※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
278.その後(蒼紫の場合:前編)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
薫に言われた言葉がどう操の心を動かしたかは分からない。
だが、
「薫さん、ありがとう。私決めた。」
そう言うとスックと操は立ち上がった。
(もう他の誰にも蒼紫様は渡さない。)
たった今そう誓った。
そして操は屋根を飛び降りると蒼紫のところへすっ飛んで行った。
「えっ、操ちゃん!ちょっと待って!」
薫も慌てて梯子で降りた。
剣心との話も終わり、少しは操を待っていた蒼紫だったがやはり部屋へ戻ろうと立ち上がった時、足音がこちらに向かってきて障子がシャーっと開いた。
「蒼紫様!」
操は障子を持ったまま蒼紫を強く見て言った。
「私、蒼紫様のお嫁さんになる!」
(おろーーっ!?)
突然の操の大宣言に眼玉を飛び出させて驚いた剣心。
蒼紫は表情も変えずに黙って操を見る。
「今はだめでも、きっと蒼紫様にお嫁さんにしてもらうんだから!・・だから明日蒼紫様と京都へ帰ります!」
数秒の間、沈黙が流れた。
「・・そうか。ならば明日一番の汽車に乗る。緋村、見送りは無用だ。」
と言って立ち上がると部屋を出て行った。
出て行く時に薫とすれ違う。
「あの・・蒼紫さん・・。」
「話しは終わりだ。」
と言って蒼紫は行ってしまった。
「剣心・・。」
と言いながら薫は部屋へ戻って来た。
剣心は、
「蒼紫と操殿は明日一番の汽車で京都へ帰るでござるよ。蒼紫に見送りはいらぬと言われたでござる。」
「明日餅つきをするって言ったから気をつかってくれたのかしら・・。操ちゃん、また東京に来てね、今度は蒼紫さんと一緒に。」
「うん、薫さんも緋村も京都に来たらうちに寄ってね!」
「必ず寄るでござるよ。」
「ええ、もちろんよ。」
操が来てからやっと自然な笑顔を三人が浮かべる。
「あ、そうだ。操ちゃんが明日早いんだったらもう少しお喋りしない?今日買ったカステイラ、ちょっと持ってくるから待ってて!」
薫がそう言って勝手場に向かう後ろから、
「あ、蒼紫様は甘い物は食べないからね~。」
と操の声がした。そして、
「緋村。」
と操が剣心に声をかけた。
「なんでござるか、操殿。」
「今回は、『想いを断ち切って忘れた方が良い』って言わなかったね。・・本当は私、今度こそ断ち切らなきゃ駄目かと思ったの。でも忘れることなんか出来なかった・・。私諦めなくてよかった。」
「そうでござるな。操殿の蒼紫への強い想いを拙者はもう知ってござるからな。だがあの時操殿が言った、『一番想っている人を忘れることの一体どこが幸せなのか』っという言葉はきっと蒼紫にも当てはまるのでござろう。今しばらくはそっとしておくでござる。」
「うん。」
一番好きな人のことを忘れるなんて到底出来るわけがない。
きっと蒼紫様なら尚更。
でもいつかきっと、、、、、。
話も一段落し、操は部屋へ戻った。(もちろん蒼紫とは別部屋)
剣心と薫の二人、まだ部屋で話を続けている。
「強いわね、操ちゃん。」
と薫は呟いた。自分だって剣心を支えていくことに強い思いはある。だけどそこまではっきり自分を相手の前で表現できるのはちょっぴり羨ましかった。
「嗚呼、そうでござるな。」
剣心も頷きながらそう言った。
きっと操なら蒼紫とうまくやっていく、剣心はそう思ったのだった。
***************
翌朝一番の汽車に乗った蒼紫と操はどうにか大晦日の夕方には葵屋へ帰って来た。
「爺や、みんな!ただいま!」
「お帰り操~!」
操は翁の胸に飛び込み、黒、白、お近、お増が翁の後ろで操を微笑ましく出迎える。
そんな光景を蒼紫は少しだけ手前で立ち止って見ていたのだった。
***************
2023.03.12
だが、
「薫さん、ありがとう。私決めた。」
そう言うとスックと操は立ち上がった。
(もう他の誰にも蒼紫様は渡さない。)
たった今そう誓った。
そして操は屋根を飛び降りると蒼紫のところへすっ飛んで行った。
「えっ、操ちゃん!ちょっと待って!」
薫も慌てて梯子で降りた。
剣心との話も終わり、少しは操を待っていた蒼紫だったがやはり部屋へ戻ろうと立ち上がった時、足音がこちらに向かってきて障子がシャーっと開いた。
「蒼紫様!」
操は障子を持ったまま蒼紫を強く見て言った。
「私、蒼紫様のお嫁さんになる!」
(おろーーっ!?)
