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279.その後(蒼紫の場合 後編)
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一方、蒼紫と翁は・・
「大方筋書通りじゃったの。」
と、翁。
そう、蒼紫と翁は前日に操を許嫁にすることについて話合っていたのだった。
「しかしまぁ五年で徳川三百年の御庭番衆の店仕舞いを終わらせるというのはちと短すぎるが、操の歳を考えれば五年というのが限界じゃろ。やむを得んのぅ。」
その五年という期間は、御庭番衆の痕跡を消すという事以外にも蒼紫にとって【最強の外法集団隠密御庭番衆御頭】として最後の務めを果たすと決めた期間でもある。
警察や軍の力が日本中で強化されつつある今、志々雄のように新政府に抗う勢力を作るのはそう簡単ではない。
この国の近代化を以て刀の時代は終わりを告げた。
第二の志々雄が現れる危惧を除けば、散会した志々雄の部下や志々雄の声もかからなかった外法者は恐るるには至らない。
活躍の場のない外法という物は次の世代に受け継がれることなく、時代の流れとともに静かに消滅しゆくであろう。
それこそが引き際の美。
自分の役目は外法使いとしての誇りを忘れその暴力を私欲の為に貪る者を葬り去る事。
消滅への淀みのその期間が概ね五年・・と蒼紫は読んだのだった。
(事実、その後国内で外法がらみの大々的な殺人やテロは起きていない。)
「最後まで付き合せて悪いな翁。もはや御頭でもない俺の我が儘に最後まで突き合わせて。」
「お前の我が儘など今に始まったことではないわ。それにいくら御庭番衆が解散と言われても儂等の家は死ぬまで御庭番衆じゃと言ったはずじゃがのぅ。口には出さんがそれは皆同じ。この翁、喜んで最後まで付き合せてもらうぞぃ。」
「そうか・・。」
「で、蒼紫よ。操のことは本当に本当に良かったのか?」
「くどいぞ翁。構わぬと言ったはずだ。そもそも武尊の件にカタがついた後は操の気持ちに向き合ってもらうと言ったのは翁の方だろう。」
「まあ・・そうじゃったのう。」
翁は少し言葉尻を濁しながら顎鬚を撫でながら立ち上がった。
「さて、これで葵屋も安泰、初孫の顔を見るまで儂も長生きせんとのぅ~~。では明日から大仕事ということで今夜は失礼するぞ蒼紫。」
翁は腕を組みながら自室へ戻る際、庭を見てふと武尊の姿を思いだす。
その隣には今とは違う生き生きとした蒼紫の姿。
(蒼紫や。これから五年の間に儂ら(御庭番衆)のことだけでなくお前の心の内も片をつけねばならんのぅ・・。)
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四乃森蒼紫、五年後、翁の養子となった柏崎操に婿入り。
翁の後を継いで葵屋の主となった。
2023/05/01