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201.船上のサプライズ (夢主・山本少尉・カフェおじさん・オンナスキー)
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「終わったかな・・私の人生・・。」
武尊はアレクサンドルがこの船の事を我が商船と言っていたのを思い出していた。
と、いうことはあのロシア人は自分が船に乗っているのを知っていて船を出したことになる。
「やられた・・私、どこかに売られるかも。」
と、最悪の事態を武尊は勝手に想像した。
武尊はもう一度白い海面を覗き込んだ。
売られるぐらいなら飛び込んで自分の人生に幕引きするかと、しばらく白い海面を睨んでいた。
けれども姿勢を元に戻すと、
「死ぬのはいつでも出来る。せっかく1878年に来たのだから1878年の海外でも見てから死ぬか。」
と、ため息をついた。
そんな時、甲板をかけてくる足音があった。
武尊がその足音の方に顔を向けると霧の中から現れたのはなんとカフェおじさんだった。
「マーティン!?」
武尊は思わず声を裏返してカフェおじさんに声をかけた。
武尊はなんでこのロシア船にマーティンがいるのか分からなかった。
確か彼は故郷に帰るんだと約一ヶ月前に武尊に別れを告げたはずだったからだ。
とっくの昔に日本を離れているはずの彼が何故ここにと武尊は驚いた顔で彼を見た。
「ホントウニ・・アナタナノカ・・。」
マーティンは震える声で一歩一歩武尊に近づいた。
「私ですが、どうしてマーティンはここに?・・っ!」
武尊はマーティンそう質問したがそれと同時にマーティンに抱きしめられた。
「オオ・・カミヨ・・カンシャシマス・・。」
武尊は訳が分からずマーティンに抱きしめられるままにされていたがマーティンは武尊を離し、武尊の傷のある方の頬に手をそっと添えた。
「サーシャカラ ホホニサンボンキズノアル コドモミタイナ シャゲキノウマイトイウ ニホンジンンガイルトキイテ トンデキタ。」
マーティンは優しく武尊を見て、
「ダイジョウブ、ワタシガ ツギノミナトデ アナタヲ オロスカラ。」
と言って微笑んだ。
「マーティン?」
武尊は状況がのみ込めず首を傾げてマーティンを見た。
マーティンは、
「アトデマタハナソウ。ソレヨリモ・・。」
と、今走って来た方向を振り返って白い霧の中を見て腕を真っ直ぐ伸ばして一方向を指差した。
「イキナサイ、アナタノ マツモノガ ソコニアル。」
と、最後に武尊の肩を軽く押して進むことを即した。
「え?」
ますます目を丸くして分からないという武尊にマーティンは行けば分かると言った。
「ワタシハ サーシャニ ハナシヲシナケレバイケナイ。サア、アナタハ イキナサイ。」
と武尊を見るので武尊は、
「え・・ええ・・。」
と返事をしてマーティンの言われた方向に手すりにつかまりながら進んだ。
5mほど進んで武尊はマーティンを振り返った。
その姿は半分以上霧に包まれてぼやけていた。
10mほど進んでもう一度武尊は振りかえった。
そこは真っ白で何も見えなかった。
武尊に見えるのは向こうに続く手すりと足元の少しのエリアだけ。
あまり進んで甲板の先の方へ行くのは危険な感じがすると武尊の足は先へ進むのを拒んだ。
(ロシア船に私が待つものって・・?そんなものあったっけ??)
武尊はまったく見当がつかなかった。
(まったく・・マーティンが乗っていたというだけでも驚きぶっ飛びなのにこれ以上何があるっていうんだ?)
