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222.氷雨 (お近、操、お増、翁、蒼紫、夢主)
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一方、武尊は京都へ到着後二、三日は安宿を周っていた。
大抵は務めて話をしないように努めていた武尊だったが今朝は朝餉を運んできた安宿の女将に話しかけられたとこだった。
「学生さんでいはりますか。」
「え、ええ・・まぁ。」
「そないに綺麗なお顔してはりますのに乱暴なことしたらあきまへんで。しっかり勉強しておくれやすな。」
思ってもいなかった女将の言葉に武尊がなんと答えてよいのか少しポカンとしている間に女将はさっさと下がって行った。
少し経って武尊は苦笑した。
「・・学生さん、か。そりゃ、短髪で洋装してればそんな色眼鏡で見ちゃうんだろうな。まさか私が女だなんてこれっぽちも思ってない態度だったし・・そりゃ化粧もしてないし、ましてこの傷だからね。でも『学生です』って言うのは使えるかも・・って、おっと、少しでも暖かいうちに頂いちゃおう。」
御飯に味噌汁、それに漬物だけだったがこれでも大御馳走だと武尊は美味しく頂いた。
宿を出て、明け方冷えると思っていたが日が射したらかなりましになった。
気がつけばもう霜月も半ば、寒いのは当たり前だ。
ましてここは夏は暑く冬は寒い京都。
だが今日は有り難いことに風がないせいか、日差しが暖かく感じる。
街中から離れたこの辺りは、少し歩くと大きな家やお寺があり、庭に植えられた見事な色づきの紅葉が塀越しに見えた。
「うわ~流石京都の紅葉すごい・・しかも未来に比べて自然が残っている分だけ風情があるよね・・。」
武尊は秋の京都の美しさに改めて感動した。
露に濡れた土の道の上に落ちた紅葉の葉までもが美しい。
武尊は感心しながら歩いた。
なんとなく葵屋とは反対方向の宿に泊まったけれども武尊はもう一度嵐山方面へ行こうと計画していた。
もちろん嵐山という場所がすでに観光地で、そこでは確実に飯屋があり昼御飯を食べる予定をたてたのもあるが、例の庵や記憶を無くしていた頃住んでいた場所などをもう一度辿ってみようと思ったからだ。
万が一にも・・兄の手がかりがあるかも知れないと薄い望みを持ちながら。
(ま、こうやって紅葉を見ながら歩くもの久しぶりの贅沢だし、たまには観光気分で御団子と抹茶を頂いたりするにもいいかな。過去に飛ばされたってことも忘れて今はただ秋の京都を感じたい・・。)
武尊はそう思って紅葉の木の木漏れ日に目を細めた。
大抵は務めて話をしないように努めていた武尊だったが今朝は朝餉を運んできた安宿の女将に話しかけられたとこだった。
「学生さんでいはりますか。」
「え、ええ・・まぁ。」
「そないに綺麗なお顔してはりますのに乱暴なことしたらあきまへんで。しっかり勉強しておくれやすな。」
思ってもいなかった女将の言葉に武尊がなんと答えてよいのか少しポカンとしている間に女将はさっさと下がって行った。
少し経って武尊は苦笑した。
「・・学生さん、か。そりゃ、短髪で洋装してればそんな色眼鏡で見ちゃうんだろうな。まさか私が女だなんてこれっぽちも思ってない態度だったし・・そりゃ化粧もしてないし、ましてこの傷だからね。でも『学生です』って言うのは使えるかも・・って、おっと、少しでも暖かいうちに頂いちゃおう。」
御飯に味噌汁、それに漬物だけだったがこれでも大御馳走だと武尊は美味しく頂いた。
宿を出て、明け方冷えると思っていたが日が射したらかなりましになった。
気がつけばもう霜月も半ば、寒いのは当たり前だ。
ましてここは夏は暑く冬は寒い京都。
だが今日は有り難いことに風がないせいか、日差しが暖かく感じる。
街中から離れたこの辺りは、少し歩くと大きな家やお寺があり、庭に植えられた見事な色づきの紅葉が塀越しに見えた。
「うわ~流石京都の紅葉すごい・・しかも未来に比べて自然が残っている分だけ風情があるよね・・。」
武尊は秋の京都の美しさに改めて感動した。
露に濡れた土の道の上に落ちた紅葉の葉までもが美しい。
武尊は感心しながら歩いた。
なんとなく葵屋とは反対方向の宿に泊まったけれども武尊はもう一度嵐山方面へ行こうと計画していた。
もちろん嵐山という場所がすでに観光地で、そこでは確実に飯屋があり昼御飯を食べる予定をたてたのもあるが、例の庵や記憶を無くしていた頃住んでいた場所などをもう一度辿ってみようと思ったからだ。
万が一にも・・兄の手がかりがあるかも知れないと薄い望みを持ちながら。
(ま、こうやって紅葉を見ながら歩くもの久しぶりの贅沢だし、たまには観光気分で御団子と抹茶を頂いたりするにもいいかな。過去に飛ばされたってことも忘れて今はただ秋の京都を感じたい・・。)
武尊はそう思って紅葉の木の木漏れ日に目を細めた。