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254.見届ける為に (斎藤・夢主)
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話があると言われ、断り切れなかった武尊は斎藤の後について歩き出した早々、
「九条道明のことは知っているな。」
と、突如言われたその名前にギクッと動揺した。
十六夜丸の過去を見て更に判明した九条と薬の関係。
薬を飲んだ事がすべての始まりだった。
そう思うと気持ちが過去に引きずられて今目に映る京の街並みが幕末と重なる。
(始まりは幕末京都・・)
斎藤が一瞬浅葱の隊服を着ている錯覚まで見えたような気がしたが、煙草を制服のポケットから取り出す動作で現実の景色が戻って来た。
「どうした、呆けた顔をして。」
斎藤はそう言いつつ火を点けた。
「ううん、何でもない。」
斎藤は武尊の答えにフゥゥと煙を吐くと、
「・・まさかお前が九条を知っていたとはな。お前が眠っている間に四乃森から粗方話は聞いた。」
と口火を切った。
武尊は申し訳なくて俯き、
「今回京都に来て思い出すまで九条のことが分からなかった・・ごめんなさい、私の所為で時尾さんが危ない目に・・。」
と言うと斎藤は、
「九条がやったという証拠はない。」
と武尊の言葉を否定した。
「でも!」
と武尊が反論しようとすると、
「だが奴に間違いない。」
と武尊の言葉を遮って今度は肯定した。
武尊は斎藤を見つめた。
斎藤は鋭い目つきで、
「証拠はないが九条は裏では薩長藩閥さえも動かすと言われる【影宮】として名の通った大物だ。今までは正体が掴めず苦労したがようやく阿片密造諸々の件で追及出来る。」
と武尊に言った。
「え?」
その瞬間、武尊の脳裏に蒼紫が言った 『九条が観柳を脱獄させ阿片を作らせたのだ。』 いう言葉が過ぎった。
斎藤は話を続けた。
「俺が函館から露西亜船に乗ったのは九条を捕まえるためだ。」
「え?・・ええっー!」
「阿呆、声がでかい。」
ちょっと回想している間にさらりと重要な話を聞いたと武尊は全力で驚いた。
それは露西亜船では聞いても教えてくれなかった乗船理由。
まさか九条がらみだったとは思いもしなかったーーーと、武尊は斎藤を見た瞬間、頭上に斎藤の拳骨が落ちてきた。
「いっ・・!」
痛いとまた声をあげようとしたが斎藤の視線がそれを許さなかった。
痛いの残りの【たい】の字を口の中でパクパクして抗議の視線だけ斎藤に送る。
ジト目で睨む武尊も可愛いと斎藤は口角を上げて話を続けた。
「函館で阿片がらみで事件が起きていてな、・・まあ色々あってな、視察に来ていた奴に目星を付けて追っていた矢先、船で逃げられたってわけだ。」
「それで露西亜船?(そういえば右近さんが九条達は仙台経由で函館に行くって言ってたよね・・。)」
「嗚呼、九条が出港した方向に向かう船ですぐ出港するのが露西亜船しかなかったからな。」
「よく乗せてくれたよね・・。」
武尊は斎藤の行動力と執念に改めて舌を巻きつつ、まさかその船に自分が乗り込むなんて考えさえしなかったと思った。
思わず見上げた斎藤の顔。
斎藤も武尊を見つつ、そんな武尊の気持ちを知ってるのか知らないでか「まあな。」と言って更に話を続けた。
「阿片がらみの件はしばらく鎮静化しているように見えたが北海道では逆に悪質な事件が増えていてな、その黒幕が更なる阿片の大量生産と質の向上を狙っていたとすれば今回の事件もおおよそ見えて来る。」
「え、それってどういうこと?」
「まず武田観柳が俺達が横浜にいた頃、鍛冶橋監獄署から脱獄している。」
「脱獄・・やっぱり?」
斎藤は観柳が脱獄したことは武尊には言っていない。
「観柳の事をどこで聞いた。」
