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218.キーワード (斎藤・夢主・張)
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結局武尊が目を覚ましたのは翌日の朝だった。
ふと気がつけば煙草の臭いがして武尊は覚醒したのだった。
目を開ければ同じ部屋の壁に斎藤は寄り掛かっていた。
雨戸の隙間から入ってくる弱い光が朝が来たことを示していて、煙が揺らいでいるのが見えた。
「一・・おはよう、もしかしてずっとそこにいたの?」
武尊はゆっくりと上半身を起こしながら斎藤に挨拶をした。
「嗚呼、変な虫が入って来ないようにな。」
「変な虫・・?あ、あー。」
斎藤の言った『虫』が何なのか、一瞬分からなかったが起き上がってみてここがどこなのか理解した武尊はそれが張の事だと分かった。
ひとりで起きる朝。
昨日は隣にあった安心できる人肌は今はなく、武尊は心恋しかった。
その温もりはすぐそこにあるというのに。
夢は覚めたのだ。
武尊は真っ赤な布団におぼろげに覚えている昨晩の事を思いだした。
そう、ここは張の家・・。
「私、ずっと寝ちゃってたんだね。」
「嗚呼。で、体調の方はどうだ。」
「うん、まだちょっとだるいけど大丈夫。」
と、武尊はベッドから下りて雨戸をガタガタ明けた。
「うっ、ちょっと寒いかな。」
あかり取りの為に開けた雨戸だったが外の冷気に武尊はぶるっと震えた。
どこからともなく微かに海の香りがするような風。
ここは神戸なのだと武尊は空を見上げた。
その瞬間なんとなくまだ船に乗っているような揺れがしたような気がした。
「厠に・・行って来る。」
「そのまま突当たりだ。」
「ありがと。」
武尊は小用を済まし、顔を洗って戻って来たが斎藤はどこか心あらずの様子で険しい顔をしていた。
「井戸の所で張に会った。昨日買った稲荷ずしとお茶準備するって・・ってどうしたの?」
いつもより間違いなく眉間のしわが深く不機嫌な斎藤に武尊は傍に行って人差し指で斎藤の眉間をなぞった。
こんなことが出来るのはおそらく武尊だけだろう。
「・・・いや、別に何でもないが。」
斎藤はそう言って武尊をじっと見た。
もし武尊がまだ自分の部下だったら影宮の事を話したら何と言うだろうか、と斎藤は武尊の瞳を探った。
そして函館で永倉相手に間違えて武尊の名前を呼んだことも思い出した。
夜会の時も海軍の武器密輸の時もそうだった。
武尊は新しい視点で状況を見つめ結果を出してきた。
もし影宮の事を武尊に話したならどのような話を切り出してくるだろうか。
(さぞかし面白い話が聞けるかもしれんが・・。)
影宮には謎の手練れ集団がいることはすでに明白だった。
その勢力も状況も謎の今、自分と離れて行動する武尊を一人危険にさらすわけにはいかないと斎藤は静かに煙を吐き出した。
「一の場合、『別になんでもない』なんていう時が一番怪しいんだから。分かってる、仕事の事でしょ。何があるのかしれないけれど下船したんだから仕事しないと。」
と武尊は微笑んだ。
「私はせっかくだからもう少しこの辺りをぶらぶらしようかな~、別に葵屋へは急いでいく必要ないし。一の言ったとおり蒼紫が刀持ってこっちへ向かってるとしてもまだ京都に着いてないだろうから。」
斎藤は武尊の言葉を聞いて更に眉間のしわを深くした。
影宮の他にもここには張、そして葵屋には蒼紫がいるのだ。
二人が武尊にちょっかいをかけるのではないかと思うと任務第一なのは分かるがイライラする斎藤だった。
「いいよ、行って。さよならは言わないから。・・私達は・・また会える・・んでしょ。」
そんなことは時尾さんが許さないかもしれない、と武尊は時尾に申し訳なく思いつつも、もし・・この世でのしがらみがすべて無くなったその時が来ればその時は・・と武尊の心が斎藤を求めてもがいた。
現世で無理ならばあの世で一つになるのだと、横浜別荘地で斎藤が武尊に身体とともに刻み込んだことだった。
「嗚呼・・。」
二人は互いにすべての想いを込めて見つめ合った。
そこへ朝餉の準備が出来た張が武尊達を呼びにやって来た。
「向こうに朝餉の準備できたねん・・って何やっとんねんあんたら。」
真剣に互いが見つめ合っているのを見てしまった張が嫌味を込めてそう言った。
「何でもないって、張!それよりお稲荷さん早く食べたいなー!」
