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219.うさぎ (張・夢主・斎藤)
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武尊はその後も張から志々雄一派の話を少し聞いた。
以前御飯をつき合った時と比べて張はあまり志々雄について熱心でないような印象を受けたので武尊も深く聞かなかった。
もしかしたら部外者の自分にはただ話したくなかっただけなのかもしれないと武尊は思ったその時・・
「着いたで。」
の張の声。
「へ?」
まさかもう大阪に着いたなんて冗談もほどほどに・・と思って正面向こうを見た時武尊の視界に入ったのは立派な煉瓦造りの駅舎。
「え?これは?」
武尊が目を大きくして張に尋ねると張は、
「何驚いてまんねん、東京にもあったやろ。駅舎やで。」
と普通に言った。
「えー!神戸って鉄道通ってたの!?」
大真面目に驚く武尊に張の方が驚きだった。
「何言うてんねん、明治七年五月十一日、大阪ー神戸間に日本で二番目の鉄道完成ちゅうて大々的に祝うたやろ。」
「え?ええ~!」
そうだったのかと武尊は全くその事を知らなかった。
「じゃあ、大阪で京都線に乗り換えればいいのね。」
「はぁ?何言うてまんねん、去年京都まで路線が繋がったちゅうてえらい騒ぎやったやろ・・って武尊こっちに居てなかったんか。」
関西に居たのなら子供まで知っている鉄道ニュースを武尊は知らないのだ。
張がそう思ったのも無理はない。
武尊も先回翁と鉄道に乗った時は興奮と疲労とでまさかあの鉄道が神戸まで続いていたとは全く気がつかなかったのだ。
「じゃ、じゃあここで張とお別れかな。」
「あほ言うてまんがな、わいは大阪行く言うたやんか。」
「あ、そうか、ごめんごめん~。」
といった一悶着あったが二人は無事陸蒸気に乗り込んだ。
午後一時五十五分発。
大阪まで一時間五分の旅。
隠れ鉄子の武尊は車窓の景色に胸をときめかせ、また、大阪出身というわりには京都にも詳しい張から甘味処や安宿情報を聞いたりしていたらあっという間に大阪に着いてしまった。
「いろいろありがとう。」
「ほな気ぃつけて、わいでよかったら何でも聞いてぇな、しばらくあそこにおるさかい。」
「うん、じゃあまたね。送ってくれて本当助かったよ。」
短い停車時間の中で張は降りてホームで武尊を見送った。
武尊に出会えて良かったと緩む口元でイシシと笑い上機嫌で駅舎を出た矢先、何という事か斎藤とばったり会った。
「何だ貴様は。どうして此処にいる。」
神戸にいるはずの張が目の前に現れたのだ。
張にしても斎藤と同じ気持ちだった。
まさか突然こんな所で斎藤に出会うとは。
武尊と過ごした楽しい気持ちが一気に急降下だ。
「何や、だんなか。その顔見るだけで心の臓に悪いわ。だんなこそ何でこないな所歩いてんねん。」
斎藤にしてみれば張などどうでも良かった。
「・・武尊はどうした。」
ただ神戸に残してきた武尊の事が気がかりだった。
「あ?武尊は京都行く言うて陸蒸気乗って行ってもうたで。」
斎藤は張の返事に煙草を咥えたまま駅の方へ首を向けた。
遠くにはまだ汽車の煙が微かに黒くたなびいたのが見えた。
「(あの陸蒸気か・・)そうか。」
大阪港で聞き込みをした結果、どうやら影宮らしき人物が京都へ向かったという情報を手に入れた斎藤は自分も陸蒸気に乗るところだったのだ。
どうやら一足違いで一つ早い汽車で武尊は行ってしまったらしい。
張が武尊の行先を知っているという事は、どうやら駅まで一緒だったと斎藤は思った。
「余計な事は喋ってないだろうな。」
「なんや余計な事いうのは。まさか・・わいが知っとることで武尊に聞かれたら都合悪い事があんねんか?」
いくら自分に対し相変わらずな態度だとは思っていたが昨晩の外食の時からの斎藤の態度は明らかに変だと張は昨晩からの斎藤の態度を振り返った。
その時自分の口から出たのは確か・・
張はハッとして斎藤に言った。
「【影宮】か!?だんな影宮を追っとんか!?」
斎藤は眼光を光らせて張を見た。
「声がでかい、阿呆が。」
斎藤の返事によって張の推測が確信に変わった。
「だんな、あの謎の組織【影宮】の正体掴んだんか。」
「その名前を口にするな、何処で聞かれているか分からん。」
斎藤は影宮に気がついた張を苦々しく見ながら舌打ちした。
「首を突っ込むなら命の保証はないぞ。別にお前を心配しているわけじゃない、お前の下手な好奇心が俺の邪魔になると言っているんだ。」
「わいやてあほやないねん。何処の誰かもわからへん奴に首突っ込むわけあらへんやろ。まして志々雄様やて断っとる相手やで。」
「それならいい、このまま神戸で大人しくしておけ。武尊にこの事を言ってないだろうな。」
「言うとるわけないやろ!今の今までそないなこと忘れとったわ!」
斎藤はその言葉を聞くと無言で歩き出した.
