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254.見届ける為に (斎藤・夢主)
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「だがいいのか、黙って遠出すると厄介な事になるんじゃないのか。」
斎藤は意味あり気に口角を上げて武尊に一応確認した。
武尊はまた斎藤の意地悪が始まったと、
「お邪魔虫はいない方がいいのよ。」
と流した。
「後で五月蠅い奴に絡まれるのは御免だからな。」
「だから蒼紫・・」
「誰も四乃森だとは言ってないが。」
速攻突っ込まれて語るに落ちたと武尊はハッとししてやられたと唇を噛んだ。
だがここで武尊は違和感を覚えて斎藤を見ると楽しそうに見える表情に首を傾げた。
(いつもなら蒼紫の話が出るだけで不機嫌になるはずなのに・・。)
武尊は斎藤が何故笑っているかが分からなくて首を傾げる。
斎藤からすれば変わらない武尊そのものが愛しくて自分の傍にいる、ただそれだけのことでつい笑みがこぼれてしまうのだ。
たとえ武尊が蒼紫の手にかかったのだととしてもあれだけ蒼紫を煽ったのは自分であり、その上二人きりにする機会を与えたのも自分である以上武尊を責めるわけにいかない。
どんな女でも落ちると言われる御庭番衆性技の奥義でも喰らった可能性もある中で武尊の変わらない自分への想いを感じると都合の良い自己満足に煙草が少し苦い。
そんなことでしばらく無言で歩いていた二人だったが、
「そういえば『兄さん』には会えたのか。」
と、斎藤はふと切り出した。
それは兄を探していると再三武尊が言っていたからだ。
「・・ううん、もういいの。」
武尊は首を横に振った。
あっさりとした予想外の答えに斎藤は多少驚いた。
「あれだけ言っておきながら諦めるのはお前らしくないな。」
眉間に皺を寄せる斎藤に武尊はへへと笑う。
思えば兄に会いたかったのは薬や十六夜丸の事について知りたかったからだ。
だけどもそれは十六夜丸に見せられた過去によって恐らく兄に聞くより詳細に分かってしまったからだ。
「もう師匠の所に帰るしさ、精一杯やったんだし、葵屋では騒ぎたくないし。一や川路さんのお陰でいろんな事分かったし・・ただ今は兄様が生きて元気でやっててくれればいいな、って今は思うの。一にはとても感謝してる、ありがとう。」
知らなかった方が良かったとも思える十六夜丸の壮絶な過去と悲しい兄妹の運命。
それでも命尽きる前に知る事が出来てモヤモヤが少し晴れたのは良かったし、こうやって斎藤にお礼が言えたので胸の内がスッキリした。
「ふふ。」
「何が可笑しい。」
「ありがとう、一。」
「む。」
「ふふ・・ありがとう。」
感謝の言葉をのべればのべるほど幸せな気持ちが溢れて思わず笑みが漏れる。
「何だ一体、俺は礼を言われるような事はしてないぞ。」
「いいの、沢山お世話になったんだから。こんなに気持ちいいのならもっと早く沢山ありがとうを言っておけばよかった!」
武尊は斎藤が呆れるほど浮かれ足でお礼を言い続けた。
斎藤は意味あり気に口角を上げて武尊に一応確認した。
武尊はまた斎藤の意地悪が始まったと、
「お邪魔虫はいない方がいいのよ。」
と流した。
「後で五月蠅い奴に絡まれるのは御免だからな。」
「だから蒼紫・・」
「誰も四乃森だとは言ってないが。」
速攻突っ込まれて語るに落ちたと武尊はハッとししてやられたと唇を噛んだ。
だがここで武尊は違和感を覚えて斎藤を見ると楽しそうに見える表情に首を傾げた。
(いつもなら蒼紫の話が出るだけで不機嫌になるはずなのに・・。)
武尊は斎藤が何故笑っているかが分からなくて首を傾げる。
斎藤からすれば変わらない武尊そのものが愛しくて自分の傍にいる、ただそれだけのことでつい笑みがこぼれてしまうのだ。
たとえ武尊が蒼紫の手にかかったのだととしてもあれだけ蒼紫を煽ったのは自分であり、その上二人きりにする機会を与えたのも自分である以上武尊を責めるわけにいかない。
どんな女でも落ちると言われる御庭番衆性技の奥義でも喰らった可能性もある中で武尊の変わらない自分への想いを感じると都合の良い自己満足に煙草が少し苦い。
そんなことでしばらく無言で歩いていた二人だったが、
「そういえば『兄さん』には会えたのか。」
と、斎藤はふと切り出した。
それは兄を探していると再三武尊が言っていたからだ。
「・・ううん、もういいの。」
武尊は首を横に振った。
あっさりとした予想外の答えに斎藤は多少驚いた。
「あれだけ言っておきながら諦めるのはお前らしくないな。」
眉間に皺を寄せる斎藤に武尊はへへと笑う。
思えば兄に会いたかったのは薬や十六夜丸の事について知りたかったからだ。
だけどもそれは十六夜丸に見せられた過去によって恐らく兄に聞くより詳細に分かってしまったからだ。
「もう師匠の所に帰るしさ、精一杯やったんだし、葵屋では騒ぎたくないし。一や川路さんのお陰でいろんな事分かったし・・ただ今は兄様が生きて元気でやっててくれればいいな、って今は思うの。一にはとても感謝してる、ありがとう。」
知らなかった方が良かったとも思える十六夜丸の壮絶な過去と悲しい兄妹の運命。
それでも命尽きる前に知る事が出来てモヤモヤが少し晴れたのは良かったし、こうやって斎藤にお礼が言えたので胸の内がスッキリした。
「ふふ。」
「何が可笑しい。」
「ありがとう、一。」
「む。」
「ふふ・・ありがとう。」
感謝の言葉をのべればのべるほど幸せな気持ちが溢れて思わず笑みが漏れる。
「何だ一体、俺は礼を言われるような事はしてないぞ。」
「いいの、沢山お世話になったんだから。こんなに気持ちいいのならもっと早く沢山ありがとうを言っておけばよかった!」
武尊は斎藤が呆れるほど浮かれ足でお礼を言い続けた。