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238.吸血鬼の正体 (蒼紫・斎藤・葵屋一同・夢主・操・観柳)
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斎藤は蒼紫が自分の方へと向かって来るのを確認すると横目で蒼紫を見据えながらクルリと向きを変え歩き出した。
そして少し先の橋のたもとの柱の傍で煙草をすいながら・・蒼紫を待った。
近づいてくるその姿を見て斎藤は忌々しさが込み上げる。
あの日・・武尊と斎藤が船で再開した日、最初武尊は斎藤を本気で拒んだ。
その原因がこの男だと思うと斎藤は怒りが沸々と胸の内に湧き上がる。
その後自分の努力により武尊の心を改心させることが出来たので良かったと思うものの、やはり寝取られたことを思うと自然と眉間のしわが深くなる。
更に言うと、自分の刀を人質(物質?)に武尊を葵屋に呼び寄せているのもすでに承知で、いったい今頃どんな顔で武尊が葵屋で過ごしているのかと思うと、吸っている煙草が一気に短くなる。
「何だ、小料理屋の若旦那というのは朝から出歩くほど暇というわけか。」
斎藤は蒼紫が十分近づいたのを見計らい、薄い笑みを浮かべながら毒づいた。
「殺気を飛ばしたのはお前だろう。俺に言いたいことがあるなら言え。」
「別に。お前が勝手に来ただけだ。」
そう言って斎藤は短くなった煙草を落とし、足で踏みつけ、ポケットから出した煙草を新たにくわえた。
斎藤が何も言わないので蒼紫は、
「ではこちらから言わせてもらおう。何故お前が京都にいるのか・・そんなことには興味はないが、もし今日巡察で操を見かたのなら教えて欲しい。」
と言った。
【欲しい】と言ったのは蒼紫の最大級譲歩の言葉使いだった。
斎藤はそれに少し気を良くしたのかようやく煙草に火を付け、
「今日は見てないが昨日野次馬の中に紛れ込んでいるのは見たな。そして俺の部下の後をひょいひょいついて行ったようだがその後は知らん。勝手に首を突っ込まれても責任はとれんぞ。
そしてこれだけは言っておく、俺の仕事の邪魔をするな。」
と言い、煙草を指で挟み蒼紫を指さした。
その指先に、そして斎藤に目を静かにやった蒼紫は、
「・・何処だ、その警官が向かったのは。」
「フッ、その言いぐさからすると本当にイタチ娘の余計な詮索が始まったか。阿呆な小娘の行先など俺が知るわけがないだろうが。」
「俺はその警官の行先を聞いている・・。」
「聞いてどうする、これは職務上の秘密だ。お前に勝手に動かれて作戦に支障が出ると困るんでな。」
九条は思った以上に狡猾な男だ。
函館では替え玉まで用意し斎藤や永倉ほどの男を翻弄した。
とはいえ、北海道から逃亡するのは当初の計画になかったはずだ。
となればどこか隙ができるはず。
その機会を逃さない為にも奴に警察の動きを気付かれてはまずいのだ。
口を開きそうにない斎藤だったが蒼紫にも考えはあった。
「操もああ見えても御庭番衆の一員、その実力はお前も小舟の上で見ていたはずだ。だが今は操の居場所に関し情報がどうしても必要だ・・邪魔をされたくないんだろう?ならば情報交換というのはどうだ。」
「情報交換だと?」
意外な蒼紫の提案に斎藤はいささか驚いた。
警察署長は御庭番衆にも協力を頼んだと言っていたがまさかその件に関してのことなのかと斎藤は推測もしたが蒼紫の出方を待った。
「嗚呼・・志々雄のアジトの事だ。」
「ほう・・それがどうした。」
斎藤の言葉からはまだそれに興味があるのかどうかは分からない。
人相が悪い男達がいるという事実は行けば誰にでも分かることで、だからどうしたと言われかねない。
「此処から先の話は操のことを聞いてからだ。」
「それくらいの話が何の情報になる。こっちはややこしさで言えば志々雄以上かもしれないんだがな。」
斎藤がそう言うのももっともだ。
だが駆け引きはここからだと蒼紫は思った。
「あそこは今何者かが使用している。お前も分かると思うがあのような処をまともな奴が使うとも思えん。」
「確かにそうだな。最後の爆発によってほぼ壊滅した不便な場所を使う奴はよほど世間から身を隠したい奴らか。だが所詮小悪党が集まろうが・・。」
と言いかけて斎藤は口を閉ざした。
所詮小悪党がいくら集まろうが暇つぶしぐらいにしかならないと言おうとして斎藤は顔をあげ川上の方を見つめた。
(ちょっと待て・・鴨川を遡るとあのアジトにつながるな・・。)
考えなくとも分かる事だが何故気が付かなかったのかと斎藤は思った。
殺害場所はそのアジト。
その後死体を川に投げ込げこめば流れて来て当然という可能性は否定出来ない。
そこが殺害現場だという証拠はなかったが、斎藤のただならぬ勘が怪しいと警告を鳴らしていた。
一方、蒼紫も斎藤の視線でハッとした。
今までは九条とアジトの関係ばかりを考えていたが、そこに京都で見た観柳の部下の顔がよぎったのだった。
先ほど死体になっていた観柳の元部下がアジトで働いており、何等かの理由で殺されたとしたら理由がつく。
武尊にも言われたがアジトの件は斎藤が足を運ぶように伝えなければならない。
「俺が知っている情報は、そのアジトと内務省社寺局の九条という役人が絡んでいるということだ。」
「!!」
斎藤の細い目が一瞬クッっと更に細くなった。
