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277.生きている幸せ
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十六夜丸は武尊をじっと見た。
まるで武尊の心の中を探るように。
武尊の身体を心を弄び、最後の最後まで妬み嫉妬し破壊をようとしていた相手は自分を真っ直ぐに見つめてあろうことか許すとまで言った。
人間は嘘つきだ、酷い奴だ、汚らわしい憎むべき物だ。
そんな思い込みが武尊の眼を見ているうちに武尊を通して見てきた世界が十六夜丸の負の炎を消していく。
しばらく武尊を見ていた十六夜丸だったが一度目を閉じ、意を固めた様にそして視線を厩戸皇子に移した。
「終わりに・・出来るのか?」
皇子も武尊も同時に頷いた。
「そうか・・。」
十六夜丸はそう小さく呟き目を伏せた。
「では参りましょう。」
厩戸皇子が握っている十六夜丸の手にぐっと力を入れると十六夜丸は今一度目を伏せたまま頷いた。
すると頷いた瞬間、十六夜丸は瞬時に光の発光体になった。
「あっ!」
それを見ていた武尊は驚いて声をあげた。
(あの光が十六夜丸?十六夜丸はどうなったの?)
そんな疑問が頭の中をぐるぐると駆けまわっていると、
「武尊。」
と名を呼ばれた。
あの十六夜丸を一瞬で光に変える力を持つ皇子に武尊は緊張しながら返事をした。
「はい!」
「古の出来事が原因で今生を生きる貴方に大変辛い想いをさせてしまった。」
と皇子は武尊に頭を垂れた。
「やめて下さい。貴方が謝る必要はありません!」
武尊はそんなことはしないでと両腕を振った。
皇子はそんな武尊を見て少し微笑んだ。
「貴方が本当に良い人でよかった。」
「そんなことはないです!わ・・私だって・・」
(人を殺しました・・)
犯した罪を思い出し、懺悔の気持ちで声を詰まらせると皇子は武尊の気持ちを全部見透かしたように、
「分かっています。だが十六夜雷大神は貴方の力なくしては救えませんでした、貴方の強い意志と優しい心が十六夜雷大神をこの場に間に合わせてくれました。感謝いたします。」
「えっ?この場って・・?」
そう問いかけた武尊の眼を見て皇子は少し困り顔になり、遠くを見つめて
「私は・・本当にあの方を慕っていました・・相手が神だと分かっていたにも関わらず、人の身でありながら唯一無二の友以上だと思い込んで接した結果、あの美しい神を化け物にしてしまったことを知った時、自分が許せず気が狂いそうになりました。そして必ずや御救いせんと今まで修行をし、ようやくあの方を救う力を得ることが出来たのです。」
と言って視線を武尊に戻した。
武尊は、
「あのぅ・・それで十六夜丸はその光に?」
と、皇子の手のひらの上で輝く光の事を聞いてみると、
「いいえ、十六夜雷大神はあの瞬間、私の一部になりました。」
「ええ!?」
武尊は驚きで目を見開くと皇子は更に、
「付け加えるならば十六夜雷大神の心は私の身体一部となりました。これからは今生とは違う宇宙時間を私と過ごしていくことになるでしょう。」
まさか皇子から宇宙とかそんな言葉が出てくるなんて、と、驚きで皇子の言葉が呑み込めない武尊だったが思わずもう一つの質問が口から出た。
「じゃあその手のひらの光は・・?」
「これは十六夜雷大神の姿を形造っていた生体エネルギーと言った方が分かりやすいでしょうか。」
「『生体エネルギー?』」
思わずオウム返しに応えた武尊に皇子は、
「ええ。生体エネルギーと言いましたが簡単に言うと万物の命の元と説明した方がいいでしょうか。貴方が望むならこれを貴方にお渡しします。貴方の命を奪ったお詫びになどならないと思いますがせめて少しでも今生を生きますか?」
と言った。
「はい!」
武尊はこれでもかと言うぐらいに首を縦に振った。
「分かりました。では・・。」
と、皇子は手の上の光の発光体を武尊の幽体にそっと押し当てると武尊の幽体が光り始めた。
「あっ・・。」
まるで光に溶けていくように武尊の幽体がすーっと消えて行く。
武尊の視界が光で白く消えて行く前、皇子の最後の言葉が耳に届いた。
「いいですか武尊。一年、地球時間で一年です・・貴方の・・命・・のとも・・しび・・は・・・。
まるで武尊の心の中を探るように。
武尊の身体を心を弄び、最後の最後まで妬み嫉妬し破壊をようとしていた相手は自分を真っ直ぐに見つめてあろうことか許すとまで言った。
人間は嘘つきだ、酷い奴だ、汚らわしい憎むべき物だ。
そんな思い込みが武尊の眼を見ているうちに武尊を通して見てきた世界が十六夜丸の負の炎を消していく。
しばらく武尊を見ていた十六夜丸だったが一度目を閉じ、意を固めた様にそして視線を厩戸皇子に移した。
「終わりに・・出来るのか?」
皇子も武尊も同時に頷いた。
「そうか・・。」
十六夜丸はそう小さく呟き目を伏せた。
「では参りましょう。」
厩戸皇子が握っている十六夜丸の手にぐっと力を入れると十六夜丸は今一度目を伏せたまま頷いた。
すると頷いた瞬間、十六夜丸は瞬時に光の発光体になった。
「あっ!」
それを見ていた武尊は驚いて声をあげた。
(あの光が十六夜丸?十六夜丸はどうなったの?)
