※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
279.その後(蒼紫の場合 後編)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
亥の刻(夜の十時頃)、葵屋の全員がある一間に集まった。
開口一番蒼紫は、
「これからの葵屋をどうしたいのか、それぞれの意見を聞きたい。」
と言ったのだ。
これには皆が困惑した。
御庭番組織は明らかにピラミッド制。
上からの指示命令はあれど下の意見をTOPが聞くなど有り得ないからだ。
「では翁。」
と蒼紫に振られて翁が口を開く。
「ま、そんなに気負わんで気楽にきいてくれぃ。先ずは本題からそれるが今日板長の黒が作った『牛肉のしぐれ煮』を『葵志ぐれ(あおいしぐれ)』と命名し、千枚漬けとともに今後葵屋の定番として作っていくことになった。」
と、命名した紙をバーンと皆に披露した。
「この葵屋に集った儂ら御庭番衆が今後消えてなくなろうとも、今ここに集った者の絆は消えることはない。その者達の志が葵屋に有れという意味を込めて命名した。」
翁の話を聞いて黒・白・お近・お増は思わず涙ぐむ。
そして発言は蒼紫に戻る。
「明治も十年を過ぎ、時代は明らかに変わった。警察や軍隊がかつての俺達の仕事をする今、俺達御庭番衆の出番は恐らくほぼあるまい。」
「でも昨年の志々雄真実の時や今回の吸血鬼事件だって・・」
私達はすごく活躍したと操が思わず言った。
「志々雄の時はたまたま緋村と関わりがあったからそういう成りゆきになっただけだ。操も俺もな。吸血鬼騒ぎの時は操は警官殺しの濡れ衣をかけられたうえ、敵に捕らわれるという失態。功績といえば操の捜索最中に脱走衆を数人捕らえたというだけだ。その二件の他は御庭番衆に依頼は無しということだ。そうだな、翁。」
蒼紫の言葉に翁は頷いた。
「無論、平穏な生活を取り戻した京都の民に危機が及ぶような事態になれば話は別だが。それ故・・黒尉、」
蒼紫は改めて黒の名前を呼んで黒を見る。
「はい。」
「白尉。」
「はい、御頭。」
「近江女」
「はい。」
「増髪。」
「はい。」
蒼紫は一人一人をしっかりと見つめた後、
「以上、四人はこれから自由だ。好きにしろ。」
と言った。
『えっ』っと四人の顔が青ざめるが蒼紫が言葉を付けたした。
「勘違いするな、暇をくれてやるという意味ではない。とうに御庭番衆の組織自体は解散しているのは事実。もう御頭の俺に仕えることはない、と言っている。これまで通りお前達は『葵屋』を皆で盛り立てていって欲しい。」
「蒼紫様はどうされるんですか!」
また何処かへ出て行くのではと操は不安いっぱいな表情で尋ねた。
皆蒼紫に注目する。
「・・心配するな。皆がよければ俺は今後もここに居させてもらう。まだまだ翁には及ばないがお前達の手助けを裏方からさせてもらえればと思っている。」
「おおっ!」
思わず喜びの声をあげた翁。
蒼紫は翁の方も一目し、そして言葉を続けた。
「だから翁、これからはこれまでの様にそうふらふらと今までのように出歩くことは出来ぬと思え。」
蒼紫に早々と釘を打たれ「うっ。」っと言葉を詰まらせた翁を見た蒼紫は黒達四人の方に視線を向け真面目な顔で言った。
「これでお前達の赤子がいつ出来ても大丈夫だな。暇な好々爺がきちんと面倒をみてくれる。」
『えっ』っと四人は顔を赤くして固まった。
誰が誰を好きだなんて蒼紫にどころか翁にも操にも言ったことなどないからだ。
その表情を読んだ蒼紫は、
「翁にも分かることが俺に分からないとでも思ったか。」
と言うと何も言えない四人を前に、
「何で儂が。」
と、蒼紫にまかせて楽をし、且つ、女遊びがしたい翁は不満げに呟くが蒼紫もそれは当の昔にお見通しである。
