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217.着いていない船 (斎藤・夢主・張)
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斎藤達が入った飯屋のお品書きには【かけ蕎麦】もあり、斎藤は迷わずそれを注文した。
張は呆れながらも自分は小鉢を二、三と酒を頼んだ。
張の御銚子が空になったところですぐに斎藤は店の者に酒を追加した。
「なんやねん・・気持ち悪いことせーへんといて欲しいわ。」
「フ、気持ちばかりの宿代だと思って取っといてくれ。武尊の事もあるし助かった。」
「だんなからこないな事されたら後がこわいわ。・・せやけどそういう事なら・・。」
と、武尊の宿代だと思えば受け取ってもいいかと張は思い遠慮なしに飲んだ。
あっという間にその御銚子も空になったので斎藤は更に数本張に酒を追加してやった・・密偵時代の多少のねぎらいの言葉も忘れずに。
酒に弱くはない張だったが再会した武尊の可愛さと酒の効果と、予想外の斎藤の気持ちばかり優しい言葉のせいか、張はふと昔を思いだしポロっと言葉をこぼした。
「なんでわい、だんなとこないに酒飲んどんやろ。誰かの酒につき合うちゅうて・・も、今日はわいの方が飲んでんやけどな。クククク。」
と一人笑いをした後に斎藤に、
「だんなは知らへんやろうけどな、志々雄様はなあの国取りは絶対負けへんはずやったんや。」
とまぶたを半分だけ開けてあの日を追う様に遠い目をした。
それは由美のワインにつき合いながら話を聞いた今となっては遠い昔。
手元にはチェス盤もあり由美はビショップを手に持ちブラブラさせながら盤面を睨みながら言った。
『方治ったらまた志々雄様に意見具申してるのよ。もうかれこれ半日。今日は志々雄様がお花見に連れてって下さるっていうからお弁当詰めて待ってるのに、早くしないと日が落ちちゃうわよ。本当、暇つぶしに張君が遊びに来てくれててよかったわ。』
『まあ、わいも方治さんが志々雄様とあないに話込んどんとは思わへんかったさかいに、わいにとっても姐さんが暇で助かったわ。』
『私は暇じゃなくってよ。はい、張君の番。』
ほろ酔い気分で張とチェスをしていた由美がこぼした言葉。
よほど方治に自分と志々雄の時間に横やり入れられたのが気に入らなかったのか愚痴っぽく話始めた。
どうやら方治が志々雄に意見具申していたのは新政府内部の者との協力の話で今の新政府を倒すのに力を貸すとの申し出を受け入れるべきだという事だった。
「・・あん時志々雄様が【影宮】ちゅう新政府の裏切りもんと手組んどったら煉獄が沈んだとしても東京は今のまんまであられへんかったかもしれへんな。」
斎藤は裏社会の一員だった張から適当に情報収集でも出来れば儲けものだという軽い気持ちで酒を飲ませていたのだがまさかの【影宮】の名前に驚いた。
だが表面は冷静的に張にさり気なく探りを入れる。
「何だ【影宮】と言うのは。それが新政府の裏切り者だというのか。」
「せや、あんたら新政府の役人も警察もそんな組織があることなーんも知らへんやろ。ちゅうてもわいもその名前以外なんも知らへんけどな。志々雄様以外にもまだこの日本をどないにかしたろう思うとる奴はおる、ちゅうことや。抜刀斎はもう使い物にならへんさかいに、だんなも精々気つけた方がええで。」
と言って張はフフンと鼻を鳴らして笑った。
「フ、志々雄に煉獄の事さえ知らされなかった下っ端のお前の話などこれっぽっちも信憑性などないな。」
「別に信じる信じへんはだんなの勝手や。今のわいには関係あらへん話やしな。」
その後、斎藤と張は武尊のもとへ戻った。
帰り道斎藤は影宮について少し考えを巡らせていた。
