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276.消えた三本傷 (比古・夢主・十六夜丸)
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日がすっかり沈んだ暗闇の中、積もった雪が夜空の光を反射して小屋の前の開けた土地が青く薄明るい。
十六夜丸が握る刀をの感触は武尊に、幕末、身に刷り込まされた覚えていないはずの感覚を呼び覚ましてくる。
操られているとはいえ、まるで自分が比古に対峙しているかのような錯覚に吐き気がするようだった。
その一方で、初めて見る『比古清十郎』としての顔に目が釘付けになる。
武尊は食い入るように比古の顔を見ているが、ゆるりと自分の身体が動いたと思ったら次の瞬間、比古の刀と自分の刀がぶつかった激しい金属音が1回、静寂な山の空気を切り裂いた。
そして即座に身体が信じられないくらい高く飛び上がったかと思えば落下しながら比古と斬り合っていく。
(早すぎて刃筋が全然見えないっ!)
と思っているうちに着地をし、目の前に比古のマントの切れ端がふわりと飛んで行った。
(比古さんが斬られた!?怪我は!)
武尊は比古の身体が斬られていないか目を皿のようにして視線を動かし確認た。
(よかった・・マントが斬られただけでどこも怪我してなさそう。)
と同時に、あれだけ比古の剣撃を受けても無傷な自分・・いや、十六夜丸に武尊は言葉がなかった。
(これが十六夜丸・・。強い、強すぎる・・でも比古さん、頑張って!お願いっ!)
比古が勝った瞬間自分は死ぬのだということは分かっているのだけれども武尊は全力で比古を応援した。
そこで比古がマントを脱いで納刀したのが見えた。
自分は・・と言えば・・
(ちょっ!なに牙突の構えしてるの!何で!?いつの間に!!)
十六夜丸の馬鹿馬鹿馬鹿!牙突をしていいのは一だけなんだからね!!と武尊がテンションマックスにしている時、自分の身体が比古に向かって突進していくであろう・・という事が筋肉の緊張で分かった。
その後突進していく様はまるでスローモーションのように武尊に感じられた。
(比古さん、危ないっ!!)
武尊は有らん限りの心の声で叫んだ。