スラムダンク
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残りの登校日も少なくなった今日。
私が机の横にかけている袋を見ながらドキドキしていると、それを渡そうとしている人が登校してきた。
「ほらほら、なつ!挨拶挨拶!」
私の机にもたれている親友の智恵は協力をしてくれようと生を肘でグイグイ押している。
すると三井君は智恵を見て口を開いた。
三井「おい長谷川、朝から何俺を見てニヤニヤしてんだよ。きもちわりー。」
智恵「はぁ!?してねーよ!」
三井「お前、いい加減その口調なおせよな。月下からも嫌なら言っていいんだぜ…口調直せって。」
『え?う、うん………私は、別に気にしてないから…』
………!!はなせた!!!
三井と目が合い、すぐに顔を俯けて言うと智恵はなつに抱きついた。
智恵「あんたと違ってなつはそんな事思わないんだよー!」
三井「月下も気の毒だよなー。」
三井君と智恵は言い合いをしている。
仲よさそうな二人を見ているのはとても辛い。
………智恵は気づいてないかもだけど、
三井君は智恵のことがすきなんだ。
本人から直接聞いたってわけでもない。
でも、いつも私が三井君を遠くから見つめていると、三井君は智恵のことを見てる。
だから私は三井君に告白もできずにおとなしくしている。
知り合った中学から、六年間ずっと思いを伝えられないでいた。
智恵「にしても三井、その紙袋何?バレンタインチョコ?」
三井「あー、そうだけどよ、こんな食べれねーしいらねーんだ。お前らどれかやるよ。」
智恵「えっいいの?ラッキー!」
智恵は五つくらい包みを開けて食べている。
三井君はふと笑うと私にも紙袋を差し出してきた。
三井「月下も食うか?」
『………三井君、…甘いもの、嫌いなの?』
三井「いや、嫌いってわけじゃねーけど…こんな山ほど貰うよりもだな
………好きな女に貰うほうが…嬉しいだろ…」
三井君は向こうを向いて表情が見えない。でも耳が赤くなってるからきっと照れてるんだと思った。
三井君の想い人の智恵はそんなのも気にせずどんどん包みを開けている。
三井君にこんなに思われて智恵は幸せ者だな…なのにすごく呑気だし。
羨ましいよ…
『そうだね。でも私は貰うの遠慮するね。』
三井「そうか?」
『うん。』
智恵「なつ、今日渡す為にいっぱいクッキー試し焼き今ちょっと甘いもの控えてんだよね!
なつのクッキー、めっちゃ美味いから!」
智恵は今朝私が渡した包みを開けると、クッキーを頬張った。
三井「長谷川、俺にも一つくれよ。」
智恵「むりー!」
三井「はぁ!?俺のたらふく食ってるだろうが」
智恵「そんなになつの欲しい?」
三井「旨そうだからな。」
智恵「じゃあなつに直接貰えばいいじゃない。これは私のだから!」
智恵がそう言い完食すると、三井君は机にかかっている紙袋を見てから目をじっと見てきたのでほてる顔を隠すために俯いた。
『え…えっと………』
三井「……月下、その紙袋って誰かに渡すやつか?」
『…うん、……そうなの…』
三井「…じゃあ要らねーわ。人にやるヤツを貰うわけにもいかねーしな。」
三井君はそういうと、イヤホンで音楽を聴いて何時ものように眠りについた。
要らない…か…そうだよね。三井君は智恵から欲しいんだもんね………
いつもは席が隣で嬉しく思ってたけど今回ばかりは辛い。
『智恵、もう先生来るよ?席につきなよ。』
智恵「?…うん。昼休みも無理だったら、放課後渡しな!バスケ部、一緒に観に行こ!」
『ありがとう、智恵。』
智恵はニッコリと笑うと、席に戻った。
─────
結局昼休みになっても渡せず、いよいよ放課後となった。
彩子「なつさん智恵さーん!!!」
『久しぶりだね。』
智恵「チューッス!」
扉を開けると、私たちに気づいた彩子は抱きついてきた。
離れたところでは晴子ちゃんがOB戦との試合の得点を入れている。
『三人は早いね、もう来てたんだ。』
智恵「私もバスケしたいー!シオ!代わって!」
『私も彩子たち手伝うね。』
選手兼マネージャーだった智恵はOBチームにいた潮田と交代で入った。
公式戦には出れなかったが、智恵はとても楽しそうにバスケを三年間続けていた。
智恵は凄いと思う。だからこそ、三井君と支え合うことができるし、お似合いだと思ってる。
それが凄く辛いんだ…
─────
放課後、みんなの帰り支度が終わるのを待っていると赤木が一番に来た。
赤木「なつ、三井にはもう渡したのか?」
『…ううん、まだ。なかなか勇気出せないよ…六年間同じクラスなのに、未だに話すのは緊張するもん…』
赤木「そうか。なつは三井と話すとき不自然なくらい目が泳ぐからな。」
『もう…楽しんでるでしょ。酷いなー』
赤木「応援してるんだぜ、俺は。」
私ががペシッと赤木を叩くと、赤木は笑みを浮かべ、ポンと手を頭に置いた。
『ふふ、赤木ってお父さんみたいだよね。…顔が老けてるからかな?』
赤木「おい、お前の事ばらすぞ」
『えっ、酷いよそれはー!』
桜木「あーー!!!!!なつさんとゴリがまたイチャツイテル!!!
