※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
250.砂時計の砂のごとく (蒼紫・夢主)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結構食べるのに時間がかかったその保存食とお茶で武尊のお腹は満足した。
すると蒼紫が、
「武尊。今体調はどうだ。」
と聞いてきた。
「大丈夫だよ。」
「では。」
と言って蒼紫がまた懐から出した物を武尊に差し出した。
「気に入らなければそこで燃やしてもいい。」
武尊は一冊の薄い本を受け取った。
薄いが背表紙裏表紙とも装飾がなされて綺麗な本だ。
手渡された本を受け取った武尊は表紙の文字を見て中身が想像出来た。
『Livre de Thot』
武尊は中を開いた。
印刷技術はこの時代のレベルだがカラーの美しい絵が印刷されていた。
「凄いね!どうしたのこれ!」
武尊が興奮ぎみに尋ねると蒼紫は、
「以前話していたアジトの本だ。九条を探していた時だったので通りすがりに落ちていた物を拾ったんだが武尊が興味があるのなら良かった。」
と言った。
「もっとも残り全ては今頃灰になっただろうが・・。」
蒼紫は言葉を付け加えたがいったん言葉を切り、もう一度口を開いた。
「一緒に見てもいいか?」
「いいよ。」
蒼紫は武尊の許可を得て武尊の横に座った。
武尊は本を布団の上に置いて広げて見せた。
「・・何が書いてあるのか分かるのか?」
「ううん、分からないけど絵を見てるだけで楽しい。」
武尊はこの本がタロットカードの絵柄だと分かったがどうやらフランス語で書かれているようで文字は読めなかった。
ずっと同じページに見入っている武尊を蒼紫は見て心の中で想像した。
(この場で武尊を抱きしめて口付けしたい・・)
蒼紫にとって、武尊がもし抵抗してもその小さな抵抗など何の障害でもない。
一瞬蒼紫は自分が美しい蝶を捕らえた蜘蛛のようだと、その姿を想像し、武尊の喉元に牙を立てる・・。
その牙から毒を流し込み、武尊を麻痺させ自分だけのものにしたいという思いが蒼紫から霧のように溢れる。
蒼紫は横目で薪のチロチロ燃える赤い光を見て、その明かりがまるで自分の欲望のようだと思いながら・・尚も唇を離しては付け、離しては付け、それを何度も何度も繰り返す妄想に溢れた。
そんな妄想の最中、武尊が小さく呻いた。
蒼紫はハッとして武尊に呼びかけた。
「どうした!」
「何でもない・・ううっ・・。」
「何でもなくはないだろう!何処が痛い!」
武尊は冷や汗をかきながら身体を縮こませ丸くなった。
「体中が痛い・・。」
「禁断症状か。」
蒼紫は苦い顔をして懐に手をやったがその手を止めた。
「武尊・・。」
「うー・・。」
「先程も言った通り、阿片を治す薬はない。だが毒には毒を持って一時的に制することが出来るがどうする。」
武尊は顔をしかめながら蒼紫を片目で見た。
「言っておくが、その毒は媚薬だ。」
「もうちょっと・・我慢してみる。」
媚薬なんか蒼紫に使わせてたまるか。痛みに耐えながら武尊は頭の片隅で思った。
すると蒼紫が、
「武尊。今体調はどうだ。」
と聞いてきた。
「大丈夫だよ。」
「では。」
と言って蒼紫がまた懐から出した物を武尊に差し出した。
「気に入らなければそこで燃やしてもいい。」
武尊は一冊の薄い本を受け取った。
薄いが背表紙裏表紙とも装飾がなされて綺麗な本だ。
手渡された本を受け取った武尊は表紙の文字を見て中身が想像出来た。
『Livre de Thot』
武尊は中を開いた。
印刷技術はこの時代のレベルだがカラーの美しい絵が印刷されていた。
「凄いね!どうしたのこれ!」
武尊が興奮ぎみに尋ねると蒼紫は、
「以前話していたアジトの本だ。九条を探していた時だったので通りすがりに落ちていた物を拾ったんだが武尊が興味があるのなら良かった。」
と言った。
「もっとも残り全ては今頃灰になっただろうが・・。」
蒼紫は言葉を付け加えたがいったん言葉を切り、もう一度口を開いた。
「一緒に見てもいいか?」
「いいよ。」
蒼紫は武尊の許可を得て武尊の横に座った。
武尊は本を布団の上に置いて広げて見せた。
「・・何が書いてあるのか分かるのか?」
「ううん、分からないけど絵を見てるだけで楽しい。」
武尊はこの本がタロットカードの絵柄だと分かったがどうやらフランス語で書かれているようで文字は読めなかった。
ずっと同じページに見入っている武尊を蒼紫は見て心の中で想像した。
(この場で武尊を抱きしめて口付けしたい・・)
蒼紫にとって、武尊がもし抵抗してもその小さな抵抗など何の障害でもない。
一瞬蒼紫は自分が美しい蝶を捕らえた蜘蛛のようだと、その姿を想像し、武尊の喉元に牙を立てる・・。
その牙から毒を流し込み、武尊を麻痺させ自分だけのものにしたいという思いが蒼紫から霧のように溢れる。
蒼紫は横目で薪のチロチロ燃える赤い光を見て、その明かりがまるで自分の欲望のようだと思いながら・・尚も唇を離しては付け、離しては付け、それを何度も何度も繰り返す妄想に溢れた。
そんな妄想の最中、武尊が小さく呻いた。
蒼紫はハッとして武尊に呼びかけた。
「どうした!」
「何でもない・・ううっ・・。」
「何でもなくはないだろう!何処が痛い!」
武尊は冷や汗をかきながら身体を縮こませ丸くなった。
「体中が痛い・・。」
「禁断症状か。」
蒼紫は苦い顔をして懐に手をやったがその手を止めた。
「武尊・・。」
「うー・・。」
「先程も言った通り、阿片を治す薬はない。だが毒には毒を持って一時的に制することが出来るがどうする。」
武尊は顔をしかめながら蒼紫を片目で見た。
「言っておくが、その毒は媚薬だ。」
「もうちょっと・・我慢してみる。」
媚薬なんか蒼紫に使わせてたまるか。痛みに耐えながら武尊は頭の片隅で思った。