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242.放たれた力 (翁・影宮の手下・夢主・操・観柳)
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「申の刻にはまだちと早いが誰か戻って来とるかもしれんしのぅ。」
口調は努めて冷静にしているがこの京都内で煙のように消えてしまった操に翁は少し焦りを感じていた。
少しばかり早く葵屋へ戻って皆を待とうと思った時丁度葵屋の前に一人の帯刀警官が立っていた。
「ん?さては警察の方が何か操の手がかりでもつかんだかのう?」
そう思い翁は警官を、
「此処では何じゃ。どうぞ中へ。」
と勝手口を開け招き入れた。
ところが、先に敷地内へ入りそのまま警官に背を向け先導するように歩く翁に警官はニヤリとほくそ笑み、いきなり斬りかかったのだ。
ガキッツ!
金属の鈍い音と共に刀は食い止められた。
素早く振り返った翁は袖の下に隠してあった鋼鉄製のトンファで警官の刀を受けたのだった。
「馬鹿目!この儂が気づかぬと思ったのか!」
翁は最近京都で偶然すれ違ったこの警官に最初からある疑いを持っていた。
それは遡る事、十数年前に始まる。
かつて鼠(ねずみ)と呼ばれていた一人の御庭番衆がいた。
その男は極めて卑怯な手を使い操の父を殺した。
そしてそれがバレるや否や御庭番衆を抜けたのだった。
その警官の情報を仕入れるためここ最近積極的に外を出歩いていた翁だったがなかなか本人に会えずにいたのだった。
先ほどは普通の警官かと思い操の話を聞こうと考えたのだが、警官の顔が認識出来ると即座に別の意味で葵屋へと招き入れたのだった。
恐ろしい形相で睨む翁に警官はひるんでいた。
現役時代と変わらぬ、いや、それ以上の気迫に警官は圧倒されていた。
が、フンっと鼻で笑うと、
「ハッタリもその辺にしやがれ、この老いぼれが!」
と、受け止められた刀を目にもとまらぬ速さで振り上げ直すともう一度翁めがけて振り下ろした。
「馬鹿目と言ったであろうがっ!!」
翁は怒号と共に片手で刀を受け流すと同時にもう片方のトンファを相手の首元目がけて振り下ろした。
「ぐはぁ!」
警官は刀を手放し後ろへ吹っ飛んだ。
「変わらんのぅ、鼠。後ろからの不意打ち・・相変わらず卑怯な奴じゃ。」
翁に呆れられたように鼠と呼ばれた警官は打たれた衝撃にまだ起き上がれずにいた。
翁は攻撃態勢のまま、
「数か月前、お前をこの都で見かけた時はまさかと思うたがここのところ儂なりに情報収集をしてお前の存在に確信を持っておったが中々尻尾を出さずにどうしようかとあぐねておったところじゃ。しかしこう都合良くお前の方から現れたという事は何か操と関係しておるという事じゃな。」
ギロリと睨んだ。
ようやく喋れるようになった鼠は打たれた所を抑えつつもニヤつきながら、
「翁がそれほどまでにあの小娘を気に掛けるとはやはりあの小娘が御庭番衆というのは本当のようだな。まだこの時代に(御庭番衆が)生き残っていたとはな。」
と言った。
「お前の目的は何じゃ。操を何処へやった。」
「ケッ、警察を、新政府を敵に回してただで済むとおもうなよ。幕府の犬め。」
「言いたいことはそれだけか。よかろう、直に皆が戻って来る。真の御庭番衆とは如何なるものかその身を以て教えてやそうぞ。最恐と呼ばれた儂直々にな。」
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口調は努めて冷静にしているがこの京都内で煙のように消えてしまった操に翁は少し焦りを感じていた。
少しばかり早く葵屋へ戻って皆を待とうと思った時丁度葵屋の前に一人の帯刀警官が立っていた。
「ん?さては警察の方が何か操の手がかりでもつかんだかのう?」
そう思い翁は警官を、
「此処では何じゃ。どうぞ中へ。」
と勝手口を開け招き入れた。
ところが、先に敷地内へ入りそのまま警官に背を向け先導するように歩く翁に警官はニヤリとほくそ笑み、いきなり斬りかかったのだ。
ガキッツ!
金属の鈍い音と共に刀は食い止められた。
素早く振り返った翁は袖の下に隠してあった鋼鉄製のトンファで警官の刀を受けたのだった。
「馬鹿目!この儂が気づかぬと思ったのか!」
翁は最近京都で偶然すれ違ったこの警官に最初からある疑いを持っていた。
それは遡る事、十数年前に始まる。
かつて鼠(ねずみ)と呼ばれていた一人の御庭番衆がいた。
その男は極めて卑怯な手を使い操の父を殺した。
そしてそれがバレるや否や御庭番衆を抜けたのだった。
その警官の情報を仕入れるためここ最近積極的に外を出歩いていた翁だったがなかなか本人に会えずにいたのだった。
先ほどは普通の警官かと思い操の話を聞こうと考えたのだが、警官の顔が認識出来ると即座に別の意味で葵屋へと招き入れたのだった。
恐ろしい形相で睨む翁に警官はひるんでいた。
現役時代と変わらぬ、いや、それ以上の気迫に警官は圧倒されていた。
が、フンっと鼻で笑うと、
「ハッタリもその辺にしやがれ、この老いぼれが!」
と、受け止められた刀を目にもとまらぬ速さで振り上げ直すともう一度翁めがけて振り下ろした。
「馬鹿目と言ったであろうがっ!!」
翁は怒号と共に片手で刀を受け流すと同時にもう片方のトンファを相手の首元目がけて振り下ろした。
「ぐはぁ!」
警官は刀を手放し後ろへ吹っ飛んだ。
「変わらんのぅ、鼠。後ろからの不意打ち・・相変わらず卑怯な奴じゃ。」
翁に呆れられたように鼠と呼ばれた警官は打たれた衝撃にまだ起き上がれずにいた。
翁は攻撃態勢のまま、
「数か月前、お前をこの都で見かけた時はまさかと思うたがここのところ儂なりに情報収集をしてお前の存在に確信を持っておったが中々尻尾を出さずにどうしようかとあぐねておったところじゃ。しかしこう都合良くお前の方から現れたという事は何か操と関係しておるという事じゃな。」
ギロリと睨んだ。
ようやく喋れるようになった鼠は打たれた所を抑えつつもニヤつきながら、
「翁がそれほどまでにあの小娘を気に掛けるとはやはりあの小娘が御庭番衆というのは本当のようだな。まだこの時代に(御庭番衆が)生き残っていたとはな。」
と言った。
「お前の目的は何じゃ。操を何処へやった。」
「ケッ、警察を、新政府を敵に回してただで済むとおもうなよ。幕府の犬め。」
「言いたいことはそれだけか。よかろう、直に皆が戻って来る。真の御庭番衆とは如何なるものかその身を以て教えてやそうぞ。最恐と呼ばれた儂直々にな。」
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