なつさん、離れてください!ゴリは危険です!」
走ってきた桜木はそういうと私をグッと引き寄せて赤木から距離をとった。
いや、桜木すごく汗臭いよ、せめて着替えるとき汗綺麗に拭きなよ。まあそういう所も可愛い後輩なんだけど。
『赤木は野生動物だからね。』
赤木「たわけ!」
私と桜木はゴ…赤木からゲンコツを食らってしまった。
『……赤木なんて智恵に告白もできないヘタレなくせに…』ボソッ
赤木「黙らんか!殴るぞ!」
『殴ってから言わないでよ…』
木暮「はは、相変わらず二人は仲良いなぁ。お前も思わないか?三井。」
声をした方を見ると、木暮たちが来ている。
バレンタイン、渡さなくちゃ…
でも今はみんながいるから渡せないな…
三井君をチラッと見ると、三井君はこちらを見ていた。
反射的に目を逸らしてしまった私に智恵は抱きついてきた。
智恵「なつっ、帰り道に私がチャンス作ってあげる。」
『智恵…』
智恵「私に任せなさいっ!」
『ありがとう。………私、頑張るね。』
私、智恵、三井君、赤木はいつも途中まで帰り道が同じで、途中から幼馴染の智恵と三井君、赤木と私に別れて帰っていた。
そして、その分かれ道に着いた。
赤木「じゃあな。また来週。」
『二人とも、またね。』
智恵「あー!!!ちょっと待って赤木!!!!今日みんなに渡してた義理チョコ、赤木の分だけ家に忘れたんだ~。だから今日送ってくれない?」
智恵の発言に、バレンタインを自分だけもらえなかったと少しガッカリしていた赤木は頬を染めて了解した。
暗いから智恵たちは気づいてないかもしれない。でも私には分かる。赤木って智恵と話すとき直立になることがおおいんだもん。
『ふふっ』
赤木「タワケ…笑うな」
智恵「あっ、でも赤木が私を家まで送ったらなつが一人になるなー。
夜道を一人で歩くのは危ないなー。ましてやなつって凄く可愛いし。」
『可愛くはないけど…確かに少し怖いかも。私も一緒に智恵の家行こっかな』
智恵「ダメ!そんな事したら、なつが家に帰るの遅くなるし両親が心配するって。」
智恵はニヤリと笑うと三井君を見てワザとらしく声を上げた。
智恵「あっ、あんたがなつを送ってあげなよ!あんたも目つき悪いし充分用心棒になるっしょ。」
『えっ…い、いいよ…悪いよ………』
智恵「なつもこんな奴に遠慮しなくて良いから。ほら三井!あんたも男出せよ!」
三井「うっせーな。送りゃいいんだろ。」
『本当にいいから!!私、帰るねっ……』
三井君の機嫌の悪い声を聞くと泣きそうになり、走ってその場から離れた。
──────────
曲がり角を曲がると、もう走るのも嫌になり座り込んでしまった。
涙が溢れてくる
そりゃ、好きな人から違う女の子を送れって言われたら嫌な気分になるよね………
私がもし三井君の立場なら凄く嫌だもん。
『もう、やだ………』
三井「月下!お前なに急に走ったんだよ。一人で歩いたら危ねーだろ。」
『!!……ごめんなさい』
三井君…追いかけてきてくれたんだ…
私はいつも三井君の優しさに甘えてばっかり………
涙が止まらず、立てないでいると三井君は私と目線を合わそうと座った。
三井「ごめんな。」
『え…?』
三井「泣くほど俺が嫌なんだろ…六年間同じクラスでも話すとき怖がってんもんな。」
『…』
三井「それに、その紙袋。赤木に渡そうとしたんだろ?今からでも呼んでくるぜ。」
『やめて!違うよ!!』