「蒼紫が・・。」
武尊はバツが悪そうに口を閉ざした。
「四乃森が?あいつは何と言ったんだ。」
斎藤の追及には答えないわけにいかず、武尊は、
「この間、『九条が観柳を脱獄させ阿片を作らせたんだ。』って言ってた。」
と答えた。
「そうか・・。」
斎藤はよくそこまで掴んだと面白くなさそうに煙を吐いた。
「九条にとって観柳は阿片の密造とさばき方と知っている使えるコマ・・といったところだったんだろうな。まあ、悪党の末路に相応しい死に方だったようだがな。」
「うっ。」
斎藤は意味あり気に武尊をジロリと見た。
その視線はまるで薬を飲んだのを咎めるようで武尊は生きた心地がしない気がした。
「そういえば本当に大丈夫なのか?」
「って何が・・?」
恐らく薬の事を言っているのだろうと武尊は思ったがどっちの薬か分からなかったので返答に詰まると斎藤は、
「新型阿片を吸わされたんだろ?」
と聞いたので武尊はホッとしてつい正直な話をしてしまう。
「吸わされたんじゃなくて、打たれたの。注射で。」
「【注射】?イタチ娘もそんな事を言っていたが想像し難いな。」
「えっと、日本にはまだあんまり入ってないと思うんだけど独逸(ドイツ)あたりでは医学が進んでて液体の薬を直接体の中に入れることが出来る器具が発明されたの・・真ん中に穴があいたぶっとい針みたいなものなんだけど、それを血管に射すの。」
と、武尊は手首を返し阿片を打たれた場所、肘の内側を指さした。
「嗚呼あれか・・。」
斎藤は忌々し気に眉間を皺を寄せた。
「『あれ』って・・もしかして・・見た!?」
「嗚呼、お前が志々雄のアジトでぶっ倒れてる時にな。」
斎藤は武尊の腕の刺し痕を思い出した。
「もう一度見せろ。」
「別にいいじゃん!もう何でもないよ!」
「見せろ!」
武尊の腕を掴む斎藤と逃れようとして暴れる武尊。
「ジタバタするな、警官に反抗する怪しい奴と思われていいのか阿呆が。」
「っ!」
そう言われると抵抗も出来ない。
本当に斎藤の思うがままなのが悔しくて武尊は頬を膨らましながらも渋々腕をまくった。
「九条道明のことは知っているな。」
と、突如言われたその名前にギクッと動揺した。
十六夜丸の過去を見て更に判明した九条と薬の関係。
薬を飲んだ事がすべての始まりだった。
そう思うと気持ちが過去に引きずられて今目に映る京の街並みが幕末と重なる。
(始まりは幕末京都・・)
斎藤が一瞬浅葱の隊服を着ている錯覚まで見えたような気がしたが、煙草を制服のポケットから取り出す動作で現実の景色が戻って来た。
「どうした、呆けた顔をして。」
斎藤はそう言いつつ火を点けた。
「ううん、何でもない。」
斎藤は武尊の答えにフゥゥと煙を吐くと、
「・・まさかお前が九条を知っていたとはな。お前が眠っている間に四乃森から粗方話は聞いた。」
と口火を切った。
武尊は申し訳なくて俯き、
「今回京都に来て思い出すまで九条のことが分からなかった・・ごめんなさい、私の所為で時尾さんが危ない目に・・。」
と言うと斎藤は、
「九条がやったという証拠はない。」
と武尊の言葉を否定した。
「でも!」
と武尊が反論しようとすると、
「だが奴に間違いない。」
と武尊の言葉を遮って今度は肯定した。
武尊は斎藤を見つめた。
斎藤は鋭い目つきで、
「証拠はないが九条は裏では薩長藩閥さえも動かすと言われる【影宮】として名の通った大物だ。今までは正体が掴めず苦労したがようやく阿片密造諸々の件で追及出来る。」
と武尊に言った。
「え?」
その瞬間、武尊の脳裏に蒼紫が言った 『九条が観柳を脱獄させ阿片を作らせたのだ。』 いう言葉が過ぎった。
斎藤は話を続けた。
「俺が函館から露西亜船に乗ったのは九条を捕まえるためだ。」
「え?・・ええっー!」
「阿呆、声がでかい。」