「操ここまで立派に育てたんだ。任せない理由などないと思うが。それに操もいる。」
むむっと翁が唸っていると、
「私は?」
と操は真剣な目を蒼紫に向けて尋ねた。
「・・私はどうすればいいの?蒼紫様。」
蒼紫は熟考するかのように腕を組んだまま目を瞑った。
黒達四人も自分達のことよりも操ちゃんのことをと蒼紫に注目した。
すると横で翁が、
「いいんじゃな、蒼紫。」
と念を押すように言った。
「嗚呼。」
一体何がいいのか、操も四人も翁の言葉を待った。
「巻町操の親代わりとしてこの儂が、操を四乃森蒼紫の許嫁とすることをここに発表する!」
と言ったのだ。
一同、数秒の間の後、わぁ!っと盛り上がりそうになる寸でで翁が、
「だだし!」
と釘を刺した。
「だだし、それには条件があるとのことじゃ。のぅ、蒼紫。」
と、翁は蒼紫に説明を振った。
「期間は五年。この間に操には俺に相応しい許嫁になるよう努力をしてもらう。五年後、もしそうでないと判断した場合は破棄をする。そしてもう一つ・・。
俺の一番は武尊だ。操が二番目で良いならばこの儀を受け入れよう。」
「操はどうじゃ。」
一同 操の返事を待つ。
操は一番は武尊だと蒼紫の口から聞いてショックだったがそれよりも今人生で一番大事な決断を即決しなくてはいけないことの方が大事だった。
「いいわよ、受けて立つわその儀!蒼紫様と結婚するのはこの私よ!」
と啖呵を切った。
が、
「で、何をすればいいの?蒼紫様。」
目を点に、手をモミモミしながら蒼紫に聞いた。
操の啖呵に『見直したぜお嬢!』と思った黒達もズッコケ寸前だった。
蒼紫は怒る事もなく、
「時間は十分にある、急がなくていいから自分で考えて見ろ。お近、お増、必要あらば操を助けてやれ。それから・・
この五年の間、俺は『仕事』の方は続ける。
そして同じくその五年の間に御庭番衆の痕跡を翁とともにすべて消す。
五年後からは皆普通の民としての生活となる。
その心づもりでいてくれ。以上、翁を除いて解散。」
開口一番蒼紫は、
「これからの葵屋をどうしたいのか、それぞれの意見を聞きたい。」
と言ったのだ。
これには皆が困惑した。
御庭番組織は明らかにピラミッド制。
上からの指示命令はあれど下の意見をTOPが聞くなど有り得ないからだ。
「では翁。」
と蒼紫に振られて翁が口を開く。
「ま、そんなに気負わんで気楽にきいてくれぃ。先ずは本題からそれるが今日板長の黒が作った『牛肉のしぐれ煮』を『葵志ぐれ(あおいしぐれ)』と命名し、千枚漬けとともに今後葵屋の定番として作っていくことになった。」
と、命名した紙をバーンと皆に披露した。
「この葵屋に集った儂ら御庭番衆が今後消えてなくなろうとも、今ここに集った者の絆は消えることはない。その者達の志が葵屋に有れという意味を込めて命名した。」
翁の話を聞いて黒・白・お近・お増は思わず涙ぐむ。
そして発言は蒼紫に戻る。
「明治も十年を過ぎ、時代は明らかに変わった。警察や軍隊がかつての俺達の仕事をする今、俺達御庭番衆の出番は恐らくほぼあるまい。」
「でも昨年の志々雄真実の時や今回の吸血鬼事件だって・・」
私達はすごく活躍したと操が思わず言った。
「志々雄の時はたまたま緋村と関わりがあったからそういう成りゆきになっただけだ。操も俺もな。吸血鬼騒ぎの時は操は警官殺しの濡れ衣をかけられたうえ、敵に捕らわれるという失態。功績といえば操の捜索最中に脱走衆を数人捕らえたというだけだ。その二件の他は御庭番衆に依頼は無しということだ。そうだな、翁。」
蒼紫の言葉に翁は頷いた。
「無論、平穏な生活を取り戻した京都の民に危機が及ぶような事態になれば話は別だが。それ故・・黒尉、」
