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253.幕末よりの再会 (九条・夢主の兄と名乗った男・夢主・斎藤・蒼紫)
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次の日九条は観柳に貸したアジトを確認しに行った。
現場に着いて分かったのはその酷い惨状だった。
市彦曰く、昨晩の大きな揺れの前に何度か小さい揺れを感じたとのことだったが恐らくそれが爆発の音だったに違いないと九条は思うのだった。
(観柳は無事逃げたのか?)
せめてアジトがこうなった理由や被害総額を確かめなければと九条が思っていると数人の男の声と足音に慌てて岩陰に身を潜めれば警官の姿が確認できた。
何故こんな山奥のアジトに警官が都合よく現れたのか全く想像がつかなかったが見つかるわけにはいかない九条は何とか見つからずにアジトを抜け出した。
そして街中にかなり近い昔の知人の家を訪ねてまた一晩宿をとった。
お陰で美味い酒と暖かい布団にありつけた九条だったが翌日もう一度市彦の小屋へ戻ったのだ。
もちろんそれは絶対何処かにあるはずの【薬】を探す為。
九条が戻った時は市彦は不在でこれは好都合ともう一度隅から隅まで探すがやはりない物はない。
まさかあれだけ価値のあるものを捨てたのかと九条の顔が真っ青になるが、同時に最後にもう一つ、隠してある場所を思いついた。
(そうだ・・隠すならあそこだ、あそこしかない。)
そう思うと久しぶりの山歩きで疲れていたがもたもたしているとまた日が暮れる。
こんな山小屋にまた泊まるのは二度と御免だと九条は最後の場所へ向かった。
「そんなに腹が減ってたのか・・。」
珍しく蕎麦にがっつく武尊を斎藤は呆れるように見た。
「がっついてません!」
蕎麦を食べる以前に自分は朝餉もしっかり食べました!と心の中で言ったりしてみたが、自分でも不思議なくらい普通に食べることが出来ていた。
(身体がエネルギーを欲しがってるんだ、きっと。)
都合の良い解釈を自分でしながらも食欲が出るもう一つの理由が分かった。
(十六夜丸に知らされた寿命のことや蒼紫の事を考えると気持ちが落ち込んで食欲なんかわかないのに、一の顔を見たとたんにこんなに元気がでるなんて嘘みたい。)
と、現金すぎる自分に武尊は心の中で苦笑いをした。
そんな武尊を見て斎藤は、
「小料理屋のくせに武尊一人満足に食わせられんとは、怠慢だ。」
と眉間にしわを寄せながらソバツユをズズズとすするのだがそんな斎藤を武尊は見てるだけで楽しい気持ちになるのだ。
「それにしても・・」
と斎藤は武尊を上から下まで舐める様に見る。
武尊もその視線に気が付き、
「え?なっ・・何?」
と怯えたように聞き返す。
すると斎藤は、
「四乃森は・・」
と言いかけてやめた。
斎藤の口からついて出た蒼紫の名に武尊は心臓がドキっと拍打ち凍った。
今生の別れを言いに来たのに蒼紫と何があったか見透かされそうで胸が痛い。
いいや、もしかしたら今の一瞬でもう気付かれたのかもしれない。
一番愛している人を前に裏切りという言葉が武尊の脳を支配する。
武尊はどう対処しようかと心がパニックになりそうなのを我慢して突然味がしなくなった蕎麦を平常心を装って口に運んだ。
斎藤は一息置いてもう一度蒼紫の名前を出した。
「四乃森は何をしている。」
質問は簡単だが何を意図した質問なのか武尊は一瞬考えた。
だが分からない。
仕方がないので素直に、
「蒼紫は今『千枚漬け』にかかりっきり。」
と答えた。
「千枚漬け?」
返って来た疑問符付の答えからするとどうやら斎藤は千枚漬けを知らないらしい。
え?っと思いながら武尊は歴史を辿った。
(そっか、千枚漬けはまだそんなに流通してないんだ・・この時代冷蔵庫もないしね。。)
そう思うとついつい説明したくなる。
「うん、千枚漬けっていうのは京野菜の聖護院かぶらを薄く切って塩と昆布と酢でつくるお漬物。冬しか出回らないんだって。」
斎藤はフーンと言わんばかりの顔をして蕎麦をすすった。
「漬物は時尾の糠漬けと梅干があればそれでいい。」
その後ボソッと答えた斎藤に武尊は目を見開きそして嬉しそうに微笑んだ。
「うん、時尾さんの糠漬けと梅干、とても美味しかった!」
思わずお世話になった味を思い出して楽しかった三人暮らしを武尊は遠い日のように思い出した。
(あの時はほぼ不倫状態だったにも関わらず時尾さんの度量の大きさに完敗だったし一は今も時尾さんを愛してる。)
そう思うと蒼紫が自分にしたことなんかとっても小さいことのように思えて武尊はニコニコと蕎麦を食べた。
もちろん斎藤には武尊が何を考えているのかすべてお見通しだ。
武尊に蒼紫の事を追求する気も失せて黙って蕎麦をすすった。
現場に着いて分かったのはその酷い惨状だった。
市彦曰く、昨晩の大きな揺れの前に何度か小さい揺れを感じたとのことだったが恐らくそれが爆発の音だったに違いないと九条は思うのだった。
(観柳は無事逃げたのか?)