武尊が慌てて取り繕っているのは張には見え見えで、
「へいへい、食べる前からえろう御馳走さんやな。」
と言われてしまい顔を赤くした武尊だった。
ふと気がつけば煙草の臭いがして武尊は覚醒したのだった。
目を開ければ同じ部屋の壁に斎藤は寄り掛かっていた。
雨戸の隙間から入ってくる弱い光が朝が来たことを示していて、煙が揺らいでいるのが見えた。
「一・・おはよう、もしかしてずっとそこにいたの?」
武尊はゆっくりと上半身を起こしながら斎藤に挨拶をした。
「嗚呼、変な虫が入って来ないようにな。」
「変な虫・・?あ、あー。」
斎藤の言った『虫』が何なのか、一瞬分からなかったが起き上がってみてここがどこなのか理解した武尊はそれが張の事だと分かった。
ひとりで起きる朝。
昨日は隣にあった安心できる人肌は今はなく、武尊は心恋しかった。
その温もりはすぐそこにあるというのに。
夢は覚めたのだ。
武尊は真っ赤な布団におぼろげに覚えている昨晩の事を思いだした。
そう、ここは張の家・・。
「私、ずっと寝ちゃってたんだね。」
「嗚呼。で、体調の方はどうだ。」
「うん、まだちょっとだるいけど大丈夫。」
と、武尊はベッドから下りて雨戸をガタガタ明けた。
「うっ、ちょっと寒いかな。」
あかり取りの為に開けた雨戸だったが外の冷気に武尊はぶるっと震えた。
どこからともなく微かに海の香りがするような風。
ここは神戸なのだと武尊は空を見上げた。
その瞬間なんとなくまだ船に乗っているような揺れがしたような気がした。
「厠に・・行って来る。」
「そのまま突当たりだ。」
「ありがと。」
武尊は小用を済まし、顔を洗って戻って来たが斎藤はどこか心あらずの様子で険しい顔をしていた。
「井戸の所で張に会った。昨日買った稲荷ずしとお茶準備するって・・ってどうしたの?」
いつもより間違いなく眉間のしわが深く不機嫌な斎藤に武尊は傍に行って人差し指で斎藤の眉間をなぞった。
こんなことが出来るのはおそらく武尊だけだろう。
「・・・いや、別に何でもないが。」
斎藤はそう言って武尊をじっと見た。
もし武尊がまだ自分の部下だったら影宮の事を話したら何と言うだろうか、と斎藤は武尊の瞳を探った。
そして函館で永倉相手に間違えて武尊の名前を呼んだことも思い出した。
夜会の時も海軍の武器密輸の時もそうだった。
武尊は新しい視点で状況を見つめ結果を出してきた。
もし影宮の事を武尊に話したならどのような話を切り出してくるだろうか。
(さぞかし面白い話が聞けるかもしれんが・・。)
影宮には謎の手練れ集団がいることはすでに明白だった。
その勢力も状況も謎の今、自分と離れて行動する武尊を一人危険にさらすわけにはいかないと斎藤は静かに煙を吐き出した。
「一の場合、『別になんでもない』なんていう時が一番怪しいんだから。分かってる、仕事の事でしょ。何があるのかしれないけれど下船したんだから仕事しないと。」
と武尊は微笑んだ。
「私はせっかくだからもう少しこの辺りをぶらぶらしようかな~、別に葵屋へは急いでいく必要ないし。一の言ったとおり蒼紫が刀持ってこっちへ向かってるとしてもまだ京都に着いてないだろうから。」
斎藤は武尊の言葉を聞いて更に眉間のしわを深くした。
影宮の他にもここには張、そして葵屋には蒼紫がいるのだ。
二人が武尊にちょっかいをかけるのではないかと思うと任務第一なのは分かるがイライラする斎藤だった。
「いいよ、行って。さよならは言わないから。・・私達は・・また会える・・んでしょ。」
そんなことは時尾さんが許さないかもしれない、と武尊は時尾に申し訳なく思いつつも、もし・・この世でのしがらみがすべて無くなったその時が来ればその時は・・と武尊の心が斎藤を求めてもがいた。
現世で無理ならばあの世で一つになるのだと、横浜別荘地で斎藤が武尊に身体とともに刻み込んだことだった。
「嗚呼・・。」
二人は互いにすべての想いを込めて見つめ合った。
そこへ朝餉の準備が出来た張が武尊達を呼びにやって来た。
「向こうに朝餉の準備できたねん・・って何やっとんねんあんたら。」
真剣に互いが見つめ合っているのを見てしまった張が嫌味を込めてそう言った。
「何でもないって、張!それよりお稲荷さん早く食べたいなー!」
武尊が慌てて取り繕っているのは張には見え見えで、
「へいへい、食べる前からえろう御馳走さんやな。」
と言われてしまい顔を赤くした武尊だった。