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271.究極のメニュー2 (比古・お近・黒・蒼紫・夢主)
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「比古様~ぁ!」
「あ?」
静かな京都の山奥に似つかわしくない黄色い声が小屋の外から聞こえ、比古清十郎は絵付けの筆を置いてしぶしぶ表へ出た。
見れば忍び装束の女が顔を紅潮させて待っていた。
余程の急ぎの用事・・とはこの女の表情からはそうは思えなかった比古は尋ねた。
「お前は葵屋の・・で、どうした。」
「これを翁から預かりました。」
と、渡されたのは一通の手紙。
一瞬待ちわびた武尊からの手紙かと思った比古だったが、見覚えのある汚い字で『師匠へ』の文字。
とたんに比古の眉間に皺が寄る。
嫌な予感しかしないと思いながらも受け取ると、お近は比古に一歩近寄り上目遣いで言った。
「比古様、私、陶芸家に嫁ぐ準備はいつでもありましてよ。」
いかにも挑戦的なその目に比古は余裕の笑みを浮かべて答えた。
「期待を持たせたままじゃぁいけねぇからはっきり言うが抱きたい女はお前じゃねぇ、悪いな。」
思ったとおりの答えが返ってきたがそれでもお近は悔しい。
せめて一矢報いて事が好転すればと、
「もしかしてそれって武尊さんのこと言ってるのかしら。だとしたら残念だわ。武尊さん、蒼紫様と夫婦になられて今熱々中よ。」
挑発するように比古を見上げた。
「だとしても俺は信じて待つだけだ、武尊が帰ってくるのをな。手紙ありがとよ。」
比古はにっ、っと笑ってマントをひるがえし小屋に入ろうと踵を返すと背中から抱き着かれた。
「葵屋を助けて頂いた時からお慕い申しておりました!後生です、御情けを・・!」
ぎゅっと抱き着いたはずなのにお近の頭をポンポンと撫でる手にお近は目をあけると抱き着いたはずなのにいつの間にか正面に立っている比古が自分の頭を撫でていたのだった。
「おめぇはいい女なんだろ、大人しく帰んな。」
*****************
「はぁ~。」
盛大なため息をしながら虚ろな目で勝手場の天井を仰ぐお近に黒が言った。
「お近いったいどうしたんだよ。お前がそんなため息つくなんて珍しいな。」
「私にだってため息つきたい時ぐらいあ・る・わ・よ。」
と、またため息をつくお近は比古の別れ際の言葉を思い出していた。
(あんな言われ方したら帰るしかないじゃない)
お近の目は勝手場の奥の樽の前で蒼紫と顔を突き合わせて真剣な顔で話す武尊をじとっと見た。
なんかモヤモヤする気持ちのままお近は拭き終わった食器を片付けようとした時、黒がぼそっと言った。
「本当、奇跡を見ているようでまだ信じられないよ。」
黒が言ったのは蒼紫の事。
二人が神戸から帰って来たと思ったら翌日は滋賀まで出かけて近江の牛肉を直接仕入れる契約まで取って来た。
蒼紫のあまりの変わり身に翁も口をあんぐり開けていたほどだ。
今は葵屋の牛肉料理の新メニューを模索中なのだ。
そして今日は牛肉としめじ、ねぎなどと一緒に朴の葉の上に乗せて味噌と一緒に焼く・・という事をやっている。
もちろんこれは武尊が現代で食べたりテレビで見た記憶から再現したものなので武尊としてはメニューのパクリといえばパクリなので少々心苦しい気持ちはあるが味はオリジナルだと思い頑張っている。
頑張っている・・
頑張っている・・
というのがどうでもよくなってくるぐらいに焼ける味噌の匂いがたまらい。
「よい匂いだな。」
「うん、焼けたみたいだし・・ぼちぼちいいかも。」
朴葉に顔を近づけて匂いをくんくん嗅ぐ武尊に蒼紫はくすりと笑い、箸で肉をつまんで武尊の口の前に持って来て二回ふうふうした。
「武尊。」
「え。」
まるで『あーん』と口を開けろとばかりの動作に武尊は固まった。
(まさかの『フーフー&あーん』?蒼紫が!?)