(新型蜘蛛の巣を裏で仕切っていたのが九条、すなわち影宮ならば・・その目的は新政府を潰す事・・か。張の話が本当ならばやはり奴を殺らねばならんな。)
2016.03.19
張は呆れながらも自分は小鉢を二、三と酒を頼んだ。
張の御銚子が空になったところですぐに斎藤は店の者に酒を追加した。
「なんやねん・・気持ち悪いことせーへんといて欲しいわ。」
「フ、気持ちばかりの宿代だと思って取っといてくれ。武尊の事もあるし助かった。」
「だんなからこないな事されたら後がこわいわ。・・せやけどそういう事なら・・。」
と、武尊の宿代だと思えば受け取ってもいいかと張は思い遠慮なしに飲んだ。
あっという間にその御銚子も空になったので斎藤は更に数本張に酒を追加してやった・・密偵時代の多少のねぎらいの言葉も忘れずに。
酒に弱くはない張だったが再会した武尊の可愛さと酒の効果と、予想外の斎藤の気持ちばかり優しい言葉のせいか、張はふと昔を思いだしポロっと言葉をこぼした。
「なんでわい、だんなとこないに酒飲んどんやろ。誰かの酒につき合うちゅうて・・も、今日はわいの方が飲んでんやけどな。クククク。」
と一人笑いをした後に斎藤に、
「だんなは知らへんやろうけどな、志々雄様はなあの国取りは絶対負けへんはずやったんや。」
とまぶたを半分だけ開けてあの日を追う様に遠い目をした。
それは由美のワインにつき合いながら話を聞いた今となっては遠い昔。
手元にはチェス盤もあり由美はビショップを手に持ちブラブラさせながら盤面を睨みながら言った。
『方治ったらまた志々雄様に意見具申してるのよ。もうかれこれ半日。今日は志々雄様がお花見に連れてって下さるっていうからお弁当詰めて待ってるのに、早くしないと日が落ちちゃうわよ。本当、暇つぶしに張君が遊びに来てくれててよかったわ。』
『まあ、わいも方治さんが志々雄様とあないに話込んどんとは思わへんかったさかいに、わいにとっても姐さんが暇で助かったわ。』
『私は暇じゃなくってよ。はい、張君の番。』
ほろ酔い気分で張とチェスをしていた由美がこぼした言葉。
よほど方治に自分と志々雄の時間に横やり入れられたのが気に入らなかったのか愚痴っぽく話始めた。
どうやら方治が志々雄に意見具申していたのは新政府内部の者との協力の話で今の新政府を倒すのに力を貸すとの申し出を受け入れるべきだという事だった。
「・・あん時志々雄様が【影宮】ちゅう新政府の裏切りもんと手組んどったら煉獄が沈んだとしても東京は今のまんまであられへんかったかもしれへんな。」
斎藤は裏社会の一員だった張から適当に情報収集でも出来れば儲けものだという軽い気持ちで酒を飲ませていたのだがまさかの【影宮】の名前に驚いた。
だが表面は冷静的に張にさり気なく探りを入れる。
「何だ【影宮】と言うのは。それが新政府の裏切り者だというのか。」
「せや、あんたら新政府の役人も警察もそんな組織があることなーんも知らへんやろ。ちゅうてもわいもその名前以外なんも知らへんけどな。志々雄様以外にもまだこの日本をどないにかしたろう思うとる奴はおる、ちゅうことや。抜刀斎はもう使い物にならへんさかいに、だんなも精々気つけた方がええで。」
と言って張はフフンと鼻を鳴らして笑った。
「フ、志々雄に煉獄の事さえ知らされなかった下っ端のお前の話などこれっぽっちも信憑性などないな。」
「別に信じる信じへんはだんなの勝手や。今のわいには関係あらへん話やしな。」
その後、斎藤と張は武尊のもとへ戻った。
帰り道斎藤は影宮について少し考えを巡らせていた。
(新型蜘蛛の巣を裏で仕切っていたのが九条、すなわち影宮ならば・・その目的は新政府を潰す事・・か。張の話が本当ならばやはり奴を殺らねばならんな。)
2016.03.19