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238.吸血鬼の正体 (蒼紫・斎藤・葵屋一同・夢主・操・観柳)
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それから数刻後、京都警察署は大変な騒ぎになっていた。
署近くの路上に置きっぱなしになっていた大八車を不審に思った警官が、かぶせてあった布を取ると大八に張り付けに縛られていた警官の死体があったからだ。
そしてその額と心臓にはクナイが突き刺さっていた。
今時クナイなど使う者など限られている、ということで早速翁が呼び出された。
翁はそれが操の物だと一目見て分かり、正直に警察に話した。
と、同時に操が決して警官を殺すなどということをする娘ではない事を全力で伝え大急ぎで葵屋へ戻った。
警察署長が志々雄の件がらみで翁が長州の英雄、緋村抜刀斉ご贔屓の葵屋の者だと知っていなければ政府役人に対する反逆罪で捕まっていたかもしれなかったので翁といえども冷や汗ものだった。
しかしこのことは単に操が怪しい外出をしているということだけではなく操に何かあったことを暗に知らしめていた。
「皆の衆!操の一大事じゃ!!」
翁は戻るやいなや、武尊がびっくりするほどの大きな声で他の四人に集合をかけたのだった。
「翁!どうしたの!」
「翁!」
黒・白・お近、お増がすぐに集まった。
武尊も何事かと集合部屋の一番後ろの角で翁の話を聞こうとし、翁もあえて武尊を部外者だからと追い払うようなことをしなかった。
「うむ、どうやら操の身に何かあったのは確かじゃ。呼ばれて警察に行ってきたんじゃが・・」
と、翁は警察で見て来た警官の死体の事を皆に話した。
「下手人はお嬢のクナイを使って俺達御庭番衆に濡れ衣をかけるつもりだったんだな。」
「誰が何の為にこんなことをしたのか分からないけれど、とにかく操ちゃんを探さないと・・。」
と、皆の意見は一致していた。
「蒼紫様は・・?」
御庭番衆一番の頼り、肝心かなめの蒼紫の姿がないことにお増が翁に聞いた。
別に蒼紫が翁にわざわざ操を探しに行ってくると言ったわけではないが、朝の操の様子を見ていた蒼紫がこの場にいないということはすでに操の捜索に行っているということは翁には分かっていた。
武尊だけがこの場にいることもそれを裏づける証拠だと翁は確信していた。
「蒼紫はいち早く操を探しに出とるわ。手がかりはないが一先ず探しに行くぞ。そして申の刻に一旦集合じゃ、よいな、かかれ!」
翁の言葉に皆一斉に姿を消した。
それを確認した翁も部屋を出ようとしたがその前にちらっと武尊の方を振り返ったので武尊も、
「私も行きます!」
と申し出た。
こうなったらもう九条がどうのとか言っている場合ではない。
申の刻といえばまだ日暮れ前。
いくらなんでも人の多い京都の街中ではそう簡単に襲ってこれないだろうという思いもあったし、今の健康状態はバッチリなので武尊は九条の手下なんかには負けないという気持ちもあったからだ。
翁は武尊が蒼紫から葵屋を出るなと言われていることを知らないこともあり、
「身内の醜態を晒すようで申し訳ないようじゃが、ここはすまんが一つ頼むぞ土岐君、今は一人でも人手が欲しい時じゃ。」
「警察にも捜索を頼んではいかがでしょうか。」
「すでに別の意味で捜索されとるがな・・犯人としてな。じゃから何としても警察よりも早く儂らの手で探す!」
翁はグッと握りこぶしを握ると武尊が見たこともないような怖い顔つきで怒りを露わにし部屋を出て行った。
(うわ・・あれが西の翁の真の顔?・・怖っ・・。)
最初は操を翁の孫だと勘違いした武尊。
たとえ本当の孫でなくてもどれくらい翁が操を大事にしているか傍にいるだけで分かる。
武尊は少し遠い目をして操をうらやましく思った。
同じ保護者でも自分の保護者だと思っていた男は自分をあくまでも自分の名声と研究の対象としてしか見ていなかった事をフッと思い出したからだ。
そう思うと愛を一杯受けて育てられた操を武尊は絶対守りたいと思った。
操を一刻も早く探し出さなければと思い武尊は立ち上がったところで足が止まった。
宛てもなくただ闇雲に探して果たして操は見つかるのだろうか?
