スラムダンク
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高校を卒業してから6年。
なつは綺麗なドレスを身にまとい、結婚式場へ来ていた。
式場のウェルカムゾーンにはR&Aや幸せそうな写真、装飾が施されている。
受付には華やかな服装をした二人の女性、明るそうな男性二人が座っていた。
『この度は、ご結婚おめでとうございます。』
「ありがとうございます。なつさんの事は、彩子からよく聴いてました。すっごく可愛くて美人で大好きな先輩だって言ってましたよ!」
『嬉しい、ありがとう。』
なつがご祝儀を渡しながら微笑んでいると、騒がしい声が聞こえて来た。
花道「いやはや!そこの美女はなつさんですか!!」
『花道ったら、変わってないわねぇ。』
洋平「なつさん、こんにちは。」
『洋平くん、みんな久しぶりね。』
桜木軍団も到着したようで、なつは懐かしの後輩たちと話していた。
そこには現在桜木と付き合っている晴子もいる。
湘北メンバーが続々と揃い、なつが中学の頃からずっと片思いしていた三井もその中にいた。
挙式は順調におわり、披露宴。
席次表では湘北メンバーは2つの机に纏められていた。
なつの右隣には晴子、左隣には三井の名前が書いてある。
会場に着いてから、何度か盗み見していたが話しかけられないと言うのが彩子とリョータには分かっていたのだろうか、後輩の配慮になつは嬉しく思っていた。
披露宴の受付を済ませ、座席に向かうと三井はもう座っていた。
三井「よぉ。久しぶりだな。」
『うん、久しぶりだね。』
なつが緊張を隠し、微笑むと三井は会話を探そうと唸っている。
三井「あー…そういえば月下、卒業してからは何してたんだ?」
『大学は食物の大学に入って、それも卒業してからは食品栄養の事務で働いてるよ。三井君は、先生になったんだっけ…?』
三井「ああ。まだまだだけどな。湘北で安西先生の補助をしてる。」
『そっか。…まだ24歳だって思ってたけど、みんな大人になったんだね。』
三井「まぁな。…月下。綺麗になったな。」
『っ!!』
なつが驚き、フリーズしていると、三井はゴホンと咳払いをした。
三井「昔から月下は可愛かったけどよ、大人の色気みたいなんが出て、美人になったと思うぜ。婚約者とかいねーの?」
『いないよ。三井君こそ、凄くカッコいいのにいないの?湘北の若い女の先生からモテてそうだよね。』
三井「あー。俺は昔から片思いしてる奴がいるから。そいつしか眼中にねーよ」
『そっか……実るといいね。』
三井が少し顔を赤くしながら言ったため、なつは自分には三井の心に入る隙がないと思い、にっこりと微笑んだ。
披露宴は順調に進んでいき、各ヶは順番に新郎新婦に話しに行っていた。
『彩子、リョータ、結婚おめでとう。』
彩子「なつさん!晴子!」
リョータ「ありがとうございます。」
『リョータも、長年の片思いが報われてよかったね。彩子に一目惚れだもんね。』
彩子「そうなんですか?」
『うん、リョータって中学で有名だったからスカウトしに行ったの。そしたらフららてさ?部活一度は見に来てねって伝えて、彩子の姿みた途端に180度考えが変わったのよ。ね?リョータ』
リョータ「よく覚えてるな…」
なつはクスクスと笑い、リョータは少し恥ずかしそうにしていた。
『彩子、すっごく綺麗、似合ってるわ』
晴子「ほんとに!とても綺麗です!!」
彩子「なつさんも晴子も、とても綺麗よ。」
『ありがとう。』
リョータ「三井さんなんて、こんな綺麗ななつさんにメロメロだったんじゃないの?」
ニヤニヤと彩子はからかうように言う。
なつは一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに笑った。
『そんな事ないよ、眼中にないって言われちゃったし!』
彩子「え?」
晴子「それって本当ですか…?」
『うん、ずっと片思いしてる人が居るみたいなの。だから、その人以外は眼中にないんだって。
片思いの辛さはすごく分かるし、三井君には幸せになって欲しいから応援しようと思うの。
