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274.再会、そして・・ (蒼紫・夢主・比古・葵屋一同)
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京都北山天ヶ岳。
日が大分傾き、
どさっ。
・・一昨日からの雪が日中少し溶けて重くなり音を立てて枝から落ちる。
「まだ師走だというのに積もりやがったな。」
雪は止んだものの、こんな日にもし武尊が帰って来ってくるものなら大変だと比古はふと思った。
師走に入り、約束の期日まであと半月弱。
武尊のからの手紙もない。
まさか本当に葵屋の、いや、御庭番衆の・・御頭四乃森蒼紫と夫婦(めおと)になどになって・・
と、そんな考えが頭を一瞬よぎったが比古は首を横に振り、『必ず武尊は帰ってくる』と自分に言い聞かせた。
とは言え、酒がもうすぐきれるし、明日は酒を買うついでに馬鹿弟子から連絡があったように葵屋へ顔を出して武尊の様子でも見に行ってみようか・・・・・・
という考えがちらりと脳裏を過ぎったが、あいつの思惑に乗ってやるのは面白くない。
と、その時比古は先日の剣心からの手紙を思い出した。
『師匠へ
御無沙汰しているでござる。以前師匠の言伝で会った武尊でござるが、京へ戻った後四乃森蒼紫と夫婦(めおと)になったとの知らせがあったでござる。
師匠も存じてるでござろうが、蒼紫には操殿という大事な娘がいるでござる。
そこで事の真意を見てきて欲しいでござる。
剣心』
「仮にも師匠の俺をパシリ扱いか。誰が見に行くか馬鹿野郎。」
と、その時は一瞬手紙をそのままぐしゃぐしゃと握りつぶしそうになったがその続きを見て思いとどまった。
『追伸
武尊は十六夜丸という者であろうか。右頬に三本傷、同一人物と思うほどによく似ていると思ったでござるが出会った幕末から十二年、容貌が全く変わってないので同一人物であるはずがないのでござろうが気になったので書き留めて置くでござる。まあ師匠であれば十六夜丸であっても問題ないとは思うでござるが。』
と、意味不明の追伸が書いてあった。
「十六夜丸?誰だ。問題ないって何がだ。全く分からねぇじゃねぇか、あの馬鹿弟子は。」
と呟いて比古はハッとし、以前武尊が言っていた事を思い出した。
『薬を飲むと・・私は知らない『私』になるみたいで・・兄はその『私』に何かをさせていたみたいです。』
「それが『十六夜丸』という奴なのか?・・幕末・・と言えば剣心が人斬りだった頃・・。つまり、もう一人の『武尊』が自分の飛天御剣流を継承した剣心と接触したことがある・・というわけか?」
武尊の兄と名乗った男は薩摩藩の人間だった。
「剣心のいた長州藩と薩摩藩の関係は薩長同盟で変わったとはいえ、、どの段階で武尊と剣心は会ったんだ?敵同士だったというわけか?」
当時の剣心に奥義は授けていないとしても飛天の剣は必殺必勝の剣。
剣心が追伸にあのように書いたのは間違いなく武尊とやり合った事があるという事だ。
「もう一人の武尊、つまり十六夜丸は少なくとも剣心と同等の力量ってわけか。そして人を斬ったことがあるということか?・・それを武尊は知ったのか?」
剣心は同一人物ではないと言ったが比古は武尊が十二年も経った今、武尊の姿が変わらない理由を知っている。
・・時を超えてきたからだ。
己の出生ともう一人の自分のしでかした何かという二つの枷に囚われ、事あらば死に引き寄せられる。
そんな危険な枷を外すには、自分自身で自分の過去と向き合うしかない。
そのために山から下したのだが、まさかもう一人の武尊が人を斬った可能性があるとは・・
人を斬れは心は病む
病まないのは最初から心が壊れているか
全てを犠牲にしても守りたいものがある強さを持っているか、だ。
自分を殺してくれと比古に懇願した武尊がもし自分が人を斬ったと知れば・・
比古は武尊を山から下したその判断が間違っていたのではないかと一瞬後悔仕掛けたが、
「あいつは俺が選んだ女だ、俺が惚れた女だ。必ず帰って来る。そして帰って来たあかつきには・・」
と、部屋の隅に置いてある柳行李に目をやった。