せめてアジトがこうなった理由や被害総額を確かめなければと九条が思っていると数人の男の声と足音に慌てて岩陰に身を潜めれば警官の姿が確認できた。
何故こんな山奥のアジトに警官が都合よく現れたのか全く想像がつかなかったが見つかるわけにはいかない九条は何とか見つからずにアジトを抜け出した。
そして街中にかなり近い昔の知人の家を訪ねてまた一晩宿をとった。
お陰で美味い酒と暖かい布団にありつけた九条だったが翌日もう一度市彦の小屋へ戻ったのだ。
もちろんそれは絶対何処かにあるはずの【薬】を探す為。
九条が戻った時は市彦は不在でこれは好都合ともう一度隅から隅まで探すがやはりない物はない。
まさかあれだけ価値のあるものを捨てたのかと九条の顔が真っ青になるが、同時に最後にもう一つ、隠してある場所を思いついた。
(そうだ・・隠すならあそこだ、あそこしかない。)
そう思うと久しぶりの山歩きで疲れていたがもたもたしているとまた日が暮れる。
こんな山小屋にまた泊まるのは二度と御免だと九条は最後の場所へ向かった。
「そんなに腹が減ってたのか・・。」
珍しく蕎麦にがっつく武尊を斎藤は呆れるように見た。
「がっついてません!」
蕎麦を食べる以前に自分は朝餉もしっかり食べました!と心の中で言ったりしてみたが、自分でも不思議なくらい普通に食べることが出来ていた。
(身体がエネルギーを欲しがってるんだ、きっと。)
都合の良い解釈を自分でしながらも食欲が出るもう一つの理由が分かった。
(十六夜丸に知らされた寿命のことや蒼紫の事を考えると気持ちが落ち込んで食欲なんかわかないのに、一の顔を見たとたんにこんなに元気がでるなんて嘘みたい。)
と、現金すぎる自分に武尊は心の中で苦笑いをした。
そんな武尊を見て斎藤は、
「小料理屋のくせに武尊一人満足に食わせられんとは、怠慢だ。」
と眉間にしわを寄せながらソバツユをズズズとすするのだがそんな斎藤を武尊は見てるだけで楽しい気持ちになるのだ。
「それにしても・・」
と斎藤は武尊を上から下まで舐める様に見る。
武尊もその視線に気が付き、
「え?なっ・・何?」
と怯えたように聞き返す。
すると斎藤は、
「四乃森は・・」
と言いかけてやめた。
斎藤の口からついて出た蒼紫の名に武尊は心臓がドキっと拍打ち凍った。
今生の別れを言いに来たのに蒼紫と何があったか見透かされそうで胸が痛い。
いいや、もしかしたら今の一瞬でもう気付かれたのかもしれない。
一番愛している人を前に裏切りという言葉が武尊の脳を支配する。
武尊はどう対処しようかと心がパニックになりそうなのを我慢して突然味がしなくなった蕎麦を平常心を装って口に運んだ。
斎藤は一息置いてもう一度蒼紫の名前を出した。
「四乃森は何をしている。」
質問は簡単だが何を意図した質問なのか武尊は一瞬考えた。
だが分からない。
仕方がないので素直に、
「蒼紫は今『千枚漬け』にかかりっきり。」
と答えた。
「千枚漬け?」
返って来た疑問符付の答えからするとどうやら斎藤は千枚漬けを知らないらしい。
え?っと思いながら武尊は歴史を辿った。
(そっか、千枚漬けはまだそんなに流通してないんだ・・この時代冷蔵庫もないしね。。)
そう思うとついつい説明したくなる。
「うん、千枚漬けっていうのは京野菜の聖護院かぶらを薄く切って塩と昆布と酢でつくるお漬物。冬しか出回らないんだって。」
斎藤はフーンと言わんばかりの顔をして蕎麦をすすった。
「漬物は時尾の糠漬けと梅干があればそれでいい。」
その後ボソッと答えた斎藤に武尊は目を見開きそして嬉しそうに微笑んだ。
「うん、時尾さんの糠漬けと梅干、とても美味しかった!」
思わずお世話になった味を思い出して楽しかった三人暮らしを武尊は遠い日のように思い出した。
(あの時はほぼ不倫状態だったにも関わらず時尾さんの度量の大きさに完敗だったし一は今も時尾さんを愛してる。)
そう思うと蒼紫が自分にしたことなんかとっても小さいことのように思えて武尊はニコニコと蕎麦を食べた。
もちろん斎藤には武尊が何を考えているのかすべてお見通しだ。
武尊に蒼紫の事を追求する気も失せて黙って蕎麦をすすった。