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244.操、帰還する (蒼紫・操・斎藤・夢主・翁)
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「俺が人払いしたいとよく分かったな。」
斎藤は武尊を担いだまま蒼紫を睨んだ。
「お前が口をつぐんだという事は操に聞かせたくない話だという事ぐらいは察しがつく。俺とて操がまた新たに何かに首を突っ込んだりしては困るからな。」
「賢明だ。」
斎藤はそういうと刀を納めた。
「武尊はどうなんだ。」
蒼紫は心配で斎藤の肩に担がれたままの武尊を見た。
「死んじゃいないさ・・ただ新型阿片にやられたんだ、このまま気を失っておいたほうが楽なんじゃないかと思ってな。目が覚めて暴れられてもやっかいだ。」
「武尊が暴れるぐらいお前ならどうこうないだろう。」
「・・武尊が【薬】を飲んでいたとしてもか?」
斎藤は眼を鋭くさせて蒼紫を見た。
「何の話だ。薬は刺されたと操は言ったぞ。」
蒼紫は斎藤が言った薬というのが新型阿片のことだと思っていた。
斎藤はチッと舌打ちしたそうな顔で、
「イタチ娘が言っただろう、武尊の横に立った時武尊の眼が紅く見えたと。・・俺が武尊のコートを拾った時、以前武尊に飲ました薬と同じ薬包が空で側に落ちていた。」
「まさか・・。」
その薬とはまさかあの忌むべき【薬】のことなのか・・と、蒼紫は思い当る節に目を見開いた。
「俺がイタチ娘の耳に入れたくない【薬】と言えばあの【薬】しかあるまい。」
斎藤はそう言って更に顔を険しくした。
その眼光には怒りが含まれていた。
「では武尊は今十六夜丸なのか?・・どうなんだ、斎藤!」
蒼紫は疑問を斎藤にぶつけた。
「俺が気を失う前に少しだけ話せた武尊は眼以外は普段の武尊だった。」
「ならば・・」
「いや、武尊は間違いなくあの【薬】を飲んだに違いない、恐らく自分の血でな。武尊には以前あの【薬】、いや、十六夜丸には治癒の力もあると教えてやっていたからな。」
「・・・。」
「だから武尊は自ら【薬】を飲んだんだ、あいつを助けるためにな。」
声の冷静さとは裏腹に斎藤の眼は怒りに満ちていた。
もし武尊が死んでいたのなら操の話を聞いた時、有無を言わさず殺っていたかもしれないと斎藤自身思っているほどだ。
蒼紫は何も言えず俯いた。
今回の件、操が勝手に行動を起こしたとはいえ御頭として監督不行き届きだったことには間違いない。
操を助ける為に命を投げ出すようなまねをしたあげく、阿片の毒を消そうとあのおぞましい魔物の力を借りようと自ら薬を飲んだ武尊の気持ちを思うと蒼紫は胸の奥が痛んだ。
そして蒼紫の頭の中にあの雨の日の出来事が甦りぼそっと斎藤に尋ねた。
「武尊は本当に【薬】を飲んだのだな。」
「嗚呼。」
あの時の十六夜丸の言葉、明け方のおぞましい出来事・・乱れる武尊の声・・が蒼紫の脳裏に甦る。
熱い武尊の吐息、助けを求める喘ぎ声。
それが永遠と数時間続くのだ。
「どちらにせよ武尊をこのままにしてはおけぬ。早く手当を・・」
あの時の情景を思い出しながらどうにかしないと、と蒼紫は思った。
だが今スグと言われても阿片に効く薬など思いつかない。
何か良い手はないのかと思案していると、武尊をこのままにしておくわけにはいかないというのは斎藤も同じで、
「ひとまず葵屋へ運ぶぞ。」
と言った。
「それは駄目だ。」
と蒼紫が即答した。
「何故だ、お前の所なら幾分か何等かの対応が出来るだろう。」
何より実際今武尊が泊まっているのは葵屋であり何の不都合があるのかと斎藤は怪訝に思った。
蒼紫とて武尊を葵屋へ連れ帰り阿片の効果が切れるのを待ちたかったのだがそれはならぬと声を押し殺すように言った。
「斎藤・・武尊は間違いなくあの【薬】を飲んだのだな?」
意味あり気な蒼紫の言葉を怪訝に思いつつも早く武尊を楽にさせたい斎藤は少し苛立ちながら蒼紫に言った。
「そう言ったはずだ。だがたとえ十六夜丸だったとしても奴は血を飲ませた主の命令しか聞けないはずだ。武尊が命じなければ何も起きん。それに奴が奴でいられるのは日の出までだ。俺がその間武尊の傍にいれば何ら問題はない。」
蒼紫は斎藤の言葉を聞きゆっくりと首を左右に振った。
「そうか・・お前は知らないんだな。十六夜丸になった武尊が目を覚ますまでどういう事になるのか・・。」
斎藤は誰よりも武尊との付き合いの長いことをある意味自慢に思っている。
が故に蒼紫が自分の知らない何かを知っていることに嫉妬を覚えた。
「何だ・・勿体ぶらずに話せ。」
蒼紫は高ぶる斎藤の気迫に負けず斎藤を見返した。