蒼紫はその変化を見逃すはずがない。
単なる情報提供だけして警察に任せようと思っていた蒼紫だったが斎藤に確認すべきことが出来てしまった。
「まさか・・お前が追っているのは九条なのか。」
そして少し先の橋のたもとの柱の傍で煙草をすいながら・・蒼紫を待った。
近づいてくるその姿を見て斎藤は忌々しさが込み上げる。
あの日・・武尊と斎藤が船で再開した日、最初武尊は斎藤を本気で拒んだ。
その原因がこの男だと思うと斎藤は怒りが沸々と胸の内に湧き上がる。
その後自分の努力により武尊の心を改心させることが出来たので良かったと思うものの、やはり寝取られたことを思うと自然と眉間のしわが深くなる。
更に言うと、自分の刀を人質(物質?)に武尊を葵屋に呼び寄せているのもすでに承知で、いったい今頃どんな顔で武尊が葵屋で過ごしているのかと思うと、吸っている煙草が一気に短くなる。
「何だ、小料理屋の若旦那というのは朝から出歩くほど暇というわけか。」
斎藤は蒼紫が十分近づいたのを見計らい、薄い笑みを浮かべながら毒づいた。
「殺気を飛ばしたのはお前だろう。俺に言いたいことがあるなら言え。」
「別に。お前が勝手に来ただけだ。」
そう言って斎藤は短くなった煙草を落とし、足で踏みつけ、ポケットから出した煙草を新たにくわえた。
斎藤が何も言わないので蒼紫は、
「ではこちらから言わせてもらおう。何故お前が京都にいるのか・・そんなことには興味はないが、もし今日巡察で操を見かたのなら教えて欲しい。」
と言った。
【欲しい】と言ったのは蒼紫の最大級譲歩の言葉使いだった。
斎藤はそれに少し気を良くしたのかようやく煙草に火を付け、
「今日は見てないが昨日野次馬の中に紛れ込んでいるのは見たな。そして俺の部下の後をひょいひょいついて行ったようだがその後は知らん。勝手に首を突っ込まれても責任はとれんぞ。
そしてこれだけは言っておく、俺の仕事の邪魔をするな。」
と言い、煙草を指で挟み蒼紫を指さした。
その指先に、そして斎藤に目を静かにやった蒼紫は、
「・・何処だ、その警官が向かったのは。」
「フッ、その言いぐさからすると本当にイタチ娘の余計な詮索が始まったか。阿呆な小娘の行先など俺が知るわけがないだろうが。」
「俺はその警官の行先を聞いている・・。」
「聞いてどうする、これは職務上の秘密だ。お前に勝手に動かれて作戦に支障が出ると困るんでな。」
九条は思った以上に狡猾な男だ。
函館では替え玉まで用意し斎藤や永倉ほどの男を翻弄した。
とはいえ、北海道から逃亡するのは当初の計画になかったはずだ。
となればどこか隙ができるはず。
その機会を逃さない為にも奴に警察の動きを気付かれてはまずいのだ。
口を開きそうにない斎藤だったが蒼紫にも考えはあった。
「操もああ見えても御庭番衆の一員、その実力はお前も小舟の上で見ていたはずだ。だが今は操の居場所に関し情報がどうしても必要だ・・邪魔をされたくないんだろう?ならば情報交換というのはどうだ。」
「情報交換だと?」
意外な蒼紫の提案に斎藤はいささか驚いた。
警察署長は御庭番衆にも協力を頼んだと言っていたがまさかその件に関してのことなのかと斎藤は推測もしたが蒼紫の出方を待った。
「嗚呼・・志々雄のアジトの事だ。」
「ほう・・それがどうした。」
斎藤の言葉からはまだそれに興味があるのかどうかは分からない。
人相が悪い男達がいるという事実は行けば誰にでも分かることで、だからどうしたと言われかねない。
「此処から先の話は操のことを聞いてからだ。」
「それくらいの話が何の情報になる。こっちはややこしさで言えば志々雄以上かもしれないんだがな。」
斎藤がそう言うのももっともだ。
だが駆け引きはここからだと蒼紫は思った。
「あそこは今何者かが使用している。お前も分かると思うがあのような処をまともな奴が使うとも思えん。」
「確かにそうだな。最後の爆発によってほぼ壊滅した不便な場所を使う奴はよほど世間から身を隠したい奴らか。だが所詮小悪党が集まろうが・・。」
と言いかけて斎藤は口を閉ざした。
所詮小悪党がいくら集まろうが暇つぶしぐらいにしかならないと言おうとして斎藤は顔をあげ川上の方を見つめた。
(ちょっと待て・・鴨川を遡るとあのアジトにつながるな・・。)
考えなくとも分かる事だが何故気が付かなかったのかと斎藤は思った。
殺害場所はそのアジト。
その後死体を川に投げ込げこめば流れて来て当然という可能性は否定出来ない。
そこが殺害現場だという証拠はなかったが、斎藤のただならぬ勘が怪しいと警告を鳴らしていた。
一方、蒼紫も斎藤の視線でハッとした。
今までは九条とアジトの関係ばかりを考えていたが、そこに京都で見た観柳の部下の顔がよぎったのだった。
先ほど死体になっていた観柳の元部下がアジトで働いており、何等かの理由で殺されたとしたら理由がつく。
武尊にも言われたがアジトの件は斎藤が足を運ぶように伝えなければならない。
「俺が知っている情報は、そのアジトと内務省社寺局の九条という役人が絡んでいるということだ。」
「!!」
斎藤の細い目が一瞬クッっと更に細くなった。
蒼紫はその変化を見逃すはずがない。
単なる情報提供だけして警察に任せようと思っていた蒼紫だったが斎藤に確認すべきことが出来てしまった。
「まさか・・お前が追っているのは九条なのか。」