※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
248.長き夢 (厩戸皇子・十六夜丸・中臣鎌足・夢主)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
命の糸は切れた。
息も凍るような如月の夜の事だった。
目の前でたった今まで生きていたものが冷たい骸と化していく。
十六夜丸は石のように固まり、そして胸の内から溢れ出る耐え難い感情が十六夜丸を支配した。
十六夜丸は線香の煙のように揺らぎながら伸びる邪気を追って風のように移動した。
邪気が出てくる部屋の中には女が床に頭を擦り付け一心不乱に何かを呟いていた。
その手には髪の毛を巻き付けた木の人型。
十六夜丸はその女が何をしているのか具体的には分からなかったが間違いなく厩戸皇子を殺したのはこの女だと直感した。
十六夜丸は女の前に立ち憤怒の表情で見下ろした。
女は突如現れた目の前の足に驚き見上げて恐怖し、
「誰ぞ・・っ!」
と人を呼ぼうとしたが肉体を具現化させていた十六夜丸の両手が女の首を絞める方が早かった。
女は苦しいながらも十六夜丸を見ると、その首に夫が作らせていた水晶の首飾りがかけられているのを発見した。
『お前かっ・・』
女は夫の寵愛を奪ったのはこの者だと思うと無我夢中で十六夜丸に抵抗した。
人型を持った右手で十六夜丸を何度もたたきつけ、左手は振り回した。
十六夜丸はこのような抵抗に更に手に力を込め、女は益々抵抗した。
そして振り回した必死な女の左手の爪が三本、十六夜丸の右頬に鈎爪のように食い込むと頬をえぐった。
十六夜丸は怒りと驚きで渾身の力を込めるとゴリッと鈍い音がして女の首が有り得ない方向に力なくぶら下がった。
全身脱力した女をその場に放り投げ、十六夜丸は息荒く呆然と立ち尽くした。
人と同じように物体化した十六夜丸の頬からは人と同じように血が流れ頬を伝い、その血が透明な水晶に落ちると水晶はすべてが血の色に変色した。
十六夜丸はよろよろと斑鳩宮を出ると、足がもつれ転げそうになるくらいに走った。
その間傷つけられた右頬がじわじわと痛んだ。
何度拭っても血が止まらない。
十六夜丸は自分が何をしたのかよく分からなかった。
どす黒い感情が自分を支配した後は自分を見失ってしまったのだとしばらく走って気が付いた。
良き絶え絶えにもとの場所に戻り、思わず拭った袖にはまだ赤々とした血が付いた。
十六夜丸はギョッとして焦って傷を治そうとしたがどんなに力を込めても傷は塞がらなかった。
元の様に力が使えないことに愕然とした。
十六夜丸はガクリと膝とつくと女を絞め殺した手を見た。
その手はブルブルと震えた。
その時突然ゴロゴロと音をたて、空が厚い雲に覆われると何処からともなく天からきつい女の声が響いた。
『人を呪い手掛け穢れたお前はすでに守り神ではない、呪われ神はその醜い傷と共に地を這い天へ還る事は許されぬ。』
その声が終わるや否や一筋の雷がまるで審判を下すかのように十六夜丸に向かって落ちたのだった。
息も凍るような如月の夜の事だった。
目の前でたった今まで生きていたものが冷たい骸と化していく。
十六夜丸は石のように固まり、そして胸の内から溢れ出る耐え難い感情が十六夜丸を支配した。
十六夜丸は線香の煙のように揺らぎながら伸びる邪気を追って風のように移動した。
邪気が出てくる部屋の中には女が床に頭を擦り付け一心不乱に何かを呟いていた。
その手には髪の毛を巻き付けた木の人型。
十六夜丸はその女が何をしているのか具体的には分からなかったが間違いなく厩戸皇子を殺したのはこの女だと直感した。
十六夜丸は女の前に立ち憤怒の表情で見下ろした。
女は突如現れた目の前の足に驚き見上げて恐怖し、
「誰ぞ・・っ!」
と人を呼ぼうとしたが肉体を具現化させていた十六夜丸の両手が女の首を絞める方が早かった。
女は苦しいながらも十六夜丸を見ると、その首に夫が作らせていた水晶の首飾りがかけられているのを発見した。
『お前かっ・・』
女は夫の寵愛を奪ったのはこの者だと思うと無我夢中で十六夜丸に抵抗した。
人型を持った右手で十六夜丸を何度もたたきつけ、左手は振り回した。
十六夜丸はこのような抵抗に更に手に力を込め、女は益々抵抗した。
そして振り回した必死な女の左手の爪が三本、十六夜丸の右頬に鈎爪のように食い込むと頬をえぐった。
十六夜丸は怒りと驚きで渾身の力を込めるとゴリッと鈍い音がして女の首が有り得ない方向に力なくぶら下がった。
全身脱力した女をその場に放り投げ、十六夜丸は息荒く呆然と立ち尽くした。
人と同じように物体化した十六夜丸の頬からは人と同じように血が流れ頬を伝い、その血が透明な水晶に落ちると水晶はすべてが血の色に変色した。
十六夜丸はよろよろと斑鳩宮を出ると、足がもつれ転げそうになるくらいに走った。
その間傷つけられた右頬がじわじわと痛んだ。
何度拭っても血が止まらない。
十六夜丸は自分が何をしたのかよく分からなかった。
どす黒い感情が自分を支配した後は自分を見失ってしまったのだとしばらく走って気が付いた。
良き絶え絶えにもとの場所に戻り、思わず拭った袖にはまだ赤々とした血が付いた。
十六夜丸はギョッとして焦って傷を治そうとしたがどんなに力を込めても傷は塞がらなかった。
元の様に力が使えないことに愕然とした。
十六夜丸はガクリと膝とつくと女を絞め殺した手を見た。
その手はブルブルと震えた。
その時突然ゴロゴロと音をたて、空が厚い雲に覆われると何処からともなく天からきつい女の声が響いた。
『人を呪い手掛け穢れたお前はすでに守り神ではない、呪われ神はその醜い傷と共に地を這い天へ還る事は許されぬ。』
その声が終わるや否や一筋の雷がまるで審判を下すかのように十六夜丸に向かって落ちたのだった。