連射の音が止まった。


操はどこも痛くない、自分は弾が当たっていないと分かりギュッと瞑っていた目を恐る恐る開けた。


武尊は相変わらず操の前に立っていた。


操はガトリングガンはどうなったかと観柳の方を見た。


観柳は唖然と口を開けて何かに驚いている様子だった。



「何がどうしたんだ・・？」



確かに自分は目の前の二人に向かってガトリングガンをぶっ放したはずだった、と観柳は目が点になっていた。


弾詰まりもなく発射したはずなのに二人とも無傷のままなのだ。


観柳は自分の目を疑った。









武尊は観柳の先ほどの観柳の言葉で残念だが確信を持ったことがある。



信じられないと自分を見ている観柳に武尊は静かに言った。



「救いようがないとはあんたの事かもしれないね、武田さん。新型阿片を再び作って、そんな武器を密輸して・・あなたのやる事はきっと誰のためにもならない・・。」



ここにもいた・・何を言っても無駄な悪党、普通に生きている人を不幸にするだけの存在が、と武尊は観柳を見た。


そして今、操を助けるためにも武尊は心に決めたのだ。



『迷うな・・！』



武尊の決意を後押しするように斎藤が武尊に教えた言葉が耳元で聞こえるような気がした。



「操ちゃん立って。そして私に力を貸して。」



武尊は観柳から視線を外さず後ろでしゃがみ込んでいる操に声をかけた。



「でも・・。」



操は今にも再び自分に向かって発射されそうなガトリングガンの銃口に恐怖して足がすくんでいた。



「大丈夫。」



操の不安を打ち消すように武尊の声は落ち着いていた。



「大丈夫って・・！武尊さん、あれはガトリングガンよ！逃げて！」


「大丈夫ったら大丈夫。今は負ける気がしない。」



武尊はそう言ってぐっと観柳を見据えた。