張はその後ろ姿に向かい仁王立ちになり叫んだ。、
「だんなと武尊がどないな関係なんかあえて聞かへんけどな、武尊が巻き込まれて死んだらわいはだんなを許さへんで。」
斎藤は珍しく足を止めて半分だけ張に振り返り、
「心配ない。」
と一言無造作に言ったのだった。
雑学余談:
今回は張が夢主にめい一杯に尽くすお話でした。
さて、この話しを書くまでお恥ずかしい話ですが大阪ー神戸間に鉄道が走っていたなんて、(しかも京都までつながっていたとは)知らなかった管理人です。
検索すると時刻表まで載せているサイト様がありましたのでご紹介しておきます。
(京都ー神戸間は明治17年の時刻表ですが今回は明治11年とあまり変わってないと仮定しております)
http://www.jacar.go.jp/seikatsu-bunka/p09.html
関西のことは五代様(←当サイトには登場しませんが)をはじめ、知らない事ばかりです。
るろうに剣心、いつも勉強させて頂いて感謝です。
2016.4.5
以前御飯をつき合った時と比べて張はあまり志々雄について熱心でないような印象を受けたので武尊も深く聞かなかった。
もしかしたら部外者の自分にはただ話したくなかっただけなのかもしれないと武尊は思ったその時・・
「着いたで。」
の張の声。
「へ?」
まさかもう大阪に着いたなんて冗談もほどほどに・・と思って正面向こうを見た時武尊の視界に入ったのは立派な煉瓦造りの駅舎。
「え?これは?」
武尊が目を大きくして張に尋ねると張は、
「何驚いてまんねん、東京にもあったやろ。駅舎やで。」
と普通に言った。
「えー!神戸って鉄道通ってたの!?」
大真面目に驚く武尊に張の方が驚きだった。
「何言うてんねん、明治七年五月十一日、大阪ー神戸間に日本で二番目の鉄道完成ちゅうて大々的に祝うたやろ。」
「え?ええ~!」
そうだったのかと武尊は全くその事を知らなかった。
「じゃあ、大阪で京都線に乗り換えればいいのね。」
「はぁ?何言うてまんねん、去年京都まで路線が繋がったちゅうてえらい騒ぎやったやろ・・って武尊こっちに居てなかったんか。」
関西に居たのなら子供まで知っている鉄道ニュースを武尊は知らないのだ。
張がそう思ったのも無理はない。
武尊も先回翁と鉄道に乗った時は興奮と疲労とでまさかあの鉄道が神戸まで続いていたとは全く気がつかなかったのだ。
「じゃ、じゃあここで張とお別れかな。」
「あほ言うてまんがな、わいは大阪行く言うたやんか。」
「あ、そうか、ごめんごめん~。」
といった一悶着あったが二人は無事陸蒸気に乗り込んだ。
午後一時五十五分発。
大阪まで一時間五分の旅。
隠れ鉄子の武尊は車窓の景色に胸をときめかせ、また、大阪出身というわりには京都にも詳しい張から甘味処や安宿情報を聞いたりしていたらあっという間に大阪に着いてしまった。
「いろいろありがとう。」
「ほな気ぃつけて、わいでよかったら何でも聞いてぇな、しばらくあそこにおるさかい。」
「うん、じゃあまたね。送ってくれて本当助かったよ。」
短い停車時間の中で張は降りてホームで武尊を見送った。
武尊に出会えて良かったと緩む口元でイシシと笑い上機嫌で駅舎を出た矢先、何という事か斎藤とばったり会った。
「何だ貴様は。どうして此処にいる。」
神戸にいるはずの張が目の前に現れたのだ。
