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222.氷雨 (お近、操、お増、翁、蒼紫、夢主)
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翌日:葵屋、早朝。
「お近さん、それ蒼紫様のでしょ。」
勝手場にやって来た操はすぐさまコポコポとお茶を入れているお近に声をかけた。
「そうよ、操ちゃん。今朝は早いわね。」
今朝もシャキシャキ元気なお近に操も元気いっぱいに、
「もちろん!」
と、上機嫌で返事をした。
「それ、私が持っていくね!」
「ありがと、操ちゃん。」
お近はお盆に入れたてのお茶をのせて操に渡そうとしたが、
「ちょっと待って、操ちゃん。」
と言うと、つかつかと操の前に来て操の襟元をグッと掴んだ。
「何、お近さん!」
お近の顔が怖くて咄嗟にお近の手を掴んだ操だったがお近にちょっとだけと言われて手を放すと襟を直された。
「これでいいわ。」
「どこかおかしかった?」
「いいえ。でもちょっと大人の着こなし風にしてみたの。・・にしてもその格好、寒くないの操ちゃん。」
「少し寒いけどこれなら蒼紫様がとんずらしようとしたら追いかけていけるでしょ。」
と、霜月なのに半袖短パン風のいでたちの操は答えた。
操の気持ちを察したお近は軽くため息とつくと、
「なるほどね。じゃ、蒼紫様にお茶を頼むわ。」
とお盆を渡した。
「任せて!」
と操は上機嫌で蒼紫の部屋へ向かった。
一方、朝の散歩に出かけようとしていた翁は廊下でお増につかまっていた。
「翁、操ちゃんの事で話があります。」
「ん、何じゃお増。朝からそのように真顔で迫られても・・(ははーん、黒達から昨日の話を聞いたのぅ。)」
お増の顔から何となくお増の言いたいことを察した翁だった。
お増は翁の真意を問いただそうと更に詰め寄ろうとしたその時、廊下の足音に反射的に二人とも身をひそめた。
それはその足音が操のものだと分かったから。
「何じゃ、蒼紫が帰って来た途端あんなに浮かれおって。」
翁は操に聞こえないくらいの声で呟いた。
「翁見て・・操ちゃん、あんなに幸せそうなのよ。」
お増も操に聞こえないように翁に囁いた。
すると翁はお増に、
「のうお増、これからの時代、御庭番衆ではなく真っ当な人として夫婦になるには何が必要じゃと思うか。」
に聞いた。
「そ、それは・・。」
お増は即答できなかった。
それはまだ自らがまだ京都探索方御庭番衆という誇りを強く持っており、いきなり御庭番衆でないという前提では物事を考えられなかったからだ。
「相手に恋焦れるだけで夫婦(めおと)生活が上手くいくと思うか。操にはそれが分かっておらん。」
お増は黙って操の後ろ姿を眺めているしかなかった。
「儂は操にも蒼紫にも後悔のない人生を送ってもらいたいのじゃよ。・・そしてお前達にもな。」
「翁・・。」
そんな間に操は廊下の角を曲がって見えなくなった。
お増は『自分達』の事も翁に言われてドキっとしていた。
その隙に翁はそーっと後ずさりし間合いを取った。
お増がハッとした時は一瞬遅く、翁は
「河原で梅松が待っておるんじゃ、ちと出かけて来るぞぃ。」
と言い捨てて一目散に走って行った。
「あ、翁!ちょっと・・。」
とお増が言った声も届かないくらいに老人とは思えない速さでいなくなった。
「もう!翁ったら!」
お増は悔しがったが翁が言った謎かけのような言葉にお増はため息をついたのだった。
「お近さん、それ蒼紫様のでしょ。」
勝手場にやって来た操はすぐさまコポコポとお茶を入れているお近に声をかけた。
「そうよ、操ちゃん。今朝は早いわね。」
今朝もシャキシャキ元気なお近に操も元気いっぱいに、
「もちろん!」
と、上機嫌で返事をした。
「それ、私が持っていくね!」
「ありがと、操ちゃん。」
お近はお盆に入れたてのお茶をのせて操に渡そうとしたが、
「ちょっと待って、操ちゃん。」
と言うと、つかつかと操の前に来て操の襟元をグッと掴んだ。
「何、お近さん!」
お近の顔が怖くて咄嗟にお近の手を掴んだ操だったがお近にちょっとだけと言われて手を放すと襟を直された。
「これでいいわ。」
「どこかおかしかった?」
「いいえ。でもちょっと大人の着こなし風にしてみたの。・・にしてもその格好、寒くないの操ちゃん。」
「少し寒いけどこれなら蒼紫様がとんずらしようとしたら追いかけていけるでしょ。」
と、霜月なのに半袖短パン風のいでたちの操は答えた。
操の気持ちを察したお近は軽くため息とつくと、
「なるほどね。じゃ、蒼紫様にお茶を頼むわ。」
とお盆を渡した。
「任せて!」
と操は上機嫌で蒼紫の部屋へ向かった。
一方、朝の散歩に出かけようとしていた翁は廊下でお増につかまっていた。
「翁、操ちゃんの事で話があります。」
「ん、何じゃお増。朝からそのように真顔で迫られても・・(ははーん、黒達から昨日の話を聞いたのぅ。)」
お増の顔から何となくお増の言いたいことを察した翁だった。
お増は翁の真意を問いただそうと更に詰め寄ろうとしたその時、廊下の足音に反射的に二人とも身をひそめた。
それはその足音が操のものだと分かったから。
「何じゃ、蒼紫が帰って来た途端あんなに浮かれおって。」
翁は操に聞こえないくらいの声で呟いた。
「翁見て・・操ちゃん、あんなに幸せそうなのよ。」
お増も操に聞こえないように翁に囁いた。
すると翁はお増に、
「のうお増、これからの時代、御庭番衆ではなく真っ当な人として夫婦になるには何が必要じゃと思うか。」
に聞いた。
「そ、それは・・。」
お増は即答できなかった。
それはまだ自らがまだ京都探索方御庭番衆という誇りを強く持っており、いきなり御庭番衆でないという前提では物事を考えられなかったからだ。
「相手に恋焦れるだけで夫婦(めおと)生活が上手くいくと思うか。操にはそれが分かっておらん。」
お増は黙って操の後ろ姿を眺めているしかなかった。
「儂は操にも蒼紫にも後悔のない人生を送ってもらいたいのじゃよ。・・そしてお前達にもな。」
「翁・・。」
そんな間に操は廊下の角を曲がって見えなくなった。
お増は『自分達』の事も翁に言われてドキっとしていた。
その隙に翁はそーっと後ずさりし間合いを取った。
お増がハッとした時は一瞬遅く、翁は
「河原で梅松が待っておるんじゃ、ちと出かけて来るぞぃ。」
と言い捨てて一目散に走って行った。
「あ、翁!ちょっと・・。」
とお増が言った声も届かないくらいに老人とは思えない速さでいなくなった。
「もう!翁ったら!」
お増は悔しがったが翁が言った謎かけのような言葉にお増はため息をついたのだった。