その中には武尊の為に用意したものが入っている。
と、その時、
何やら外の気配が明るく変わり、
愛しい女の声が聞こえたような気がした・・
日が大分傾き、
どさっ。
・・一昨日からの雪が日中少し溶けて重くなり音を立てて枝から落ちる。
「まだ師走だというのに積もりやがったな。」
雪は止んだものの、こんな日にもし武尊が帰って来ってくるものなら大変だと比古はふと思った。
師走に入り、約束の期日まであと半月弱。
武尊のからの手紙もない。
まさか本当に葵屋の、いや、御庭番衆の・・御頭四乃森蒼紫と夫婦(めおと)になどになって・・
と、そんな考えが頭を一瞬よぎったが比古は首を横に振り、『必ず武尊は帰ってくる』と自分に言い聞かせた。
とは言え、酒がもうすぐきれるし、明日は酒を買うついでに馬鹿弟子から連絡があったように葵屋へ顔を出して武尊の様子でも見に行ってみようか・・・・・・
という考えがちらりと脳裏を過ぎったが、あいつの思惑に乗ってやるのは面白くない。
と、その時比古は先日の剣心からの手紙を思い出した。
『師匠へ
御無沙汰しているでござる。以前師匠の言伝で会った武尊でござるが、京へ戻った後四乃森蒼紫と夫婦(めおと)になったとの知らせがあったでござる。
師匠も存じてるでござろうが、蒼紫には操殿という大事な娘がいるでござる。
そこで事の真意を見てきて欲しいでござる。
剣心』
「仮にも師匠の俺をパシリ扱いか。誰が見に行くか馬鹿野郎。」
と、その時は一瞬手紙をそのままぐしゃぐしゃと握りつぶしそうになったがその続きを見て思いとどまった。
『追伸
武尊は十六夜丸という者であろうか。右頬に三本傷、同一人物と思うほどによく似ていると思ったでござるが出会った幕末から十二年、容貌が全く変わってないので同一人物であるはずがないのでござろうが気になったので書き留めて置くでござる。まあ師匠であれば十六夜丸であっても問題ないとは思うでござるが。』
と、意味不明の追伸が書いてあった。
「十六夜丸?誰だ。問題ないって何がだ。全く分からねぇじゃねぇか、あの馬鹿弟子は。」
と呟いて比古はハッとし、以前武尊が言っていた事を思い出した。
『薬を飲むと・・私は知らない『私』になるみたいで・・兄はその『私』に何かをさせていたみたいです。』
「それが『十六夜丸』という奴なのか?・・幕末・・と言えば剣心が人斬りだった頃・・。つまり、もう一人の『武尊』が自分の飛天御剣流を継承した剣心と接触したことがある・・というわけか?」
武尊の兄と名乗った男は薩摩藩の人間だった。
「剣心のいた長州藩と薩摩藩の関係は薩長同盟で変わったとはいえ、、どの段階で武尊と剣心は会ったんだ?敵同士だったというわけか?」
当時の剣心に奥義は授けていないとしても飛天の剣は必殺必勝の剣。
剣心が追伸にあのように書いたのは間違いなく武尊とやり合った事があるという事だ。
「もう一人の武尊、つまり十六夜丸は少なくとも剣心と同等の力量ってわけか。そして人を斬ったことがあるということか?・・それを武尊は知ったのか?」
剣心は同一人物ではないと言ったが比古は武尊が十二年も経った今、武尊の姿が変わらない理由を知っている。
・・時を超えてきたからだ。
己の出生ともう一人の自分のしでかした何かという二つの枷に囚われ、事あらば死に引き寄せられる。
そんな危険な枷を外すには、自分自身で自分の過去と向き合うしかない。
そのために山から下したのだが、まさかもう一人の武尊が人を斬った可能性があるとは・・
人を斬れは心は病む
病まないのは最初から心が壊れているか
全てを犠牲にしても守りたいものがある強さを持っているか、だ。
自分を殺してくれと比古に懇願した武尊がもし自分が人を斬ったと知れば・・
比古は武尊を山から下したその判断が間違っていたのではないかと一瞬後悔仕掛けたが、
「あいつは俺が選んだ女だ、俺が惚れた女だ。必ず帰って来る。そして帰って来たあかつきには・・」
と、部屋の隅に置いてある柳行李に目をやった。
その中には武尊の為に用意したものが入っている。
と、その時、
何やら外の気配が明るく変わり、
愛しい女の声が聞こえたような気がした・・