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274.再会、そして・・ (蒼紫・夢主・比古・葵屋一同)
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日の出前、東山の空が群青から橙に色を変えていく。
南東の空には月齢27.7の月、つまり暁月が薄ら白く光っていた。
十六夜丸が出没できるのは新月の前まで。
月はその存在を隠すように白みゆく空に姿を隠していった・・
(今日は確か冬至だったような・・そっか、だからかぼちゃだったのか。)
なんて朝餉の中に一品かぼちゃがあったのを思い出した武尊だった。
(一年で一番日が短い日だから寒いのかな。)
なんて思いつつ、蒼紫と二人、歩き始めた武尊は足先をかじかませながら周りを見た。
町中の雪こそはもうなくなってはいたが、遠くの山々の峰はまだ白い。
(比古さんの住んでるところってどの山だろう・・歩いてあれだけ時間がかかるってことは・・やっぱり積もってるよね・・)
鴨川からはっきり見える比叡山は御多分に漏れず中腹から頂上にかけてかなり雪で白くなっていた。
蒼紫は歩く速度を武尊に合わせてくれているのだろうが無言だ。
武尊も今口を開けば、『操ちゃんが帰ってきたらちゃんとやってね。』なんて余計なことを口走ってしまいそうで・・黙っていた。
(こんな所で操ちゃんの事を話題に出しても『武尊には関係のない事だ』と言われてお終いかぁ・・そうだよね、そんなことは蒼紫自身が決めることだよね・・。)
武尊の荷物はお手製のナップサックに斎藤から譲られた刀の他は帳面など僅かな物しか入っていなかったがそれでも2時間も歩くとさすがに疲れてくる。
そんな武尊を見て蒼紫はようやく立ち止って水の入った竹筒を差し出した。
ありがとうと武尊はお礼を言ってコクンコクンと水を飲んだ。
「これから段々山道に入り道も悪くなる。ゆっくり行きたいのは山々だが日が暮れる前には着きたい。」
「分かった。大丈夫。」
武尊が竹筒を蒼紫に差し出すと受け取る為に出された蒼紫の手に小さな紙包があった。
中には黒飴。
わっ、嬉しいと武尊の顔がパッと輝くのを見て蒼紫もつい目元が緩む。
「那智の黒飴だそうだ。疲労にもいいと聞いた。」
と、蒼紫は先日買い出しに行った際、行商に来ていた者から買ったものだった。
(※那智黒総本舗さんは、明治10年(1877)の創業だそうです)
「ありがとう!」
と、ぱくっと口に入れた武尊の顔がにこにこになったのを見て蒼紫は、
「さあ行こう。」
と、足を進めたのだった。
ちなみにこの後『天ケ岳ってどこなの?』と聞かれた蒼紫が『大体で言うと鞍馬山の更に丑寅(北東)になる。』という事を聞き、武尊は別の意味で目の前が真っ暗になったのだった。(遠いよ!)
南東の空には月齢27.7の月、つまり暁月が薄ら白く光っていた。
十六夜丸が出没できるのは新月の前まで。
月はその存在を隠すように白みゆく空に姿を隠していった・・
(今日は確か冬至だったような・・そっか、だからかぼちゃだったのか。)
なんて朝餉の中に一品かぼちゃがあったのを思い出した武尊だった。
(一年で一番日が短い日だから寒いのかな。)
なんて思いつつ、蒼紫と二人、歩き始めた武尊は足先をかじかませながら周りを見た。
町中の雪こそはもうなくなってはいたが、遠くの山々の峰はまだ白い。
(比古さんの住んでるところってどの山だろう・・歩いてあれだけ時間がかかるってことは・・やっぱり積もってるよね・・)
鴨川からはっきり見える比叡山は御多分に漏れず中腹から頂上にかけてかなり雪で白くなっていた。
蒼紫は歩く速度を武尊に合わせてくれているのだろうが無言だ。
武尊も今口を開けば、『操ちゃんが帰ってきたらちゃんとやってね。』なんて余計なことを口走ってしまいそうで・・黙っていた。
(こんな所で操ちゃんの事を話題に出しても『武尊には関係のない事だ』と言われてお終いかぁ・・そうだよね、そんなことは蒼紫自身が決めることだよね・・。)
武尊の荷物はお手製のナップサックに斎藤から譲られた刀の他は帳面など僅かな物しか入っていなかったがそれでも2時間も歩くとさすがに疲れてくる。
そんな武尊を見て蒼紫はようやく立ち止って水の入った竹筒を差し出した。
ありがとうと武尊はお礼を言ってコクンコクンと水を飲んだ。
「これから段々山道に入り道も悪くなる。ゆっくり行きたいのは山々だが日が暮れる前には着きたい。」
「分かった。大丈夫。」
武尊が竹筒を蒼紫に差し出すと受け取る為に出された蒼紫の手に小さな紙包があった。
中には黒飴。
わっ、嬉しいと武尊の顔がパッと輝くのを見て蒼紫もつい目元が緩む。
「那智の黒飴だそうだ。疲労にもいいと聞いた。」
と、蒼紫は先日買い出しに行った際、行商に来ていた者から買ったものだった。
(※那智黒総本舗さんは、明治10年(1877)の創業だそうです)
「ありがとう!」
と、ぱくっと口に入れた武尊の顔がにこにこになったのを見て蒼紫は、
「さあ行こう。」
と、足を進めたのだった。
ちなみにこの後『天ケ岳ってどこなの?』と聞かれた蒼紫が『大体で言うと鞍馬山の更に丑寅(北東)になる。』という事を聞き、武尊は別の意味で目の前が真っ暗になったのだった。(遠いよ!)