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273.『枷』の答え (蒼紫・夢主・お増・お近)
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蒼紫が小太刀を一振りし、鞘へカツンと収めたと同時にはらりと畳の上に赤いものが落ちた。
それは武尊の血ではなく、『夫婦ごっこ』を始めた時に蒼紫が武尊の首に付けた御頭の印の首輪。
「えっ・・」
武尊は切り落とされたそれを見て驚きの目で蒼紫を見上げた。
「どういう事・・?」
約束の期限までまだ十日もある。
蒼紫にしては諦めが早すぎるのでは、絶対大晦日まで自分を拘束して更には『今月いっぱいなどと言った覚えなどない』などだだをこねるのではないかとまで考えていたのに、だ。
「自分の身体に聞いてみろ、俺が気が付いていないとでも思っているのか。」
きつい口調。
ドキリとする心。
自分でも寿命がつきかけているのではないかという不安な心を見透かされてしまいそうだと心臓がドクドクと音を立てる。
すると蒼紫がフッと目元を緩め膝を折った。
そして落としたシャツを再び武尊の肩に掛けた。
「俺は俺の女の願いを叶えられない男にはなりたくない。『夫婦ごっこ』は今日で終いだ。武尊は・・自由だ。」
そう言って蒼紫は落ちた御頭の女の証である首輪を拾ってポケットに入れた。
「明日・・俺が送っていく。道ならば心配ない。」
「蒼紫・・。」
武尊は蒼紫の行動がやっと理解出来た。
体調の事を何処まで分かっているのかは知らないが自分の願いを覚えていてくれたことに目頭が熱くなった。
(『ごっこ』の前まではあんなに比古さんの所へ帰ると言ったことを怒っていたのに・・だからあんなに酷いことまで私にしたのに・・。なのにあの願いを聞いてくれるなんて・・
あなたっていう人は・・)
「馬鹿・・蒼紫は馬鹿だよ・・。」
絞り出すように言葉を発すると同時にボロボロと武尊の眼から涙がこぼれた。
自分に『馬鹿』など言った奴の末路がどうなったか。
そんなことが一瞬頭をよぎったが、武尊の「馬鹿よ」の言葉にはストンと胸に落ちるものがあると蒼紫は思った。
「そうだな・・。」
武尊は思わず蒼紫の懐に入り、両手で蒼紫の襟元を握って声を殺した。
その間にもボトボトと武尊の涙が畳に滲んでいく。
それは武尊の血ではなく、『夫婦ごっこ』を始めた時に蒼紫が武尊の首に付けた御頭の印の首輪。
「えっ・・」
武尊は切り落とされたそれを見て驚きの目で蒼紫を見上げた。
「どういう事・・?」
約束の期限までまだ十日もある。
蒼紫にしては諦めが早すぎるのでは、絶対大晦日まで自分を拘束して更には『今月いっぱいなどと言った覚えなどない』などだだをこねるのではないかとまで考えていたのに、だ。
「自分の身体に聞いてみろ、俺が気が付いていないとでも思っているのか。」
きつい口調。
ドキリとする心。
自分でも寿命がつきかけているのではないかという不安な心を見透かされてしまいそうだと心臓がドクドクと音を立てる。
すると蒼紫がフッと目元を緩め膝を折った。
そして落としたシャツを再び武尊の肩に掛けた。
「俺は俺の女の願いを叶えられない男にはなりたくない。『夫婦ごっこ』は今日で終いだ。武尊は・・自由だ。」
そう言って蒼紫は落ちた御頭の女の証である首輪を拾ってポケットに入れた。
「明日・・俺が送っていく。道ならば心配ない。」
「蒼紫・・。」
武尊は蒼紫の行動がやっと理解出来た。
体調の事を何処まで分かっているのかは知らないが自分の願いを覚えていてくれたことに目頭が熱くなった。
(『ごっこ』の前まではあんなに比古さんの所へ帰ると言ったことを怒っていたのに・・だからあんなに酷いことまで私にしたのに・・。なのにあの願いを聞いてくれるなんて・・
あなたっていう人は・・)
「馬鹿・・蒼紫は馬鹿だよ・・。」
絞り出すように言葉を発すると同時にボロボロと武尊の眼から涙がこぼれた。
自分に『馬鹿』など言った奴の末路がどうなったか。
そんなことが一瞬頭をよぎったが、武尊の「馬鹿よ」の言葉にはストンと胸に落ちるものがあると蒼紫は思った。
「そうだな・・。」
武尊は思わず蒼紫の懐に入り、両手で蒼紫の襟元を握って声を殺した。
その間にもボトボトと武尊の涙が畳に滲んでいく。