武尊が目をどれだけ凝らしても白い霧の中。
視界の悪さに間違って海に落ちないようにと、手すりにつかまりながらゆっくり進むが突当たりに着いてしまった。
(何もないじゃん・・。)
武尊は折角ちょっと怖い思いをしながら来たのに何もなかったと気抜けして両手で手すりを持ち、ふぅと息を吐いた。
武尊はこの先は海であるはずの方向を見て、気を付けて元の場所へ戻ろうとした時、ハッと反対側を振り返った。
忘れもしないその臭い。
武尊は一つの可能性を考えたがすぐそれを打ち消した。
(あれは確か海外製だったはず・・だからここで他の人がそれを吸っててもおかしくはない・・。)
そうは思いながらも武尊はその臭いがどこからして来るのか周囲を見回した。
その瞬間、少し遠くでカツンと靴音がしたような気がした。
武尊は固まった。
動きたくても動けない。
足音がするならそれは人間だと思いながらまるで金縛りにあったように武尊の身体は硬直した。
それでも一つの可能性が武尊の頭をよぎり、その音の方へ首を回した。
ギ、ギ、ギ・・
まるで時計仕掛けの人形のように首を回して武尊はその方向を見た。
足音は少しづつ大きくなる。
何かの気配も大きくなる。
武尊はその方向を凝視したまま思った。
(もし、この足音の持ち主が私の想像する人だとしてもどうしてマーティンは彼だと分かったんだろう?マーティンには彼の事は話してないはずなのに・・。)
武尊がそう思っていると霧の中にぼんやり影が現れた。
そう、それは・・。
雑学余談:
地名の【ニコラエフスク】は、昔日本語で尼港と表記されたロシア極東部、ハバロフスク地方の町です。
直ぐ近くにかの有名な間宮海峡があります。
今年は第二次世界大戦終結から70年という大きな節目を迎えましたが日本人はお隣のロシアの国の事をよく知りません。
南樺太から南は日本の領土だったんですよ。
それを不可侵条約を破ったソビエトが・・と話始めると終わらない話になりますのでここでは書きませんが【ニコラエフスク】という町の名前は幕末から歴史上知っていてもおかしくはないくらいの町だなぁと思いましたので今回名前を出してみました。
まあ、難しいことは置いておいて夢主が見たのはなんだったのでしょうか。
次回乞うご期待です。
追伸:
・スケベヴィッチ・オンナスキーなんて名前は本当はないです。
ゴロ合わせで創作した名前です!
・霧の中、レーダーを搭載していない船が出港する・・というところは突っ込まないで下さい。(レーダーないから地図と磁石ですよ!)
2015.9.14
武尊はアレクサンドルがこの船の事を我が商船と言っていたのを思い出していた。
と、いうことはあのロシア人は自分が船に乗っているのを知っていて船を出したことになる。
「やられた・・私、どこかに売られるかも。」
と、最悪の事態を武尊は勝手に想像した。
武尊はもう一度白い海面を覗き込んだ。
売られるぐらいなら飛び込んで自分の人生に幕引きするかと、しばらく白い海面を睨んでいた。
けれども姿勢を元に戻すと、
「死ぬのはいつでも出来る。せっかく1878年に来たのだから1878年の海外でも見てから死ぬか。」
と、ため息をついた。
そんな時、甲板をかけてくる足音があった。
武尊がその足音の方に顔を向けると霧の中から現れたのはなんとカフェおじさんだった。
「マーティン!?」
武尊は思わず声を裏返してカフェおじさんに声をかけた。
武尊はなんでこのロシア船にマーティンがいるのか分からなかった。
確か彼は故郷に帰るんだと約一ヶ月前に武尊に別れを告げたはずだったからだ。
とっくの昔に日本を離れているはずの彼が何故ここにと武尊は驚いた顔で彼を見た。
「ホントウニ・・アナタナノカ・・。」
マーティンは震える声で一歩一歩武尊に近づいた。
「私ですが、どうしてマーティンはここに?・・っ!」
武尊はマーティンそう質問したがそれと同時にマーティンに抱きしめられた。
「オオ・・カミヨ・・カンシャシマス・・。」
武尊は訳が分からずマーティンに抱きしめられるままにされていたがマーティンは武尊を離し、武尊の傷のある方の頬に手をそっと添えた。
