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225.雨のなかにわ (操・黒・白・お近・お増・師匠・般若)
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結局、水屋にあった卵焼きとあんぱんを食べうろうろした後にまたお近達のところへ行った操だったが、その時すでにお近達はお座敷の為に化粧をしていた。
「なあに操ちゃん、何か話したいことああるんじゃないの?今ならいいわよ。」
お近にそう言われ、操はうんと言いながら壁ぎわの胡坐をかいて座った。
「あのね・・お近さん、お増さん。」
思いつめたような話の口ぶりにお近とお増の胸の中に先日の翁の縁談話がよぎった。
だが操の口から出たのは全く違った話。
「【吸血鬼】って知ってる?」
「なあに、それ?新しいお菓子?カステラより美味しいの?」
操の言った【吸血鬼】というのがてっきりお菓子の事だと思った二人はコロコロ笑った。
「違ーう!それは西洋のお化けなの!開国でついに日本にも入って来たの!そして人の首に噛み付いて血を吸って死なせるのよ!」
バッ、と手を振り力説する操にお近もお増もあっけにとられた。
新手のおふざけにしては切羽詰まった縁起だし、昔はいろいろ大げさな事を言って周りを困らせたこともあったがもうそんな歳でもないのにと二人は操を見た。
操はそんな二人の顔を見て少しむくれて、
「お近さんも、お増さんも信じてないでしょ。でも私見たもの、見たのよ死体を!四条の橋のすぐ近くで!大勢の人も見てたわ。」
と言った。
「誰も操ちゃんが嘘を言ってるなんて思ってないわ。」
とお増が優しく言うと操はようやく気持ちが落ち着いた。
「本当?」
「ええ、本当。でも怖いわねぇ、もし本当にそんなお化けがいるなら・・。」
と、返事をしつつ操を見るとまた頬をぷぅっと膨らませていた。
「『本当に』って、ほら、やっぱり信じてない!」
「し、信じてるわよ。」
お増はちょっとシマッタいう顔をしたが操のイライラにまた火がついた。
「いいわよ!爺やが帰ってきたら言いつけてやるんだから!」
と操は言うと、ドスドスとお近とお増の部屋を出た。
操が出て行った後、お近とお増は顔を見合わせた。
「溜まってるわね~、操ちゃん。」
お近が鏡を見ながら自分の唇に紅をさしながらそう言うと、
「そうね、みんな忙しくて構ってあげてないから尚更なのね。蒼紫様も帰ってきたのは帰ってきたけど結局今日も御不在だし。」
と、お増がため息交じりに答えた。
そしてもう一度ため息をつくと、
「こっちは猫の手も借りたいけど今の操ちゃんじゃ翁の相手ぐらいしか頼めることないし。」
と、操が出て行った方を振り返って見た。
お近も鏡台の鏡越しに操が出て行った方を切れ長の瞳で見送って、
「あの子・・また変な事に首を突っこまなきゃいいんだけど。」
と不安を小さく漏らした。
「なあに操ちゃん、何か話したいことああるんじゃないの?今ならいいわよ。」
お近にそう言われ、操はうんと言いながら壁ぎわの胡坐をかいて座った。
「あのね・・お近さん、お増さん。」
思いつめたような話の口ぶりにお近とお増の胸の中に先日の翁の縁談話がよぎった。
だが操の口から出たのは全く違った話。
「【吸血鬼】って知ってる?」
「なあに、それ?新しいお菓子?カステラより美味しいの?」
操の言った【吸血鬼】というのがてっきりお菓子の事だと思った二人はコロコロ笑った。
「違ーう!それは西洋のお化けなの!開国でついに日本にも入って来たの!そして人の首に噛み付いて血を吸って死なせるのよ!」
バッ、と手を振り力説する操にお近もお増もあっけにとられた。
新手のおふざけにしては切羽詰まった縁起だし、昔はいろいろ大げさな事を言って周りを困らせたこともあったがもうそんな歳でもないのにと二人は操を見た。
操はそんな二人の顔を見て少しむくれて、
「お近さんも、お増さんも信じてないでしょ。でも私見たもの、見たのよ死体を!四条の橋のすぐ近くで!大勢の人も見てたわ。」
と言った。
「誰も操ちゃんが嘘を言ってるなんて思ってないわ。」
とお増が優しく言うと操はようやく気持ちが落ち着いた。
「本当?」
「ええ、本当。でも怖いわねぇ、もし本当にそんなお化けがいるなら・・。」
と、返事をしつつ操を見るとまた頬をぷぅっと膨らませていた。
「『本当に』って、ほら、やっぱり信じてない!」
「し、信じてるわよ。」
お増はちょっとシマッタいう顔をしたが操のイライラにまた火がついた。
「いいわよ!爺やが帰ってきたら言いつけてやるんだから!」
と操は言うと、ドスドスとお近とお増の部屋を出た。
操が出て行った後、お近とお増は顔を見合わせた。
「溜まってるわね~、操ちゃん。」
お近が鏡を見ながら自分の唇に紅をさしながらそう言うと、
「そうね、みんな忙しくて構ってあげてないから尚更なのね。蒼紫様も帰ってきたのは帰ってきたけど結局今日も御不在だし。」
と、お増がため息交じりに答えた。
そしてもう一度ため息をつくと、
「こっちは猫の手も借りたいけど今の操ちゃんじゃ翁の相手ぐらいしか頼めることないし。」
と、操が出て行った方を振り返って見た。
お近も鏡台の鏡越しに操が出て行った方を切れ長の瞳で見送って、
「あの子・・また変な事に首を突っこまなきゃいいんだけど。」
と不安を小さく漏らした。