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254.見届ける為に (斎藤・夢主)
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まだ少し内出血の痕がある武尊の腕を見て斎藤は改めて頷き説明した。
「見ろ、これが世間を騒がせた吸血鬼の正体だ。」
「え?」
「この間まで鴨川に流れてきた死体には場所は違えども武尊と同じ様な刺し傷があった。イタチ娘の証言もあるしこれは阿片を注射し死んだ奴らを川に捨てたのが流れ着いたということだ。」
「・・なるほどね。」
武尊は解放された腕の袖を戻しながら納得の声を出した。
「でも観柳は死んだし、アジトも燃えちゃったし・・吸血鬼の噂も終わったね。」
武尊がぼそっと呟いた時ふと目の前に橋がある事に気が付いた。
「あれ、こんなところに来ちゃった。警察署ってこっちだった?」
「いや。」
「お蕎麦食べたら仕事に戻るんじゃなかったの?」
斎藤は武尊の言葉に無言で橋を少し渡り、少し強く吹く風に前髪を揺らしながら欄干から鴨川を見下ろした。
「一?」
武尊も斎藤と同じ所まで進み何かあるのかと同じように川を覗き込んだ。
斎藤は、
「ふ・・何故か今日は色々昔を思いだすな。」
と言い、欄干を背にもたれかかると武尊を見てフッと笑った。
「色々?」
「嗚呼、昔正月早々この橋の上で十六夜丸に会ったことがあってな。」
「えっ。」
こんな所で斎藤と十六夜丸が出会っていたと聞いて武尊はびっくりした。
一体そこで何があったのか知りたいと思った矢先に斎藤が片手の手のひらを上にして武尊に差し出した。
「ん?」
まさかこんなところでいきなり『お手』でもしろというのか。
考えあぐねながらも思わずホイっと手をのせると、
「阿呆。」
と速攻で言われ冷たい視線が降って来た。
「えっ、違うの!?」
恥ずかしさ満点で顔を真っ赤にして武尊が言うと、
「薬に決まってるだろうが。没収した以外にも隠し持っていたとは思わなかったぞ。」
斎藤はほら出せ早く出せと手のひらをクイクイと動かした。
「黙ってても無駄だ、観柳のとこで飲んだのは分かってるんだ。残りを出せ。」
「あれは・・あの・・その・・。」
薬を隠し持っていたのがバレて武尊はしどろもどろになった。
怒られると思うと今すぐ逃げ出したい気持ちだ。
その間にも斎藤の手が催促をする。
「あれで最後です!本当です!もう持ってませんっ!」
武尊は気を付けしてから頭を勢いよく下げた。
橋を通る人は二人をチラ見したあと少し遠回りに歩いて行く。
数秒経ち、斎藤のため息とともにその手がポンと武尊の頭をたたく。
武尊が顔を上げると斎藤は、
「もうあんな馬鹿な事は終わりだ、いいな。」
と言った。
(終わりもなにも、私はもう二度と薬を飲むことはないよ。)
武尊はニコニコと頷きながらも心の中でそう呟いた。
「見ろ、これが世間を騒がせた吸血鬼の正体だ。」
「え?」
「この間まで鴨川に流れてきた死体には場所は違えども武尊と同じ様な刺し傷があった。イタチ娘の証言もあるしこれは阿片を注射し死んだ奴らを川に捨てたのが流れ着いたということだ。」
「・・なるほどね。」
武尊は解放された腕の袖を戻しながら納得の声を出した。
「でも観柳は死んだし、アジトも燃えちゃったし・・吸血鬼の噂も終わったね。」
武尊がぼそっと呟いた時ふと目の前に橋がある事に気が付いた。
「あれ、こんなところに来ちゃった。警察署ってこっちだった?」
「いや。」
「お蕎麦食べたら仕事に戻るんじゃなかったの?」
斎藤は武尊の言葉に無言で橋を少し渡り、少し強く吹く風に前髪を揺らしながら欄干から鴨川を見下ろした。
「一?」
武尊も斎藤と同じ所まで進み何かあるのかと同じように川を覗き込んだ。
斎藤は、
「ふ・・何故か今日は色々昔を思いだすな。」
と言い、欄干を背にもたれかかると武尊を見てフッと笑った。
「色々?」
「嗚呼、昔正月早々この橋の上で十六夜丸に会ったことがあってな。」
「えっ。」
こんな所で斎藤と十六夜丸が出会っていたと聞いて武尊はびっくりした。
一体そこで何があったのか知りたいと思った矢先に斎藤が片手の手のひらを上にして武尊に差し出した。
「ん?」
まさかこんなところでいきなり『お手』でもしろというのか。
考えあぐねながらも思わずホイっと手をのせると、
「阿呆。」
と速攻で言われ冷たい視線が降って来た。
「えっ、違うの!?」
恥ずかしさ満点で顔を真っ赤にして武尊が言うと、
「薬に決まってるだろうが。没収した以外にも隠し持っていたとは思わなかったぞ。」
斎藤はほら出せ早く出せと手のひらをクイクイと動かした。
「黙ってても無駄だ、観柳のとこで飲んだのは分かってるんだ。残りを出せ。」
「あれは・・あの・・その・・。」
薬を隠し持っていたのがバレて武尊はしどろもどろになった。
怒られると思うと今すぐ逃げ出したい気持ちだ。
その間にも斎藤の手が催促をする。
「あれで最後です!本当です!もう持ってませんっ!」
武尊は気を付けしてから頭を勢いよく下げた。
橋を通る人は二人をチラ見したあと少し遠回りに歩いて行く。
数秒経ち、斎藤のため息とともにその手がポンと武尊の頭をたたく。
武尊が顔を上げると斎藤は、
「もうあんな馬鹿な事は終わりだ、いいな。」
と言った。
(終わりもなにも、私はもう二度と薬を飲むことはないよ。)
武尊はニコニコと頷きながらも心の中でそう呟いた。