京都探索方のように京の街の裏まで熟知しているわけではない。
武尊は何かヒントはないかと最近の操の言葉を思い返した。
吸血鬼の話にあんなに熱心だったよね・・と、熱弁する操の姿が武尊の脳裏によみがえった。
そして、ふと思いついたのだった。
武尊騒ぎのあった鴨川、死体を投げ込めば当然下流に流れ着く・・ということを。
「まさかそれに気づいて・・川上に向かった・・とか?」
鴨川の上流は志々雄のアジトにつながる。
そこで見てはいけないものを見てしまって捕まってクナイを取られてしまったのかもしれない・・と武尊は勝手に想像した。
操だってそれなりの身体能力がある事は武尊も知っている。
その操を捕らえてしまうとは相手もその辺のチンピラではないということだ。
(まさか九条の手下?)
時尾を狙ったあの容赦ない手口を武尊は思い出す。
自分だってまだ迷いがある。
けれども相手が自分を本気で殺す気で立ち向かってきた場合、よほど力量に差があり場数をふんでない限りは自分が不利になる可能性が高い。
操にそんな戦闘経験なんてないはずだと武尊は直観した。
(まずいな・・。)
勝手な想像でもやもやする胸を武尊はぎゅっと押さえた。
九条が相手なら人一人殺すことなんか何とも思わないだろうと考えると一刻も早くアジトを確かめなければと武尊は思った。
(もしかすると、ってこともあるし・・急がなきゃ!)
アジトの事を葵屋の誰かに伝えたかったけれどもすでに誰もいない。
蒼紫も帰って来てない。
武尊は、あ~っと地団駄を踏んだが気持ちが急いていて、何も書置きせずにすっ飛んで行った。
裏口から出て、表の葵屋の入り口を武尊が見た時、そこには張り紙がしてあった。
『本日まことに勝手ながら休ませていただきます。~葵屋』
それを見て武尊は、
(わ、この太い字は黒さんかな?仕事早やっ!)
と急ぐなかにもそんな事を思ってしまうのは武尊の性格だった。
署近くの路上に置きっぱなしになっていた大八車を不審に思った警官が、かぶせてあった布を取ると大八に張り付けに縛られていた警官の死体があったからだ。
そしてその額と心臓にはクナイが突き刺さっていた。
今時クナイなど使う者など限られている、ということで早速翁が呼び出された。
翁はそれが操の物だと一目見て分かり、正直に警察に話した。
と、同時に操が決して警官を殺すなどということをする娘ではない事を全力で伝え大急ぎで葵屋へ戻った。
警察署長が志々雄の件がらみで翁が長州の英雄、緋村抜刀斉ご贔屓の葵屋の者だと知っていなければ政府役人に対する反逆罪で捕まっていたかもしれなかったので翁といえども冷や汗ものだった。
しかしこのことは単に操が怪しい外出をしているということだけではなく操に何かあったことを暗に知らしめていた。
「皆の衆!操の一大事じゃ!!」
翁は戻るやいなや、武尊がびっくりするほどの大きな声で他の四人に集合をかけたのだった。
「翁!どうしたの!」
「翁!」
黒・白・お近、お増がすぐに集まった。
武尊も何事かと集合部屋の一番後ろの角で翁の話を聞こうとし、翁もあえて武尊を部外者だからと追い払うようなことをしなかった。
「うむ、どうやら操の身に何かあったのは確かじゃ。呼ばれて警察に行ってきたんじゃが・・」
と、翁は警察で見て来た警官の死体の事を皆に話した。
「下手人はお嬢のクナイを使って俺達御庭番衆に濡れ衣をかけるつもりだったんだな。」
「誰が何の為にこんなことをしたのか分からないけれど、とにかく操ちゃんを探さないと・・。」
と、皆の意見は一致していた。
「蒼紫様は・・?」
御庭番衆一番の頼り、肝心かなめの蒼紫の姿がないことにお増が翁に聞いた。
別に蒼紫が翁にわざわざ操を探しに行ってくると言ったわけではないが、朝の操の様子を見ていた蒼紫がこの場にいないということはすでに操の捜索に行っているということは翁には分かっていた。
