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254.見届ける為に (斎藤・夢主)
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「気は済んだか。先はまだ長いぞ。」
「・・先の事考えてなかった。」
「阿呆。」
少し先でバテて肩で息をしている武尊に斎藤はそう言い放った。
斎藤に会ってテンションが上がっていたため病み上がり状態だったのをすっかり忘れていた武尊だったが身体は正直だった。
「首に縄を付けて引いてやろうか。」
「か・・勘弁。」
冗談じゃないかもしれない斎藤の嫌味を返す元気もなく急に歩くスピードが落ちた武尊だった。
(まずい・・置いてかれる・・。)
斎藤がまず任務優先だということは十分承知。
迷惑はかけたくないという気持ちでこのまま帰ろうかという気分になる。
すると少し前を歩いていた斎藤が立ち止り、
「掛け蕎麦二十杯で手を打ってやる。」
と背を向けてしゃがんだ。
「へ?」
目を丸くする武尊に斎藤は、
「早く乗れ。」
とせかした。
「置いて行かれたいのか。」
「いや、そんなわけないけど・・。(まさかのまさか、おんぶしてくれるってこと!?)」
あまりにも唐突な斎藤の行動に唖然というか、本当におんぶしてくれるの、されちゃっていいのと固まっていると、
「遅い!」
と斎藤は立ち上がった。
(あ・・折角のチャンスを逃しちゃった。)
と武尊がガッカリするかしないかの瞬間、
「きゃあ!」
と武尊の声が森に響き、ふわりとした浮遊感と同時に武尊の視界が急に高くなった。
不安定な姿勢をに何か捕まるものは、と慌てて捕まるものを探すと斎藤の頭を掴んだ。
斎藤は立ち上がった後武尊の後ろに回り込みそのまま頭と武尊の股に突っ込み有無を言わさず持ち上げたのだった。
「高いっ!」
「ついでに怪しいものがないかそこから見てろ。」
肩車をされた武尊は、うっ、っと小さく唸った。
「この歳になって肩車だなんて・・。」
「早く背中に来ないお前が悪い。」
「だって・・おんぶだってずかしいのに・・。」
「こんな山の中で誰が見てるというんだ。」
「そりゃそうだけど・・。」
お陰でおんぶより恥ずかしい肩車をされ不本意ながらも仕方なしに斎藤の頭にしがみつく自分がまた恥ずかしい。
それでもその一歩一歩揺れに斎藤の愛しさを幸せに思う武尊だった。
だがそうした浮かれた気持ちも心が落ち着けば覚めてくる。
斎藤の頭を持ちながら、軽はずみに一緒に行くと言ってしまってよかったのかと武尊は少し後悔した。
本当は九条なんか自分の知らない所でサクッと一に倒されてしまえばいいと思っていたのに、その先にある本当の自分の気持ちに気が付いてしまった。
(私は九条を許せない。一が蹴りをつけるのなら私はそれを見届けたい・・。)
それで長かった悪夢が終わるのだと武尊は思ったのだった。
2017/9/28
「・・先の事考えてなかった。」
「阿呆。」
少し先でバテて肩で息をしている武尊に斎藤はそう言い放った。
斎藤に会ってテンションが上がっていたため病み上がり状態だったのをすっかり忘れていた武尊だったが身体は正直だった。
「首に縄を付けて引いてやろうか。」
「か・・勘弁。」
冗談じゃないかもしれない斎藤の嫌味を返す元気もなく急に歩くスピードが落ちた武尊だった。
(まずい・・置いてかれる・・。)
斎藤がまず任務優先だということは十分承知。
迷惑はかけたくないという気持ちでこのまま帰ろうかという気分になる。
すると少し前を歩いていた斎藤が立ち止り、
「掛け蕎麦二十杯で手を打ってやる。」
と背を向けてしゃがんだ。
「へ?」
目を丸くする武尊に斎藤は、
「早く乗れ。」
とせかした。
「置いて行かれたいのか。」
「いや、そんなわけないけど・・。(まさかのまさか、おんぶしてくれるってこと!?)」
あまりにも唐突な斎藤の行動に唖然というか、本当におんぶしてくれるの、されちゃっていいのと固まっていると、
「遅い!」
と斎藤は立ち上がった。
(あ・・折角のチャンスを逃しちゃった。)
と武尊がガッカリするかしないかの瞬間、
「きゃあ!」
と武尊の声が森に響き、ふわりとした浮遊感と同時に武尊の視界が急に高くなった。
不安定な姿勢をに何か捕まるものは、と慌てて捕まるものを探すと斎藤の頭を掴んだ。
斎藤は立ち上がった後武尊の後ろに回り込みそのまま頭と武尊の股に突っ込み有無を言わさず持ち上げたのだった。
「高いっ!」
「ついでに怪しいものがないかそこから見てろ。」
肩車をされた武尊は、うっ、っと小さく唸った。
「この歳になって肩車だなんて・・。」
「早く背中に来ないお前が悪い。」
「だって・・おんぶだってずかしいのに・・。」
「こんな山の中で誰が見てるというんだ。」
「そりゃそうだけど・・。」
お陰でおんぶより恥ずかしい肩車をされ不本意ながらも仕方なしに斎藤の頭にしがみつく自分がまた恥ずかしい。
それでもその一歩一歩揺れに斎藤の愛しさを幸せに思う武尊だった。
だがそうした浮かれた気持ちも心が落ち着けば覚めてくる。
斎藤の頭を持ちながら、軽はずみに一緒に行くと言ってしまってよかったのかと武尊は少し後悔した。
本当は九条なんか自分の知らない所でサクッと一に倒されてしまえばいいと思っていたのに、その先にある本当の自分の気持ちに気が付いてしまった。
(私は九条を許せない。一が蹴りをつけるのなら私はそれを見届けたい・・。)
それで長かった悪夢が終わるのだと武尊は思ったのだった。
2017/9/28