私もそろそろ彼氏作らないと婚期遅れちゃうから。』
できるだけ明るく、そう思いながら話すと、予想以上に皆はけろっとしていた。
リョータ「諦める必要ねーんじゃねーの?」
『え?』
彩子「そうよ、リョータの言う通りですよ。なつさんは美人なんだからもっと自信持って!」
その後、リョータと彩子は何か二人でブツブツと言い始め、なつと彩子は席に戻った。
─────
その後、元湘北バスケ部員達は集まり写真を撮ったりであっという間に披露宴は終わった。
『晴子、二次会行くよね?』
晴子「はい!あっ、でも…桜木君が…」
晴子は申し訳なさそうに、花道と行く約束をした事を伝えると先に行ってしまった。
タクシーはなかなか拾えない。
肌寒いこの季節。なつが肌をさすりながら立っていると、肩にふわりと温かいコートがかけられた。
三井「晴子と一緒じゃねーのか」
『うん、花道と行ったよ。式のうちはずっと私が晴子を独り占めしてたし、花道も寂しいでしょ。』
三井「まぁそうだな。」
三井は高校時代、よくいじけていた花道を思い出したのか優しく微笑んだ。
『…三井くん、ありがとう。寒くない?』
三井「ああ。普段から鍛えてるし寒くねーよ。月下も風邪を引いたら大変だろ。」
『…優しいね。』
三井「普通だよ」
三井がそう言うと、ちょうど前にタクシーが止まった。
運転手は三井様でしょうか?と伺ってきている。
三井「月下も乗るだろ。」
『いいの?』
三井「ったりめーだろ。」
なつは礼を言うとタクシーに乗り込んだ。
二次会は主役二人の同級生達がたくさんいたり、リョータの職場の上司がいたりでまた違う盛り上がりを見せていた。
そして、二次会が無事おひらきになった頃、なつは外でタクシーを待っていた。
「あれっ、お姉さん結婚式の帰り?」
「ねぇねぇ、無視しないでさ、今から俺たちと飲みに行かねー?」
チャラそうな男二人が話しかけてくる。
なつは無視を続けてたが腕を掴まれた。
『っ…離してください。』
「へぇ、結構気が強いじゃん。」
『迷惑なんですけど。警察よびますよ?』
なつはキッと男たちを睨む。
その時、なつの腕を掴んでいた男が誰かによって離された。
三井「俺の女に何勝手に触れてんだよ。」
『え…』
三井「なんだテメェ等。お前も俺から離れんなっつったろ。」
三井は目で俺に合わせろとでも言うようになつを見据える。
『えっと…うん、ごめんね。』
「な、なんだ彼氏持ちかよ。」
三井か男達にガンつけていたお陰か、2人のナンパ師はそそくさと退散していった。
『ありがと。助けてくれて。』
三井「月下はもっと気をつけろよな。こんな時間に1人でいるんじゃねーよ。」
『仕事中もいつもこんな時間だし、大丈夫だと思ってた。』
なつが言うと、三井は少し考えるそぶりをしていた。
三井「いつも、か…職場はどこだ?」
『この辺だよ。』
三井「ここは帰り道だからよ、今度から終わったら連絡しろよ。いつも車だし、家まで送ってやるよ。」
『三井君も仕事大変でしょ?疲れてるだろうし、そんなのいいよ。』
三井「だめだ。月下がいつもあんな奴らに絡まれてると思う方が心配になるだろ。」
『ほんと三井君優しいよね。ありがとう。…でも、高校の時からずっと片思いしてる人がいるんでしょう?誰にでもそんなに優しいと、勘違いされちゃうよ?』
三井君には、私には入る隙のないくらいにずっとその人に想いを寄せている。
なつは三井に心配してもらえて嬉しい気持ちもあったが、同時に悲しく思った。
──────────
取り敢えずあの日は三井君に家まで送って貰った。
あの後、三井は何かを言った後何も話してこなくなり、沈黙が続いていた。
…車の音で聞こえなかったけど、なんて言ったのかな…
今日も残業で気付けば24時を回っていた。
マンションに入る寸前、「仕事終わったら、絶対に連絡してこいよな。俺が職場の前に着いたら電話するから、それまでは外に出るな。」と念を押すように三井は言ったが、こんな夜遅くに連絡したら彼も仕事で疲れてるだろう。