武尊だけがこの場にいることもそれを裏づける証拠だと翁は確信していた。
「蒼紫はいち早く操を探しに出とるわ。手がかりはないが一先ず探しに行くぞ。そして申の刻に一旦集合じゃ、よいな、かかれ!」
翁の言葉に皆一斉に姿を消した。
それを確認した翁も部屋を出ようとしたがその前にちらっと武尊の方を振り返ったので武尊も、
「私も行きます!」
と申し出た。
こうなったらもう九条がどうのとか言っている場合ではない。
申の刻といえばまだ日暮れ前。
いくらなんでも人の多い京都の街中ではそう簡単に襲ってこれないだろうという思いもあったし、今の健康状態はバッチリなので武尊は九条の手下なんかには負けないという気持ちもあったからだ。
翁は武尊が蒼紫から葵屋を出るなと言われていることを知らないこともあり、
「身内の醜態を晒すようで申し訳ないようじゃが、ここはすまんが一つ頼むぞ土岐君、今は一人でも人手が欲しい時じゃ。」
「警察にも捜索を頼んではいかがでしょうか。」
「すでに別の意味で捜索されとるがな・・犯人としてな。じゃから何としても警察よりも早く儂らの手で探す!」
翁はグッと握りこぶしを握ると武尊が見たこともないような怖い顔つきで怒りを露わにし部屋を出て行った。
(うわ・・あれが西の翁の真の顔?・・怖っ・・。)
最初は操を翁の孫だと勘違いした武尊。
たとえ本当の孫でなくてもどれくらい翁が操を大事にしているか傍にいるだけで分かる。
武尊は少し遠い目をして操をうらやましく思った。
同じ保護者でも自分の保護者だと思っていた男は自分をあくまでも自分の名声と研究の対象としてしか見ていなかった事をフッと思い出したからだ。
そう思うと愛を一杯受けて育てられた操を武尊は絶対守りたいと思った。
操を一刻も早く探し出さなければと思い武尊は立ち上がったところで足が止まった。
宛てもなくただ闇雲に探して果たして操は見つかるのだろうか?
京都探索方のように京の街の裏まで熟知しているわけではない。
武尊は何かヒントはないかと最近の操の言葉を思い返した。
吸血鬼の話にあんなに熱心だったよね・・と、熱弁する操の姿が武尊の脳裏によみがえった。
そして、ふと思いついたのだった。
武尊騒ぎのあった鴨川、死体を投げ込めば当然下流に流れ着く・・ということを。
「まさかそれに気づいて・・川上に向かった・・とか?」
鴨川の上流は志々雄のアジトにつながる。
そこで見てはいけないものを見てしまって捕まってクナイを取られてしまったのかもしれない・・と武尊は勝手に想像した。
操だってそれなりの身体能力がある事は武尊も知っている。
その操を捕らえてしまうとは相手もその辺のチンピラではないということだ。
(まさか九条の手下?)
時尾を狙ったあの容赦ない手口を武尊は思い出す。
自分だってまだ迷いがある。
けれども相手が自分を本気で殺す気で立ち向かってきた場合、よほど力量に差があり場数をふんでない限りは自分が不利になる可能性が高い。
操にそんな戦闘経験なんてないはずだと武尊は直観した。
(まずいな・・。)
勝手な想像でもやもやする胸を武尊はぎゅっと押さえた。
九条が相手なら人一人殺すことなんか何とも思わないだろうと考えると一刻も早くアジトを確かめなければと武尊は思った。
(もしかすると、ってこともあるし・・急がなきゃ!)
アジトの事を葵屋の誰かに伝えたかったけれどもすでに誰もいない。
蒼紫も帰って来てない。
武尊は、あ~っと地団駄を踏んだが気持ちが急いていて、何も書置きせずにすっ飛んで行った。
裏口から出て、表の葵屋の入り口を武尊が見た時、そこには張り紙がしてあった。
『本日まことに勝手ながら休ませていただきます。~葵屋』
それを見て武尊は、
(わ、この太い字は黒さんかな?仕事早やっ!)
と急ぐなかにもそんな事を思ってしまうのは武尊の性格だった。