そんな疑問が頭の中をぐるぐると駆けまわっていると、
「武尊。」
と名を呼ばれた。
あの十六夜丸を一瞬で光に変える力を持つ皇子に武尊は緊張しながら返事をした。
「はい!」
「古の出来事が原因で今生を生きる貴方に大変辛い想いをさせてしまった。」
と皇子は武尊に頭を垂れた。
「やめて下さい。貴方が謝る必要はありません!」
武尊はそんなことはしないでと両腕を振った。
皇子はそんな武尊を見て少し微笑んだ。
「貴方が本当に良い人でよかった。」
「そんなことはないです!わ・・私だって・・」
(人を殺しました・・)
犯した罪を思い出し、懺悔の気持ちで声を詰まらせると皇子は武尊の気持ちを全部見透かしたように、
「分かっています。だが十六夜雷大神は貴方の力なくしては救えませんでした、貴方の強い意志と優しい心が十六夜雷大神をこの場に間に合わせてくれました。感謝いたします。」
「えっ?この場って・・?」
そう問いかけた武尊の眼を見て皇子は少し困り顔になり、遠くを見つめて
「私は・・本当にあの方を慕っていました・・相手が神だと分かっていたにも関わらず、人の身でありながら唯一無二の友以上だと思い込んで接した結果、あの美しい神を化け物にしてしまったことを知った時、自分が許せず気が狂いそうになりました。そして必ずや御救いせんと今まで修行をし、ようやくあの方を救う力を得ることが出来たのです。」
と言って視線を武尊に戻した。
武尊は、
「あのぅ・・それで十六夜丸はその光に?」
と、皇子の手のひらの上で輝く光の事を聞いてみると、
「いいえ、十六夜雷大神はあの瞬間、私の一部になりました。」
「ええ!?」
武尊は驚きで目を見開くと皇子は更に、
「付け加えるならば十六夜雷大神の心は私の身体一部となりました。これからは今生とは違う宇宙時間を私と過ごしていくことになるでしょう。」
まさか皇子から宇宙とかそんな言葉が出てくるなんて、と、驚きで皇子の言葉が呑み込めない武尊だったが思わずもう一つの質問が口から出た。
「じゃあその手のひらの光は・・?」
「これは十六夜雷大神の姿を形造っていた生体エネルギーと言った方が分かりやすいでしょうか。」
「『生体エネルギー?』」
思わずオウム返しに応えた武尊に皇子は、
「ええ。生体エネルギーと言いましたが簡単に言うと万物の命の元と説明した方がいいでしょうか。貴方が望むならこれを貴方にお渡しします。貴方の命を奪ったお詫びになどならないと思いますがせめて少しでも今生を生きますか?」
と言った。
「はい!」
武尊はこれでもかと言うぐらいに首を縦に振った。
「分かりました。では・・。」
と、皇子は手の上の光の発光体を武尊の幽体にそっと押し当てると武尊の幽体が光り始めた。
「あっ・・。」
まるで光に溶けていくように武尊の幽体がすーっと消えて行く。
武尊の視界が光で白く消えて行く前、皇子の最後の言葉が耳に届いた。
「いいですか武尊。一年、地球時間で一年です・・貴方の・・命・・のとも・・しび・・は・・・。