ちょっと回想している間にさらりと重要な話を聞いたと武尊は全力で驚いた。
それは露西亜船では聞いても教えてくれなかった乗船理由。
まさか九条がらみだったとは思いもしなかったーーーと、武尊は斎藤を見た瞬間、頭上に斎藤の拳骨が落ちてきた。
「いっ・・!」
痛いとまた声をあげようとしたが斎藤の視線がそれを許さなかった。
痛いの残りの【たい】の字を口の中でパクパクして抗議の視線だけ斎藤に送る。
ジト目で睨む武尊も可愛いと斎藤は口角を上げて話を続けた。
「函館で阿片がらみで事件が起きていてな、・・まあ色々あってな、視察に来ていた奴に目星を付けて追っていた矢先、船で逃げられたってわけだ。」
「それで露西亜船?(そういえば右近さんが九条達は仙台経由で函館に行くって言ってたよね・・。)」
「嗚呼、九条が出港した方向に向かう船ですぐ出港するのが露西亜船しかなかったからな。」
「よく乗せてくれたよね・・。」
武尊は斎藤の行動力と執念に改めて舌を巻きつつ、まさかその船に自分が乗り込むなんて考えさえしなかったと思った。
思わず見上げた斎藤の顔。
斎藤も武尊を見つつ、そんな武尊の気持ちを知ってるのか知らないでか「まあな。」と言って更に話を続けた。
「阿片がらみの件はしばらく鎮静化しているように見えたが北海道では逆に悪質な事件が増えていてな、その黒幕が更なる阿片の大量生産と質の向上を狙っていたとすれば今回の事件もおおよそ見えて来る。」
「え、それってどういうこと?」
「まず武田観柳が俺達が横浜にいた頃、鍛冶橋監獄署から脱獄している。」
「脱獄・・やっぱり?」
斎藤は観柳が脱獄したことは武尊には言っていない。
「観柳の事をどこで聞いた。」
「蒼紫が・・。」
武尊はバツが悪そうに口を閉ざした。
「四乃森が?あいつは何と言ったんだ。」
斎藤の追及には答えないわけにいかず、武尊は、
「この間、『九条が観柳を脱獄させ阿片を作らせたんだ。』って言ってた。」
と答えた。
「そうか・・。」
斎藤はよくそこまで掴んだと面白くなさそうに煙を吐いた。
「九条にとって観柳は阿片の密造とさばき方と知っている使えるコマ・・といったところだったんだろうな。まあ、悪党の末路に相応しい死に方だったようだがな。」
「うっ。」
斎藤は意味あり気に武尊をジロリと見た。
その視線はまるで薬を飲んだのを咎めるようで武尊は生きた心地がしない気がした。
「そういえば本当に大丈夫なのか?」
「って何が・・?」
恐らく薬の事を言っているのだろうと武尊は思ったがどっちの薬か分からなかったので返答に詰まると斎藤は、
「新型阿片を吸わされたんだろ?」
と聞いたので武尊はホッとしてつい正直な話をしてしまう。
「吸わされたんじゃなくて、打たれたの。注射で。」
「【注射】?イタチ娘もそんな事を言っていたが想像し難いな。」
「えっと、日本にはまだあんまり入ってないと思うんだけど独逸(ドイツ)あたりでは医学が進んでて液体の薬を直接体の中に入れることが出来る器具が発明されたの・・真ん中に穴があいたぶっとい針みたいなものなんだけど、それを血管に射すの。」
と、武尊は手首を返し阿片を打たれた場所、肘の内側を指さした。
「嗚呼あれか・・。」
斎藤は忌々し気に眉間を皺を寄せた。
「『あれ』って・・もしかして・・見た!?」
「嗚呼、お前が志々雄のアジトでぶっ倒れてる時にな。」
斎藤は武尊の腕の刺し痕を思い出した。
「もう一度見せろ。」
「別にいいじゃん!もう何でもないよ!」
「見せろ!」
武尊の腕を掴む斎藤と逃れようとして暴れる武尊。
「ジタバタするな、警官に反抗する怪しい奴と思われていいのか阿呆が。」
「っ!」
そう言われると抵抗も出来ない。
本当に斎藤の思うがままなのが悔しくて武尊は頬を膨らましながらも渋々腕をまくった。