「蒼紫様～♪、（お部屋に）入ってもいいですか？」


「何だ操。」



蒼紫の部屋の障子がスーッと開いたと思ったら、風呂の準備をした蒼紫が出てきて障子を閉めた。



「あ、これからお風呂ですか？」


「嗚呼・・。」



風呂場へ向かって歩き出した蒼紫の後ろから操がついて来る。



「で、東京はどうだったんですか？薫さんや緋村は元気だった？弥彦は？あの鳥頭とか、、みんなに会ったんでしょ？あ～私も一緒に行きたかったなぁ～！」



矢継ぎ早に操は蒼紫に質問した。



「ねぇ、蒼紫様、お土産は？私も薫さんみたいなリボン欲しかったんだけど。」



しかし蒼紫からは言葉は返ってこない。


操にしてみればこれはよくあることなので気にならない。


少し間をおいて、



「遊びに行ったわけでないんだ、悪いが土産はない。」



とようやく返答があった。



「そっか、そうだよね。でも蒼紫様、武尊さんはどうしたの？迎えに行ったって聞いたけど。」



そうなのだ。


蒼紫は葵屋へ戻って来てすぐに武尊の気配がないのは分かった。



「会えなかったの？」



操の質問に蒼紫は数歩歩いてから、



「いや、、、武尊はそのうちに葵屋（ここ）へ来るはずだ。問題ない。」



と、答えた。



「ふーん。」



操は何だか納得しない返事をした。



「それよりいいのか、今日は客がずいぶん入っているようだが。お近達は手が足らないのではないのか。」


「大丈夫よ、いつものことだもの。それより蒼紫様～。」



蒼紫の傍にもっと居たくてついていこうとする操だが丁度そこで時間切れになった。



「操、悪いが急ぎでなければ明日にしてくれないか。戻ったばかりだ、少しゆっくりしたい。」



そう言うと蒼紫は脱衣所へ入ってしまったのだった。