目を疑う光景にどうしてよいのかと戸惑う間にも蒼紫の目は期待に満ちている。
その期待を裏切れないっ!と、武尊は耳を赤くしながら控えめに口を開けた。
だが、恥ずかしさも吹っ飛ぶぐらいの肉の美味しさに思わず武尊は目を見開いた。
「蒼紫も食べてみて!」
思わず無意識的に蒼紫と同じ様にお肉をつまみ蒼紫の口もとに持っていって自分も同じように恥ずかしい事をしていると思うも美味しいものを分かち合いたい気持ちが勝った。
蒼紫は静かに肉を口に入れ賞味し、その姿を武尊はじっと見入った。(色々な意味で)
つい数日前までは頑なに牛肉を避けていたとは思えないと思いつつも、蒼紫の喉がゴクンを動くと武尊は、
「これならいけそうだね!」
と頷いた。
「あ?」
静かな京都の山奥に似つかわしくない黄色い声が小屋の外から聞こえ、比古清十郎は絵付けの筆を置いてしぶしぶ表へ出た。
見れば忍び装束の女が顔を紅潮させて待っていた。
余程の急ぎの用事・・とはこの女の表情からはそうは思えなかった比古は尋ねた。
「お前は葵屋の・・で、どうした。」
「これを翁から預かりました。」
と、渡されたのは一通の手紙。
一瞬待ちわびた武尊からの手紙かと思った比古だったが、見覚えのある汚い字で『師匠へ』の文字。
とたんに比古の眉間に皺が寄る。
嫌な予感しかしないと思いながらも受け取ると、お近は比古に一歩近寄り上目遣いで言った。
「比古様、私、陶芸家に嫁ぐ準備はいつでもありましてよ。」
いかにも挑戦的なその目に比古は余裕の笑みを浮かべて答えた。
「期待を持たせたままじゃぁいけねぇからはっきり言うが抱きたい女はお前じゃねぇ、悪いな。」
思ったとおりの答えが返ってきたがそれでもお近は悔しい。
せめて一矢報いて事が好転すればと、
「もしかしてそれって武尊さんのこと言ってるのかしら。だとしたら残念だわ。武尊さん、蒼紫様と夫婦になられて今熱々中よ。」
挑発するように比古を見上げた。
「だとしても俺は信じて待つだけだ、武尊が帰ってくるのをな。手紙ありがとよ。」
比古はにっ、っと笑ってマントをひるがえし小屋に入ろうと踵を返すと背中から抱き着かれた。
「葵屋を助けて頂いた時からお慕い申しておりました!後生です、御情けを・・!」
ぎゅっと抱き着いたはずなのにお近の頭をポンポンと撫でる手にお近は目をあけると抱き着いたはずなのにいつの間にか正面に立っている比古が自分の頭を撫でていたのだった。
「おめぇはいい女なんだろ、大人しく帰んな。」
*****************
「はぁ~。」
盛大なため息をしながら虚ろな目で勝手場の天井を仰ぐお近に黒が言った。
「お近いったいどうしたんだよ。お前がそんなため息つくなんて珍しいな。」
「私にだってため息つきたい時ぐらいあ・る・わ・よ。」
と、またため息をつくお近は比古の別れ際の言葉を思い出していた。
(あんな言われ方したら帰るしかないじゃない)
お近の目は勝手場の奥の樽の前で蒼紫と顔を突き合わせて真剣な顔で話す武尊をじとっと見た。
なんかモヤモヤする気持ちのままお近は拭き終わった食器を片付けようとした時、黒がぼそっと言った。
「本当、奇跡を見ているようでまだ信じられないよ。」
黒が言ったのは蒼紫の事。
二人が神戸から帰って来たと思ったら翌日は滋賀まで出かけて近江の牛肉を直接仕入れる契約まで取って来た。
蒼紫のあまりの変わり身に翁も口をあんぐり開けていたほどだ。
今は葵屋の牛肉料理の新メニューを模索中なのだ。
そして今日は牛肉としめじ、ねぎなどと一緒に朴の葉の上に乗せて味噌と一緒に焼く・・という事をやっている。
もちろんこれは武尊が現代で食べたりテレビで見た記憶から再現したものなので武尊としてはメニューのパクリといえばパクリなので少々心苦しい気持ちはあるが味はオリジナルだと思い頑張っている。
頑張っている・・
頑張っている・・
というのがどうでもよくなってくるぐらいに焼ける味噌の匂いがたまらい。
「よい匂いだな。」
「うん、焼けたみたいだし・・ぼちぼちいいかも。」
朴葉に顔を近づけて匂いをくんくん嗅ぐ武尊に蒼紫はくすりと笑い、箸で肉をつまんで武尊の口の前に持って来て二回ふうふうした。
「武尊。」
「え。」
まるで『あーん』と口を開けろとばかりの動作に武尊は固まった。
(まさかの『フーフー&あーん』?蒼紫が!?)
目を疑う光景にどうしてよいのかと戸惑う間にも蒼紫の目は期待に満ちている。
その期待を裏切れないっ!と、武尊は耳を赤くしながら控えめに口を開けた。
だが、恥ずかしさも吹っ飛ぶぐらいの肉の美味しさに思わず武尊は目を見開いた。
「蒼紫も食べてみて!」
思わず無意識的に蒼紫と同じ様にお肉をつまみ蒼紫の口もとに持っていって自分も同じように恥ずかしい事をしていると思うも美味しいものを分かち合いたい気持ちが勝った。
蒼紫は静かに肉を口に入れ賞味し、その姿を武尊はじっと見入った。(色々な意味で)
つい数日前までは頑なに牛肉を避けていたとは思えないと思いつつも、蒼紫の喉がゴクンを動くと武尊は、
「これならいけそうだね!」
と頷いた。