と負けねー。…だから………………関東大会観に来てくれ。」

ガタン!!

なつが返事をしようとすると、大きな音が聞こえて保健室の入り口から向日が出て来た。そなその後ろからはレギュラー陣が集まっていた。

向日「そこは俺の彼女になれって言う所だろ!」
侑士「岳人…なんでお前出んねん。隠れてろ言うてたやんけ。」
宍戸「お前ら何でここに…」
鳳「すみません宍戸さん、止めたんですが…」
侑士「折角普段みれへんなつの反応撮ってたのに。」
『へ!?ちょっ…何してんの侑士消して!』
宍戸「だいたい、俺が侑士の彼女に告れるわけねーだろ。」

宍戸が舌打ち混じりに言うと、なつは顔を真っ赤にし、侑士は写真を撮っていた。

岳人「宍戸、侑士と月下は従姉弟だぜ?」
宍戸「は…?長太郎は知ってたのかよ…」
長太郎「すみません、俺もこの間初めて知って…」
跡部「知らねーのはお前だけだぜ。なぁ、樺地?」
樺地「ウス」
侑士「なんや宍戸。俺となつが仲良いから妬いとったんか。」

侑士は真っ赤になって居るなつを肩に抱いてニヤニヤと言った。

『侑士っ…!何アホなこと…』
宍戸「お前らうるせーんだよ!月下、いくぞ!」
『!?』

宍戸はなつの手を引き走っていった。



暫く走って公園まで来た時、なつの体力には限界がきた。

『宍戸くんっ…!!』
宍戸「!!悪い、つい先走った。」
『ううん…こんな時でも…息切れしてないとか、流石やわ…』

息を切らして居るなつにたいし、宍戸はけろっとしている。
なつが言うと宍戸はなつを近くのベンチへ促した。

宍戸「大丈夫か?」
『うん。もう大丈夫…』
宍戸「…激ダサだぜ…」
『?』
宍戸「2年になって月下が侑士の名前を出した時からずっと二人は付き合ってんだと思ってたんだぜ?」
『苗字ちゃうからね…』

何気なく答えると、なつの手に宍戸の手が重なった。

宍戸「月下は覚えてねーかもしんねーけど…一年の、あの保健室であった日から…月下の事がずっと好きだった。」
『!!』
宍戸「さっきは邪魔が入って言えなかったけどよ……つーか関東大会が終わってから言うつもりだったけど………俺と、付き合ってほしい。」
『…』

宍戸に見つめられ、目を離せなくなっていたなつは涙を流した。

宍戸「…嫌だったか…ごめんな…」
『嫌ちゃうよ…私は宍戸くんの好きなタイプと真逆やし、島崎さんの事が好きなんや思ってた……』
宍戸「ちげーよ…」
『嬉しい…私もずっと…ずっと宍戸くんのことが好きやったから……』
宍戸「!!」

宍戸は涙を流し笑っているなつを抱きしめた。

宍戸「大好きだぜ」
『私も…大好き』



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