蒼紫は改めて黒の名前を呼んで黒を見る。
「はい。」
「白尉。」
「はい、御頭。」
「近江女」
「はい。」
「増髪。」
「はい。」
蒼紫は一人一人をしっかりと見つめた後、
「以上、四人はこれから自由だ。好きにしろ。」
と言った。
『えっ』っと四人の顔が青ざめるが蒼紫が言葉を付けたした。
「勘違いするな、暇をくれてやるという意味ではない。とうに御庭番衆の組織自体は解散しているのは事実。もう御頭の俺に仕えることはない、と言っている。これまで通りお前達は『葵屋』を皆で盛り立てていって欲しい。」
「蒼紫様はどうされるんですか!」
また何処かへ出て行くのではと操は不安いっぱいな表情で尋ねた。
皆蒼紫に注目する。
「・・心配するな。皆がよければ俺は今後もここに居させてもらう。まだまだ翁には及ばないがお前達の手助けを裏方からさせてもらえればと思っている。」
「おおっ!」
思わず喜びの声をあげた翁。
蒼紫は翁の方も一目し、そして言葉を続けた。
「だから翁、これからはこれまでの様にそうふらふらと今までのように出歩くことは出来ぬと思え。」
蒼紫に早々と釘を打たれ「うっ。」っと言葉を詰まらせた翁を見た蒼紫は黒達四人の方に視線を向け真面目な顔で言った。
「これでお前達の赤子がいつ出来ても大丈夫だな。暇な好々爺がきちんと面倒をみてくれる。」
『えっ』っと四人は顔を赤くして固まった。
誰が誰を好きだなんて蒼紫にどころか翁にも操にも言ったことなどないからだ。
その表情を読んだ蒼紫は、
「翁にも分かることが俺に分からないとでも思ったか。」
と言うと何も言えない四人を前に、
「何で儂が。」
と、蒼紫にまかせて楽をし、且つ、女遊びがしたい翁は不満げに呟くが蒼紫もそれは当の昔にお見通しである。
「操ここまで立派に育てたんだ。任せない理由などないと思うが。それに操もいる。」
むむっと翁が唸っていると、
「私は?」
と操は真剣な目を蒼紫に向けて尋ねた。
「・・私はどうすればいいの?蒼紫様。」
蒼紫は熟考するかのように腕を組んだまま目を瞑った。
黒達四人も自分達のことよりも操ちゃんのことをと蒼紫に注目した。
すると横で翁が、
「いいんじゃな、蒼紫。」
と念を押すように言った。
「嗚呼。」
一体何がいいのか、操も四人も翁の言葉を待った。
「巻町操の親代わりとしてこの儂が、操を四乃森蒼紫の許嫁とすることをここに発表する!」
と言ったのだ。
一同、数秒の間の後、わぁ!っと盛り上がりそうになる寸でで翁が、
「だだし!」
と釘を刺した。
「だだし、それには条件があるとのことじゃ。のぅ、蒼紫。」
と、翁は蒼紫に説明を振った。
「期間は五年。この間に操には俺に相応しい許嫁になるよう努力をしてもらう。五年後、もしそうでないと判断した場合は破棄をする。そしてもう一つ・・。
俺の一番は武尊だ。操が二番目で良いならばこの儀を受け入れよう。」
「操はどうじゃ。」
一同 操の返事を待つ。
操は一番は武尊だと蒼紫の口から聞いてショックだったがそれよりも今人生で一番大事な決断を即決しなくてはいけないことの方が大事だった。
「いいわよ、受けて立つわその儀!蒼紫様と結婚するのはこの私よ!」
と啖呵を切った。
が、
「で、何をすればいいの?蒼紫様。」
目を点に、手をモミモミしながら蒼紫に聞いた。
操の啖呵に『見直したぜお嬢!』と思った黒達もズッコケ寸前だった。
蒼紫は怒る事もなく、
「時間は十分にある、急がなくていいから自分で考えて見ろ。お近、お増、必要あらば操を助けてやれ。それから・・
この五年の間、俺は『仕事』の方は続ける。
そして同じくその五年の間に御庭番衆の痕跡を翁とともにすべて消す。
五年後からは皆普通の民としての生活となる。
その心づもりでいてくれ。以上、翁を除いて解散。」