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202.カクニン (斎藤・夢主)
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霧の中、自分に近づいてくる不審な足音に様子を伺っていたその男はその正体を確かめるために自ら足を進めて武尊の姿を発見した。
白い霧にぼんやり包まれながらもその男は武尊を見ると細い眼を更に細くして鋭い視線で武尊を睨んだ。
「・・これは夢か?まやかしか?」
武尊を見据えながらその男は煙草をフゥとふかしてそう言った。
その声は武尊にも届いた。
「・・・は・・じ・め。」
武尊は紛れもない斎藤の声にかたまりながらもただ一言その男の名をかすれた声で呟いた。
目の前の斎藤の姿が夢なのか、まやかしなのか、それを問いたいのは武尊の方だった。
北海道にいるはずの斎藤が何故ロシア船に乗っているのか、あり得ない状況すぎて武尊は目を皿のようにして斎藤を見つめた。
そして想い恋焦がれるあまりについに頭がおかしくなって勝手に幻を見てしまったのではないかと思った。
しかも音声付の。
斎藤も武尊と同じようにあり得ないと思う状況に武尊を睨んだままだったが、煙草を更に一吸いし、それを足で踏み消すと武尊の方へ近づいてきた。
「確かめてみれば分かる事だ。」
霧をまとい近づいてくる姿に武尊はまだそれが現実と認識出来ずにいた。
むしろ、斎藤が自分の間合いに入った時にジリッと半歩後ずさりをした。
「何故退く。」
「だって・・まだ三途の川には遠いよ。一に会えるはずがないもの。」
斎藤にとっても何故に武尊がこの船に乗っているのかその理由など皆目見当もつかない。
だが武尊から返ってきた返事は紛れもなく横浜の別荘で話した内容だったことに斎藤は武尊が本物であると確証し、武尊のすぐ目の前に立った。
「武尊・・。」
「一・・。」
武尊の見開いた目が斎藤を見上げる。
「本物?」
「確かめてみるか?」
斎藤の問いかけに武尊の手が斎藤に向かってスッと伸びた、が、斎藤の服に触れる寸前でピタっと止まりその手を下ろした。
「どうした。」
斎藤は武尊の行動が自分の予測したものと少し違う事に違和感を感じた。
武尊は理由は分からないがこれは夢でも幻でもなく本当に斎藤が目の前にいると認識した。
だからこそ寸ででその手が止まったのだった。
武尊は黙って首を数度横に振るとまたジリっと後ずさりをした。
会いたい、会いたい。
募る想いに心はすぐにでも北海道へ飛んでいきたい、そう今でも思っているのに現実本物を目の前にした武尊は斎藤の胸に飛び込むわけにはいかなかった。
武尊の妙な態度に斎藤は武尊が逃げる前にその腕を掴んだ。
「だめっ!放して一、私は貴方に触れられる資格がないっ!」
武尊は悲痛な声でそう言うと斎藤から顔を背けて身をよじった。
その言葉に斎藤は何が武尊の身に起こったのかピンときた。
斎藤は横浜で武尊にこれから先の人生、他の男と一緒になり幸せになれとも言ったのだ。
いい男が出来たのなら今生ではそれは気に入らないが仕方がないと思っていたのだが武尊の様子からはどうみてもそんな相手がいるような感じはしない。
「そんなに新しい男がいいのか。」
斎藤は武尊の気持ちを確かめるためにカマをかけてみた。
「違う!」
武尊は即答し否定の言葉を叫んだ。
「では何故逃げる。」
武尊は斎藤にそう言われても視線を合わせる事とをせず黙っていた。
「・・それで俺が納得すると思っているのか。」
その言葉と同時に武尊を掴んでいる腕に力が入る。
「痛い・・一。」
武尊はそれでも斎藤と眼を合わせなかった。
白い霧にぼんやり包まれながらもその男は武尊を見ると細い眼を更に細くして鋭い視線で武尊を睨んだ。
「・・これは夢か?まやかしか?」
武尊を見据えながらその男は煙草をフゥとふかしてそう言った。
その声は武尊にも届いた。
「・・・は・・じ・め。」
武尊は紛れもない斎藤の声にかたまりながらもただ一言その男の名をかすれた声で呟いた。
目の前の斎藤の姿が夢なのか、まやかしなのか、それを問いたいのは武尊の方だった。
北海道にいるはずの斎藤が何故ロシア船に乗っているのか、あり得ない状況すぎて武尊は目を皿のようにして斎藤を見つめた。
そして想い恋焦がれるあまりについに頭がおかしくなって勝手に幻を見てしまったのではないかと思った。
しかも音声付の。
斎藤も武尊と同じようにあり得ないと思う状況に武尊を睨んだままだったが、煙草を更に一吸いし、それを足で踏み消すと武尊の方へ近づいてきた。
「確かめてみれば分かる事だ。」
霧をまとい近づいてくる姿に武尊はまだそれが現実と認識出来ずにいた。
むしろ、斎藤が自分の間合いに入った時にジリッと半歩後ずさりをした。
「何故退く。」
「だって・・まだ三途の川には遠いよ。一に会えるはずがないもの。」
斎藤にとっても何故に武尊がこの船に乗っているのかその理由など皆目見当もつかない。
だが武尊から返ってきた返事は紛れもなく横浜の別荘で話した内容だったことに斎藤は武尊が本物であると確証し、武尊のすぐ目の前に立った。
「武尊・・。」
「一・・。」
武尊の見開いた目が斎藤を見上げる。
「本物?」
「確かめてみるか?」
斎藤の問いかけに武尊の手が斎藤に向かってスッと伸びた、が、斎藤の服に触れる寸前でピタっと止まりその手を下ろした。
「どうした。」
斎藤は武尊の行動が自分の予測したものと少し違う事に違和感を感じた。
武尊は理由は分からないがこれは夢でも幻でもなく本当に斎藤が目の前にいると認識した。
だからこそ寸ででその手が止まったのだった。
武尊は黙って首を数度横に振るとまたジリっと後ずさりをした。
会いたい、会いたい。
募る想いに心はすぐにでも北海道へ飛んでいきたい、そう今でも思っているのに現実本物を目の前にした武尊は斎藤の胸に飛び込むわけにはいかなかった。
武尊の妙な態度に斎藤は武尊が逃げる前にその腕を掴んだ。
「だめっ!放して一、私は貴方に触れられる資格がないっ!」
武尊は悲痛な声でそう言うと斎藤から顔を背けて身をよじった。
その言葉に斎藤は何が武尊の身に起こったのかピンときた。
斎藤は横浜で武尊にこれから先の人生、他の男と一緒になり幸せになれとも言ったのだ。
いい男が出来たのなら今生ではそれは気に入らないが仕方がないと思っていたのだが武尊の様子からはどうみてもそんな相手がいるような感じはしない。
「そんなに新しい男がいいのか。」
斎藤は武尊の気持ちを確かめるためにカマをかけてみた。
「違う!」
武尊は即答し否定の言葉を叫んだ。
「では何故逃げる。」
武尊は斎藤にそう言われても視線を合わせる事とをせず黙っていた。
「・・それで俺が納得すると思っているのか。」
その言葉と同時に武尊を掴んでいる腕に力が入る。
「痛い・・一。」
武尊はそれでも斎藤と眼を合わせなかった。