そう思って身支度を済ませていると、着信音がなった。
『もしもし…』
三井「俺だけど、まだ職場か?」
『ううん、もう家に着いてるよ。』
三井に職場だとバレると自分の事も考えずに来そうなため、なつは咄嗟に嘘をついた。
「こんな遅くまでご苦労様です!月下さんが最後ですね?」
『あっ…はい』
タイミング悪く警備員さんに話しかけられ、なつが渋々答えると三井のため息が受話器から聞こえてきた。
三井「…まだ職場なんだな。」
『ごめんなさい、こんな時間だし三井君も仕事忙しいのに迷惑かけたくなくて…』
三井「迷惑だなんて思わねーから、職場の住所送ってこいよ。迎えに行くからよ。」
『ありがとう。』
なつが三井に職場の位置を教えると、10分後に着いたとの連絡が来た。
『こんな夜中遅くにごめんね…』
三井「いいって、俺も帰る所だったからよ。」
『嘘だ。』
三井「はぁ?なんで…」
『だって、三井君から石鹸の匂いするもん。とっくに家帰ってたんでしょ?髪も少し濡れてる。』
三井「はぁ…月下に嘘はつけねーな。流石湘北の敏腕マネ。」
『三井君は特別分かりやすいの。』
…だってずっと見てきたんだもの…
なつは改めて失恋を痛感して誤魔化すように外を眺めると、マンションの前に着いた。
『三井君、ありがとうね。』
三井「おう。」
ニカッと笑うその笑顔が好きだ。
バスケをしてる時の真剣な姿や、授業を受けていた時のだるそうな態度、堀尾君達と話している時の楽しげな表情、花道達後輩と話す先輩らしい所、一度挫折を味わった経験から、弱いものを思う気持ちやそこから這い上がった根性、全てが好きだった。
本当にこれで最後にしよう。そう思いなつは三井に微笑んだ。
『三井君は昔から本当に優しいよね。こんなに素敵な人なんだもの。きっと昔から片思いしてる人にも振り向いてもらえるよ。応援してるね。……じゃ!またね!送ってくれてありがとう。』
なつがそれだけ言い外に出ようとすると、三井はなつの腕を掴んだ。
三井「月下は、俺が誰にでもこんな事してると思ってんのか?」
『え…うん、そうだけど…』
三井「俺は好きな女以外の心配なんてした事もねー。そんなにお人好しじゃねーよ。」
三井はなつの目を見据えて離さない。なつも三井から目を離さずにいた。
三井「俺の言ってる意味、鈍感な月下でも流石にわかるよな?」
『えっと…』
三井「昔からずっと、月下の事が好きだったんだよ。今でもその気持ちは変わらねー。…結婚を前提に、俺と付き合ってくれないか?」
『…その…』
三井「勿論、返事は今すぐじゃなくてもいい。何年でも何十年でも何百年でも待つ。」
大好きだった人の好きな相手がまさか自分だとは思ってもおらず、なつは今までの思いが溢れ出て、涙が溢れていた。
『…私でよければ…お願いします』
私の涙を拭きながら、ニッコリと微笑む彼はやはり私の大好きな人。
その日はもっと一緒にいたいと思い、家に泊まるようにお願いしたが、三井君は私を大切にしたいからと帰ってしまった。
─────
一年後
私は三井君と同棲をしていた。
『三井君、起きなよ~。朝ごはんできてるよー?朝練遅刻しちゃうよー?』
三井「zzz」
『もう…』
眠っている彼は、高校の時の幼い表情に近い。
鼻筋は通ってるし、まつげは長いし、整ってるなぁと学生時代も思った事がある。
それを懐かしく思っていると、腕が伸びてきてベッドに引き込まれた。
三井「何見てんだよ」
『…昔を思い出すな~って思ってただけ。授業中、よく寝てたもんね。』
三井「あー、寝てたな。」
『おはよ。』
なつが微笑むと、三井はなつをギュウッと抱きしめた。
三井「毎日、すげー幸せ。ありがとな。」
『私もだよ。』
三井「もう少しだけ、こうしてても良いか?」
三井の手が、なつの服の中に忍び込もうとしている。
なつは三井の額をパシッと叩いた。
『だーめ!早く朝ごはん食べて朝練行かないと、部員の子達が困るでしょ!』
三井「ちぇ…」
拗ねながらも支度をする。
毎日朝起こすのは本当に大変だけど、大好きな彼とこんな生活が送れる私は本当に幸せだった。
end