「情報交換だ、斎藤。お前が京都へ来た目的、俺が知らない十六夜丸の事・・話してもらおうか。武尊は葵屋へは連れていけぬ。だがこのままというわけにもいかぬ。ここから一番近い御庭番衆の隠れ家に連れて行く、ついて来い。」
斎藤は武尊を担いだまま蒼紫を睨んだ。
「お前が口をつぐんだという事は操に聞かせたくない話だという事ぐらいは察しがつく。俺とて操がまた新たに何かに首を突っ込んだりしては困るからな。」
「賢明だ。」
斎藤はそういうと刀を納めた。
「武尊はどうなんだ。」
蒼紫は心配で斎藤の肩に担がれたままの武尊を見た。
「死んじゃいないさ・・ただ新型阿片にやられたんだ、このまま気を失っておいたほうが楽なんじゃないかと思ってな。目が覚めて暴れられてもやっかいだ。」
「武尊が暴れるぐらいお前ならどうこうないだろう。」
「・・武尊が【薬】を飲んでいたとしてもか?」
斎藤は眼を鋭くさせて蒼紫を見た。
「何の話だ。薬は刺されたと操は言ったぞ。」
蒼紫は斎藤が言った薬というのが新型阿片のことだと思っていた。
斎藤はチッと舌打ちしたそうな顔で、
「イタチ娘が言っただろう、武尊の横に立った時武尊の眼が紅く見えたと。・・俺が武尊のコートを拾った時、以前武尊に飲ました薬と同じ薬包が空で側に落ちていた。」
「まさか・・。」
その薬とはまさかあの忌むべき【薬】のことなのか・・と、蒼紫は思い当る節に目を見開いた。
「俺がイタチ娘の耳に入れたくない【薬】と言えばあの【薬】しかあるまい。」
斎藤はそう言って更に顔を険しくした。
その眼光には怒りが含まれていた。
「では武尊は今十六夜丸なのか?・・どうなんだ、斎藤!」
蒼紫は疑問を斎藤にぶつけた。
「俺が気を失う前に少しだけ話せた武尊は眼以外は普段の武尊だった。」
「ならば・・」
「いや、武尊は間違いなくあの【薬】を飲んだに違いない、恐らく自分の血でな。武尊には以前あの【薬】、いや、十六夜丸には治癒の力もあると教えてやっていたからな。」
「・・・。」
「だから武尊は自ら【薬】を飲んだんだ、あいつを助けるためにな。」
声の冷静さとは裏腹に斎藤の眼は怒りに満ちていた。
もし武尊が死んでいたのなら操の話を聞いた時、有無を言わさず殺っていたかもしれないと斎藤自身思っているほどだ。
蒼紫は何も言えず俯いた。
今回の件、操が勝手に行動を起こしたとはいえ御頭として監督不行き届きだったことには間違いない。
操を助ける為に命を投げ出すようなまねをしたあげく、阿片の毒を消そうとあのおぞましい魔物の力を借りようと自ら薬を飲んだ武尊の気持ちを思うと蒼紫は胸の奥が痛んだ。
そして蒼紫の頭の中にあの雨の日の出来事が甦りぼそっと斎藤に尋ねた。
「武尊は本当に【薬】を飲んだのだな。」
「嗚呼。」
あの時の十六夜丸の言葉、明け方のおぞましい出来事・・乱れる武尊の声・・が蒼紫の脳裏に甦る。
熱い武尊の吐息、助けを求める喘ぎ声。
それが永遠と数時間続くのだ。
「どちらにせよ武尊をこのままにしてはおけぬ。早く手当を・・」
あの時の情景を思い出しながらどうにかしないと、と蒼紫は思った。
だが今スグと言われても阿片に効く薬など思いつかない。
何か良い手はないのかと思案していると、武尊をこのままにしておくわけにはいかないというのは斎藤も同じで、
「ひとまず葵屋へ運ぶぞ。」
と言った。
「それは駄目だ。」
と蒼紫が即答した。
「何故だ、お前の所なら幾分か何等かの対応が出来るだろう。」
何より実際今武尊が泊まっているのは葵屋であり何の不都合があるのかと斎藤は怪訝に思った。
蒼紫とて武尊を葵屋へ連れ帰り阿片の効果が切れるのを待ちたかったのだがそれはならぬと声を押し殺すように言った。
「斎藤・・武尊は間違いなくあの【薬】を飲んだのだな?」
意味あり気な蒼紫の言葉を怪訝に思いつつも早く武尊を楽にさせたい斎藤は少し苛立ちながら蒼紫に言った。
「そう言ったはずだ。だがたとえ十六夜丸だったとしても奴は血を飲ませた主の命令しか聞けないはずだ。武尊が命じなければ何も起きん。それに奴が奴でいられるのは日の出までだ。俺がその間武尊の傍にいれば何ら問題はない。」
蒼紫は斎藤の言葉を聞きゆっくりと首を左右に振った。
「そうか・・お前は知らないんだな。十六夜丸になった武尊が目を覚ますまでどういう事になるのか・・。」
斎藤は誰よりも武尊との付き合いの長いことをある意味自慢に思っている。
が故に蒼紫が自分の知らない何かを知っていることに嫉妬を覚えた。
「何だ・・勿体ぶらずに話せ。」
蒼紫は高ぶる斎藤の気迫に負けず斎藤を見返した。
「情報交換だ、斎藤。お前が京都へ来た目的、俺が知らない十六夜丸の事・・話してもらおうか。武尊は葵屋へは連れていけぬ。だがこのままというわけにもいかぬ。ここから一番近い御庭番衆の隠れ家に連れて行く、ついて来い。」