「サーシャカラ ホホニサンボンキズノアル コドモミタイナ シャゲキノウマイトイウ ニホンジンンガイルトキイテ トンデキタ。」
マーティンは優しく武尊を見て、
「ダイジョウブ、ワタシガ ツギノミナトデ アナタヲ オロスカラ。」
と言って微笑んだ。
「マーティン?」
武尊は状況がのみ込めず首を傾げてマーティンを見た。
マーティンは、
「アトデマタハナソウ。ソレヨリモ・・。」
と、今走って来た方向を振り返って白い霧の中を見て腕を真っ直ぐ伸ばして一方向を指差した。
「イキナサイ、アナタノ マツモノガ ソコニアル。」
と、最後に武尊の肩を軽く押して進むことを即した。
「え?」
ますます目を丸くして分からないという武尊にマーティンは行けば分かると言った。
「ワタシハ サーシャニ ハナシヲシナケレバイケナイ。サア、アナタハ イキナサイ。」
と武尊を見るので武尊は、
「え・・ええ・・。」
と返事をしてマーティンの言われた方向に手すりにつかまりながら進んだ。
5mほど進んで武尊はマーティンを振り返った。
その姿は半分以上霧に包まれてぼやけていた。
10mほど進んでもう一度武尊は振りかえった。
そこは真っ白で何も見えなかった。
武尊に見えるのは向こうに続く手すりと足元の少しのエリアだけ。
あまり進んで甲板の先の方へ行くのは危険な感じがすると武尊の足は先へ進むのを拒んだ。
(ロシア船に私が待つものって・・?そんなものあったっけ??)
武尊はまったく見当がつかなかった。
(まったく・・マーティンが乗っていたというだけでも驚きぶっ飛びなのにこれ以上何があるっていうんだ?)
武尊が目をどれだけ凝らしても白い霧の中。
視界の悪さに間違って海に落ちないようにと、手すりにつかまりながらゆっくり進むが突当たりに着いてしまった。
(何もないじゃん・・。)
武尊は折角ちょっと怖い思いをしながら来たのに何もなかったと気抜けして両手で手すりを持ち、ふぅと息を吐いた。
武尊はこの先は海であるはずの方向を見て、気を付けて元の場所へ戻ろうとした時、ハッと反対側を振り返った。
忘れもしないその臭い。
武尊は一つの可能性を考えたがすぐそれを打ち消した。
(あれは確か海外製だったはず・・だからここで他の人がそれを吸っててもおかしくはない・・。)
そうは思いながらも武尊はその臭いがどこからして来るのか周囲を見回した。
その瞬間、少し遠くでカツンと靴音がしたような気がした。
武尊は固まった。
動きたくても動けない。
足音がするならそれは人間だと思いながらまるで金縛りにあったように武尊の身体は硬直した。
それでも一つの可能性が武尊の頭をよぎり、その音の方へ首を回した。
ギ、ギ、ギ・・
まるで時計仕掛けの人形のように首を回して武尊はその方向を見た。
足音は少しづつ大きくなる。
何かの気配も大きくなる。
武尊はその方向を凝視したまま思った。
(もし、この足音の持ち主が私の想像する人だとしてもどうしてマーティンは彼だと分かったんだろう?マーティンには彼の事は話してないはずなのに・・。)
武尊がそう思っていると霧の中にぼんやり影が現れた。
そう、それは・・。
雑学余談:
地名の【ニコラエフスク】は、昔日本語で尼港と表記されたロシア極東部、ハバロフスク地方の町です。
直ぐ近くにかの有名な間宮海峡があります。
今年は第二次世界大戦終結から70年という大きな節目を迎えましたが日本人はお隣のロシアの国の事をよく知りません。
南樺太から南は日本の領土だったんですよ。
それを不可侵条約を破ったソビエトが・・と話始めると終わらない話になりますのでここでは書きませんが【ニコラエフスク】という町の名前は幕末から歴史上知っていてもおかしくはないくらいの町だなぁと思いましたので今回名前を出してみました。
まあ、難しいことは置いておいて夢主が見たのはなんだったのでしょうか。
次回乞うご期待です。
追伸:
・スケベヴィッチ・オンナスキーなんて名前は本当はないです。
ゴロ合わせで創作した名前です!
・霧の中、レーダーを搭載していない船が出港する・・というところは突っ込まないで下さい。(レーダーないから地図と磁石ですよ!)
2015.9.14