張にしても斎藤と同じ気持ちだった。
まさか突然こんな所で斎藤に出会うとは。
武尊と過ごした楽しい気持ちが一気に急降下だ。
「何や、だんなか。その顔見るだけで心の臓に悪いわ。だんなこそ何でこないな所歩いてんねん。」
斎藤にしてみれば張などどうでも良かった。
「・・武尊はどうした。」
ただ神戸に残してきた武尊の事が気がかりだった。
「あ?武尊は京都行く言うて陸蒸気乗って行ってもうたで。」
斎藤は張の返事に煙草を咥えたまま駅の方へ首を向けた。
遠くにはまだ汽車の煙が微かに黒くたなびいたのが見えた。
「(あの陸蒸気か・・)そうか。」
大阪港で聞き込みをした結果、どうやら影宮らしき人物が京都へ向かったという情報を手に入れた斎藤は自分も陸蒸気に乗るところだったのだ。
どうやら一足違いで一つ早い汽車で武尊は行ってしまったらしい。
張が武尊の行先を知っているという事は、どうやら駅まで一緒だったと斎藤は思った。
「余計な事は喋ってないだろうな。」
「なんや余計な事いうのは。まさか・・わいが知っとることで武尊に聞かれたら都合悪い事があんねんか?」
いくら自分に対し相変わらずな態度だとは思っていたが昨晩の外食の時からの斎藤の態度は明らかに変だと張は昨晩からの斎藤の態度を振り返った。
その時自分の口から出たのは確か・・
張はハッとして斎藤に言った。
「【影宮】か!?だんな影宮を追っとんか!?」
斎藤は眼光を光らせて張を見た。
「声がでかい、阿呆が。」
斎藤の返事によって張の推測が確信に変わった。
「だんな、あの謎の組織【影宮】の正体掴んだんか。」
「その名前を口にするな、何処で聞かれているか分からん。」
斎藤は影宮に気がついた張を苦々しく見ながら舌打ちした。
「首を突っ込むなら命の保証はないぞ。別にお前を心配しているわけじゃない、お前の下手な好奇心が俺の邪魔になると言っているんだ。」
「わいやてあほやないねん。何処の誰かもわからへん奴に首突っ込むわけあらへんやろ。まして志々雄様やて断っとる相手やで。」
「それならいい、このまま神戸で大人しくしておけ。武尊にこの事を言ってないだろうな。」
「言うとるわけないやろ!今の今までそないなこと忘れとったわ!」
斎藤はその言葉を聞くと無言で歩き出した.
張はその後ろ姿に向かい仁王立ちになり叫んだ。、
「だんなと武尊がどないな関係なんかあえて聞かへんけどな、武尊が巻き込まれて死んだらわいはだんなを許さへんで。」
斎藤は珍しく足を止めて半分だけ張に振り返り、
「心配ない。」
と一言無造作に言ったのだった。
雑学余談:
今回は張が夢主にめい一杯に尽くすお話でした。
さて、この話しを書くまでお恥ずかしい話ですが大阪ー神戸間に鉄道が走っていたなんて、(しかも京都までつながっていたとは)知らなかった管理人です。
検索すると時刻表まで載せているサイト様がありましたのでご紹介しておきます。
(京都ー神戸間は明治17年の時刻表ですが今回は明治11年とあまり変わってないと仮定しております)
http://www.jacar.go.jp/seikatsu-bunka/p09.html
関西のことは五代様(←当サイトには登場しませんが)をはじめ、知らない事ばかりです。
るろうに剣心、いつも勉強させて頂いて感謝です。
2016.4.5