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218.キーワード (斎藤・夢主・張)
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「じゃぁ、・・気を付けて。」
「嗚呼。」
朝餉を終えた斎藤はすぐさま張の店を発った。
もちろん斎藤は自分の行先を告げることはなく、武尊も聞かなかった。
そして二人は特に別れの言葉を長々と口にはしなかった。
心の中では互いに後ろ髪を引かれる思いでありながらも。
小さくなる斎藤の姿を武尊は見送り、斎藤は一度も振り向かなかった。
斎藤の姿が見えなくなったころ、店の奥から張の大きな声がした。
「おーい!ちょっと手貸してくれへんかー!」
行ってみると張は細長い木箱を三十あまり荷車に積み込もうとしていた。
「こっち押さえといてくれへんか。」
「分かった、これでいい?」
武尊はすぐさま張の手伝いにはいった。
張はこれを港に持っていき予め契約したと思われる相手に渡していった。
木箱の中身は刀だった。
その様子を見ながら武尊は思った。
(この先、刀に限らないけれど貴重な美術品がこうやって外国に流出していくんだ・・。でもそのお陰で関東大震災や空襲の後も日本は幾分かこの時代の美術品をあの時代まで残すことが出来たんだ。)
歴史の一部を見ているようで武尊は感慨深かった。
そして・・もう一つ感慨深い事に気づかされた。
(張・・すごいよ・・。さっきから全部日本語じゃん。昔テレビで関西のおばさんは海外行ってもすべて大阪弁ですます、通じるって言ってたけどまさにそれ!?恐るべし、大阪弁・・。)
今も未来も変わらない大阪パワーに武尊は少し元気をもらったのだった。
2016.3.27