※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
249.記憶の洪水 (十六夜丸、夢主、過去の九条、蒼紫)
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十六夜丸の記憶は更に続いた。
時は平安末期。
藤原全盛期の時代を築いた道長が死に、その子頼道も死んだ頃、藤原家の関白後継問題から朝廷を巻き込んで時代が動こうとしていた。
十六夜丸は藤氏長者に毎晩のように呼び出された。
任務遂行上、依り代となる人間は用が済めば簡単に始末された。
どうやら一度依り代になるとその人間が死なないと他の人間を依り代に使えないのだと武尊はその光景を見ながら薄々感じた。
そんな人間を十六夜丸は嘲笑いながらも着実に用をこなし【気】を吸い強くなった。
あの国宝級の刀剣【大包平】が十六夜丸の使用刀となったのもこの頃だった。
だがある時から十六夜丸は全く呼び出されなくなった。
外法の乱用で髑髏の骨粉が無くなったのだ。
呼び出せぬ式神にもはや用はない。
そのうえ再三に渡る京都での動乱や武家の時代の到来で藤氏長者も十六夜丸の事を次第に忘れていった。
十六夜丸はこの五百年の間蓄えた力で新な力を獲得した。
あの斑鳩でよく腰掛けた小さな岩。
藤原鎌足は先を読んでその岩を秘術を記した書物と共に風水を考えた上で都に設置するように言い伝えていた。
故にその岩は斑鳩から明日香、藤原京、平城京、平安京と場所を変え京都の小さな寺社に置かれた。
それからまた数百年・・。
十六夜丸はその岩をより処に眠り続けた。
眠っていれば力の消費を抑えられるからだ。
寝ると言っても人間とは少し違う。
【気】を静めると言ったほうがいいのかもしれない。
数百年、岩を拠り所にしていると十六夜丸の感覚器も岩と同化しお日様や雨、風の音など見たり感じたりすることが出来るようになっていた。
まるで岩に目が付いているようだと武尊は思った。
その数百年、意識の目を開けば外の世界、閉じれば漆黒の世界を過ごした十六夜丸。
一つの想いを捨てきれず、ただ孤独に意識だけがそこにあった。
そんな十六夜丸の願いが届いたのか奇跡とも思える出来事が起こった。
時は幕末。
十六夜丸の岩のある寺社に一人の僧が伝手によりやって来た。
その寺社は実は某宮家ゆかりの寺社で僧は寺の蔵の奥から一振りの刀と書物を偶然発見したのだった。
刀は朱漆に金の藤柄の蒔絵が施されてかなり高価な物だと思われたがその僧には抜けなかった。
書物の方も解読して骨粉の作り方は分かったものの、該当する神と条件を満たす人間の髑髏などありはしないと僧は落胆した。
その僧・・安西にはどうしても成就させたい事があった。
だからもし、こんな呪術があるなら使ってみせるのにと頭の中で念願成就の妄想を幾度となくしていた。
そんな時、もう一つの偶然が重なった。
安西が寺の境内を歩いていた時、女の声が聞こえた。
それは数年前からこの寺に稚児と偽って世話をしてやっている女だった。
女は岩に向かって願を必死で掛けていた。
何故こんな処に・・と安西が隠れて女を見ていると安西にも女と同じく恐ろしい声が聞こえたのだった。
自分の過去を見せておきながら十六夜丸は、横の武尊をチラリとみてニヤリとした。
武尊はこの映像に青ざめ、少し震えていた。
そう、そこに居た女は髪も短く武尊に瓜二つ。
それに女を隠れて見ているのはあの安西・・九条なのだ。
「・・なぜこれを私に見せるの?」
そう言った武尊の声も震えていた。
「フッ、黙ってみていろ。お前が知りたがっていたことがすべて分かる。」
十六夜丸はそう答えると鋭く過去の記憶の映像を見据えた。
今の状況はここから始まったのだと言わんばかりに。
時は平安末期。
藤原全盛期の時代を築いた道長が死に、その子頼道も死んだ頃、藤原家の関白後継問題から朝廷を巻き込んで時代が動こうとしていた。
十六夜丸は藤氏長者に毎晩のように呼び出された。
任務遂行上、依り代となる人間は用が済めば簡単に始末された。
どうやら一度依り代になるとその人間が死なないと他の人間を依り代に使えないのだと武尊はその光景を見ながら薄々感じた。
そんな人間を十六夜丸は嘲笑いながらも着実に用をこなし【気】を吸い強くなった。
あの国宝級の刀剣【大包平】が十六夜丸の使用刀となったのもこの頃だった。
だがある時から十六夜丸は全く呼び出されなくなった。
外法の乱用で髑髏の骨粉が無くなったのだ。
呼び出せぬ式神にもはや用はない。
そのうえ再三に渡る京都での動乱や武家の時代の到来で藤氏長者も十六夜丸の事を次第に忘れていった。
十六夜丸はこの五百年の間蓄えた力で新な力を獲得した。
あの斑鳩でよく腰掛けた小さな岩。
藤原鎌足は先を読んでその岩を秘術を記した書物と共に風水を考えた上で都に設置するように言い伝えていた。
故にその岩は斑鳩から明日香、藤原京、平城京、平安京と場所を変え京都の小さな寺社に置かれた。
それからまた数百年・・。
十六夜丸はその岩をより処に眠り続けた。
眠っていれば力の消費を抑えられるからだ。
寝ると言っても人間とは少し違う。
【気】を静めると言ったほうがいいのかもしれない。
数百年、岩を拠り所にしていると十六夜丸の感覚器も岩と同化しお日様や雨、風の音など見たり感じたりすることが出来るようになっていた。
まるで岩に目が付いているようだと武尊は思った。
その数百年、意識の目を開けば外の世界、閉じれば漆黒の世界を過ごした十六夜丸。
一つの想いを捨てきれず、ただ孤独に意識だけがそこにあった。
そんな十六夜丸の願いが届いたのか奇跡とも思える出来事が起こった。
時は幕末。
十六夜丸の岩のある寺社に一人の僧が伝手によりやって来た。
その寺社は実は某宮家ゆかりの寺社で僧は寺の蔵の奥から一振りの刀と書物を偶然発見したのだった。
刀は朱漆に金の藤柄の蒔絵が施されてかなり高価な物だと思われたがその僧には抜けなかった。
書物の方も解読して骨粉の作り方は分かったものの、該当する神と条件を満たす人間の髑髏などありはしないと僧は落胆した。
その僧・・安西にはどうしても成就させたい事があった。
だからもし、こんな呪術があるなら使ってみせるのにと頭の中で念願成就の妄想を幾度となくしていた。
そんな時、もう一つの偶然が重なった。
安西が寺の境内を歩いていた時、女の声が聞こえた。
それは数年前からこの寺に稚児と偽って世話をしてやっている女だった。
女は岩に向かって願を必死で掛けていた。
何故こんな処に・・と安西が隠れて女を見ていると安西にも女と同じく恐ろしい声が聞こえたのだった。
自分の過去を見せておきながら十六夜丸は、横の武尊をチラリとみてニヤリとした。
武尊はこの映像に青ざめ、少し震えていた。
そう、そこに居た女は髪も短く武尊に瓜二つ。
それに女を隠れて見ているのはあの安西・・九条なのだ。
「・・なぜこれを私に見せるの?」
そう言った武尊の声も震えていた。
「フッ、黙ってみていろ。お前が知りたがっていたことがすべて分かる。」
十六夜丸はそう答えると鋭く過去の記憶の映像を見据えた。
今の状況はここから始まったのだと言わんばかりに。