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256.タイムパラドックス (斎藤・夢主)

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斎藤が九条の始末をつけたのも気が付かないくらいに武尊は何故か目の前の市彦の遺体から目が離せなかった。


武尊の頭の中には市彦の言葉がガンガンと繰り返されていた。



(『これでやっと蘭子さんと眠れる』ってどういう意味・・?)



視線を壁際をなぞるように移動させるが位牌や薬箱ほどの小さな箪笥の他は全部で五個ほどある小さな瓶・・いや壺が置いてあるだけの部屋。



(位牌がここにあるからってこと・・?)



その時武尊の視線が真ん中の壺に駆けられているあのロケットペンダントで止まった。



(もし・・もしもあれがマーティンが恋人にあげたというペンダントだったら・・)



武尊は市彦の父の妻はラシャメンの娘だったという話を思い出して順を追った。



(つまりマーティンの恋人だった日本人女性が女の子を産んでその人が兄様のお父さんの奥さん・・そしてその子供が蘭子さん・・?)



武尊の思考がそこで停止した。



(・・え?)



世間は狭いというがまさかそこで繋がるかと武尊は思った。



(いや、、だってあのロケットペンダントがマーティンからだったと仮定するとそう言う事になるでしょ。だから蘭子さんはお母さんの形見としてこれを持っていた・・。)



だけど仮定なんかじゃない。


この手作りロケットペンダントが今の日本に二つあるなんてありえない。


蘭子は間違いなくマーティンの孫だと武尊は思った。


だとするとこんな悲しいことはない。


マーティンから預かったロケットペンダントを渡す人が既に亡くなっていたという事実。


しかもあんな死に方をして。


武尊は掌の中のペンダントをぎゅっと握りしめた。


だがその時そう思うと同時に川路と市彦二人の言葉が思い出された。



(川路は私の髪の色を蘭子の髪の色と同じ色だと言った・・そして兄様は私を蘭子さんと瓜二つだと言った・・。)



次に武尊の脳内に流れたのは十六夜丸に見せられた蘭子の姿。それを見て自分も蘭子とそっくりだと思ったこと。



同時にこの間夢で見たばかりの未来の画像が思い出される。



武尊が研究所を出て海へ身を投げる前に見た自分が作り出された遺伝子が何処にあったかという動画。



何故だか次々と連鎖する記憶。



「『比叡山の麓の洞窟で・・』」



テレビのアナウンサーの言葉を武尊は無意識に声に出していた。



武尊?」



斎藤は様子がおかしい武尊の顔を覗き込むと武尊は酷く青ざめていた。



武尊はハッとして辺りを見回した。



「ここ・・もしかして・・。」



武尊はある仮説に固まったと同時に自分という存在が突然希薄に感じた。


自分がクローンという存在だということがはっきり思い出される。


と、同時に原型が誰なのか。


自分の仮説が正しければ何故川路や市彦がそう言ったのも理解できる。



(私は蘭子さんのコピーだ・・。)



突然時間が自分の所だけ未来に帰った気がした。


これもまるで十六夜丸に見せられた映像の一部ではないかと思えるほどに過去の映像を見ている気がした・・。
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