突然の操の大宣言に眼玉を飛び出させて驚いた剣心。
蒼紫は表情も変えずに黙って操を見る。
「今はだめでも、きっと蒼紫様にお嫁さんにしてもらうんだから!・・だから明日蒼紫様と京都へ帰ります!」
数秒の間、沈黙が流れた。
「・・そうか。ならば明日一番の汽車に乗る。緋村、見送りは無用だ。」
と言って立ち上がると部屋を出て行った。
出て行く時に薫とすれ違う。
「あの・・蒼紫さん・・。」
「話しは終わりだ。」
と言って蒼紫は行ってしまった。
「剣心・・。」
と言いながら薫は部屋へ戻って来た。
剣心は、
「蒼紫と操殿は明日一番の汽車で京都へ帰るでござるよ。蒼紫に見送りはいらぬと言われたでござる。」
「明日餅つきをするって言ったから気をつかってくれたのかしら・・。操ちゃん、また東京に来てね、今度は蒼紫さんと一緒に。」
「うん、薫さんも緋村も京都に来たらうちに寄ってね!」
「必ず寄るでござるよ。」
「ええ、もちろんよ。」
操が来てからやっと自然な笑顔を三人が浮かべる。
「あ、そうだ。操ちゃんが明日早いんだったらもう少しお喋りしない?今日買ったカステイラ、ちょっと持ってくるから待ってて!」
薫がそう言って勝手場に向かう後ろから、
「あ、蒼紫様は甘い物は食べないからね~。」
と操の声がした。そして、
「緋村。」
と操が剣心に声をかけた。
「なんでござるか、操殿。」
「今回は、『想いを断ち切って忘れた方が良い』って言わなかったね。・・本当は私、今度こそ断ち切らなきゃ駄目かと思ったの。でも忘れることなんか出来なかった・・。私諦めなくてよかった。」
「そうでござるな。操殿の蒼紫への強い想いを拙者はもう知ってござるからな。だがあの時操殿が言った、『一番想っている人を忘れることの一体どこが幸せなのか』っという言葉はきっと蒼紫にも当てはまるのでござろう。今しばらくはそっとしておくでござる。」
「うん。」
一番好きな人のことを忘れるなんて到底出来るわけがない。
きっと蒼紫様なら尚更。
でもいつかきっと、、、、、。
話も一段落し、操は部屋へ戻った。(もちろん蒼紫とは別部屋)
剣心と薫の二人、まだ部屋で話を続けている。
「強いわね、操ちゃん。」
と薫は呟いた。自分だって剣心を支えていくことに強い思いはある。だけどそこまではっきり自分を相手の前で表現できるのはちょっぴり羨ましかった。
「嗚呼、そうでござるな。」
剣心も頷きながらそう言った。
きっと操なら蒼紫とうまくやっていく、剣心はそう思ったのだった。
***************
翌朝一番の汽車に乗った蒼紫と操はどうにか大晦日の夕方には葵屋へ帰って来た。
「爺や、みんな!ただいま!」
「お帰り操~!」
操は翁の胸に飛び込み、黒、白、お近、お増が翁の後ろで操を微笑ましく出迎える。
そんな光景を蒼紫は少しだけ手前で立ち止って見ていたのだった。
***************
2023.03.12