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247.千三百年前の出会い (蒼紫・斎藤・夢主・十六夜丸)
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蒼紫が戻って来たのは丁度明け六つの頃、夜が白み始める頃だった。
微妙な話だが蒼紫は十六夜丸が武尊を犯すという時間は西洋の時間ではなく日の長さを基準とする古来の時間によるものだと考えていた。
なぜならば実際に武尊がその状況に置かれたのを蒼紫は見ていたからだ。
先回の例を取ると今回も同様だと考えるのが筋だと蒼紫は思った。
とにかくその時刻までには戻りたいと蒼紫は武尊のもとへ急いだ。
「遅くなった・・。」
蒼紫がそう言いつつガタリと御堂の扉を開けると寝ている武尊の上に斎藤が折り重なるように倒れていた。
添い寝をしているにしてはおかしな体勢に蒼紫は違和感を覚え、
「どうした!」
と急ぎ駆け寄り斎藤の身体を揺さぶった。
死んでいるかのようにぐったりしていた斎藤は蒼紫の揺さぶりにビクっと身を一瞬こわばらせて目を覚まし上体を起こした。
戻って来た現実世界。
すでに外は白みがかった朝の薄い光が御堂の窓から微かに室内の可視域を広げる中、斎藤は目下の武尊を見下ろした。
「何があった、斎藤。」
斎藤ほどの男が居眠りなどするわけがない、蒼紫は一体何があったのかと斎藤を見た。
斎藤はフッと口角を上げ、
「なに・・十六夜丸と少し話をしただけだ。」
とニヤリと口元を歪め煙草を取り出した。
「何だと・・。」
ということはやはり武尊は十六夜丸になってしまっていたのかと、少し動揺したような声の蒼紫とは裏腹に斎藤は煙草にゆっくり火を付けながら武尊の髪を片手で優しく撫でた。
「・・お前はきっと大丈夫だな。奴には負けない、いいな。」
諭すようにそう言いながら斎藤は最後に大きく武尊の前髪をかき上げるとゆっくりとその手を離し立ち上がった。
「お前が戻って来たなら俺は行くか。」
「・・そろそろ始まるぞ、良いのか?武尊が十六夜丸に犯される様を見なくていいのか。」
斎藤の眼が一瞬殺気を帯びたが蒼紫は怯まなかた。
「俺には九条を追うという使命がある。それにあいつが夢の中で武尊を犯す時、人は手を出せないんだろ?ただそれを指を咥えて見ていろというのか、愚問だな。」
確かに斎藤の言う通りだと蒼紫は少し頭を垂れた。
目の前を通り過ぎ御堂から出て行こうとする斎藤に蒼紫は重い気持ちをぶつける様に今一度声をかけた。
「斎藤・・俺の使命は武尊を支えることだ。今も・・これからも・・未来永劫ずっとだ。」
斎藤は足を止め少しだけ振り返った。
その表情は逆光で見えない。
少し間を置いて斎藤が言った。
「お前がか?お前に武尊が理解出来るのか?」
出来っこないと斎藤は鼻でフッと笑い煙草の煙を吐き出した。
そして出来るものならやってみろと言わんばかりに、
「・・武尊が誰のものになるかは武尊が決めることだ。」
と余裕な口ぶりで言うと出て行った。
蒼紫はその後ろ姿を見ながら、
「それは奪えるものなら奪って良い、と受け取るぞ、斎藤。」
と呟くと、斎藤が座っていた場所に腰を下ろし武尊の頬にそっと手を添えた。
「魔の刻が・・始まるな。」
また以前のように見えない壁にはじかれるであろうがそれでも蒼紫は武尊に触れずにはいられなかったのだ。
微妙な話だが蒼紫は十六夜丸が武尊を犯すという時間は西洋の時間ではなく日の長さを基準とする古来の時間によるものだと考えていた。
なぜならば実際に武尊がその状況に置かれたのを蒼紫は見ていたからだ。
先回の例を取ると今回も同様だと考えるのが筋だと蒼紫は思った。
とにかくその時刻までには戻りたいと蒼紫は武尊のもとへ急いだ。
「遅くなった・・。」
蒼紫がそう言いつつガタリと御堂の扉を開けると寝ている武尊の上に斎藤が折り重なるように倒れていた。
添い寝をしているにしてはおかしな体勢に蒼紫は違和感を覚え、
「どうした!」
と急ぎ駆け寄り斎藤の身体を揺さぶった。
死んでいるかのようにぐったりしていた斎藤は蒼紫の揺さぶりにビクっと身を一瞬こわばらせて目を覚まし上体を起こした。
戻って来た現実世界。
すでに外は白みがかった朝の薄い光が御堂の窓から微かに室内の可視域を広げる中、斎藤は目下の武尊を見下ろした。
「何があった、斎藤。」
斎藤ほどの男が居眠りなどするわけがない、蒼紫は一体何があったのかと斎藤を見た。
斎藤はフッと口角を上げ、
「なに・・十六夜丸と少し話をしただけだ。」
とニヤリと口元を歪め煙草を取り出した。
「何だと・・。」
ということはやはり武尊は十六夜丸になってしまっていたのかと、少し動揺したような声の蒼紫とは裏腹に斎藤は煙草にゆっくり火を付けながら武尊の髪を片手で優しく撫でた。
「・・お前はきっと大丈夫だな。奴には負けない、いいな。」
諭すようにそう言いながら斎藤は最後に大きく武尊の前髪をかき上げるとゆっくりとその手を離し立ち上がった。
「お前が戻って来たなら俺は行くか。」
「・・そろそろ始まるぞ、良いのか?武尊が十六夜丸に犯される様を見なくていいのか。」
斎藤の眼が一瞬殺気を帯びたが蒼紫は怯まなかた。
「俺には九条を追うという使命がある。それにあいつが夢の中で武尊を犯す時、人は手を出せないんだろ?ただそれを指を咥えて見ていろというのか、愚問だな。」
確かに斎藤の言う通りだと蒼紫は少し頭を垂れた。
目の前を通り過ぎ御堂から出て行こうとする斎藤に蒼紫は重い気持ちをぶつける様に今一度声をかけた。
「斎藤・・俺の使命は武尊を支えることだ。今も・・これからも・・未来永劫ずっとだ。」
斎藤は足を止め少しだけ振り返った。
その表情は逆光で見えない。
少し間を置いて斎藤が言った。
「お前がか?お前に武尊が理解出来るのか?」
出来っこないと斎藤は鼻でフッと笑い煙草の煙を吐き出した。
そして出来るものならやってみろと言わんばかりに、
「・・武尊が誰のものになるかは武尊が決めることだ。」
と余裕な口ぶりで言うと出て行った。
蒼紫はその後ろ姿を見ながら、
「それは奪えるものなら奪って良い、と受け取るぞ、斎藤。」
と呟くと、斎藤が座っていた場所に腰を下ろし武尊の頬にそっと手を添えた。
「魔の刻が・・始まるな。」
また以前のように見えない壁にはじかれるであろうがそれでも蒼紫は武尊に触れずにはいられなかったのだ。