立ち上がろうとした三井君の手を咄嗟に掴んでしまった。
三井君は立つのをやめもう一度話を聞こうとしてくれてる。
すごく緊張する…でも私が好きなのは…
『私が好きなのは…赤木じゃないよ……
そんな事言わないで…
いつも、三井君と話すときは緊張して目が見れなかった…同じクラスでずっと嬉しかった…
三井君には……三井君にだけは勘違いされたくないよ…!!』
三井「月下……」
『このお菓子も、三井君に渡したくて…
今日、ずっと渡したかったのに勇気が出せなくて…
三井君、好きな人以外からのお菓子は要らないって言ってたし、私なんかが渡してもって…』
私が震える手で紙袋を渡すと、三井君は受け取り、一つ食べてくれた。
三井「旨ェ…」
『やっぱり三井君って優しいね…
智恵の事が好きなのに、私にもこんなに優しくしてくれて……』
三井「月下、お前も勘違いしてんぞ。」
『え…?』
三井「だいいち、俺はそんなお人好しじゃねーから、好きでもねー奴に優しくしない。
中学のときからずっと月下の事が好きだったんだよ。今もな。」
『………』
三井「…付き合ってくれ。」
『お願い します…』
三井君はニコッと笑い、頭を優しく撫でてくれた。
─────
月に照らされた三井君は凄くカッコよくて、見惚れていると目が合ってしまった。
『っ//』
三井「逸らすなよ。もう付き合ってんだから目を逸らす必要ねーだろ?」
『……だって///』
三井「ったく…」
三井君は照れたように明後日を向くと、もう一度こちらを見て三井君の腕の中に引き寄せられた。
三井「…俺はこの、照れ隠しを嫌われてるって勘違いしてたんだな。」
『///』
三井「やべェ…すげー嬉しい。」
『///』
なつが恥ずかしすぎてショートしていると、三井は走ってきた智恵に頭を思いっきり叩かれた。
三井「いってーな!何すんだよ空気読めよ!」
智恵「空気なんて読めるわけないって!今止めなかったら絶対あんたよからぬ妄想してたでしょ!」
三井「は!!?し、してねーよ!!!お前何言ってんだ!?」
智恵「どうだろうね?なつは可愛いから。照れてたらマジ可愛いから。あんたの息子も勃ってんじゃないの?妄想膨らませすぎて!」
三井「お前、なに考えてんだよ!!勃っても我慢するに決まってんだろ!!」
智恵「それで家帰ってからなつの写真で抜くんでしょ?良いのあげよっか、この前行った海の…」
三井「っ…」
智恵「欲しそうな顔してるねー。」
智恵が水着姿をしたなつの写真をひらひらとしていると、赤木はゴホンと咳払いした。
赤木「お前ら、ええ加減にせんか。」
『もう良いよ、赤木君帰ろ?』
三井「なつお前何赤木の腕引っ張ってんだよ!」
智恵「赤木も何なんともない顔してんのよ!」
『…………?え?…えっ!?赤木!!?』
赤木を見ると、赤木は赤くなって「そういう事だ」と頷いたので嬉しくて抱きついてしまった。
『きゃー!赤木おめでとう!!!』
赤木「ああ、ありがとうな、なつ。」
三井「おい赤木!お前なに馴れ馴れしく名前で呼んでんだよ!!?」
智恵「そうだよ!私の事なんて、ずっと長谷川なのに何でなつだけ名前で呼んでんの!?」
二人は赤木にヤジを入れ、結局私の家までみんなで帰り、解散した。
赤木、どんまい
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