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206.イキサツ(3) (斎藤・夢主)
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コリコリ、ハムハムと斎藤に耳を噛まれ武尊は悶えた。
「やめて~、はじっ・・めっ!そこだめーっ!」
息を荒げて足をバタつかし武尊は斎藤に乞うた。
斎藤は少しそれを楽しんだ後、フンと鼻で笑って口を放した。
「喋る気になったか。」
斎藤は武尊の身体をがんじがらめにしていた腕を緩めて聞いた。
武尊はようやく斜め後ろに振り返ることが出来きキッと斎藤の顔を見上げた。
斎藤はそんな武尊の視線をものともせずニヤリと目で笑った。
斎藤の目が早く話せと催促している。
むきーっとした武尊は口を開きかけたがその時自分が何故この船に乗り込むはめになったか、その原因を走馬灯のように思い返していた。
事の始まりは会津へ行く前に突然神谷道場へ現れた山本少尉から始まったのだ。
そして海軍省トップの川村海軍卿から直々とも言える今回の依頼。
他言無用の海軍の事情。
富国強兵の一端である武尊の買い付けをいち民間人に託すのはある意味海軍の恥であるかもしれないし武器入手の裏側をやすやすと言うべきではないと武尊は思った。
これは自分と海軍の契約で斎藤は関係ないと。
(でも・・。)
と武尊は斎藤を見つめた。
「何だ、何を思っている。」
「女・・ってやっぱり口が軽いのかな、だから遊郭って情報源になるのかな。」
「いきなり何が言いたい。」
「私は口が軽い女にはなりたくないんだけど・・。」
斎藤は真面目な武尊の顔を見て言った。
「ならばそれが武尊の判断で俺に言った方がいいのか良くないのか少し時間をやるから考えろ。」
武尊は斎藤が時間をやると言うとは思いもよらず、正直驚いた。
武尊が黙り考えている間、斎藤も黙って武尊を見守った。
武尊は『ねぇ。』と斎藤に目で訴えてから
「私は・・この船に乗って銃の勝負をするはずだった・・。」
と言った。
そしてゆっくりと話し始めた。
「・・一が神谷道場での用事を済ませてとっとと東京を離れろって言った事もあって私は会津に行く準備を終えると神谷道場へ行ったの。」
斎藤は黙って目で頷いた。
そしてその目がそれでどうしたのだと聞いている。
武尊はそれを見るとまた口を開いた。
「だけど緋村さんとは上手く話しが出来ずに帰ろうとした矢先に海軍少尉が一人神谷道場へやって来て私を訪ねて来たの。目的は今日のこの日の為に。」
「それが銃での勝負というわけか。」
「うん、あの夜会の時私が銃を撃ったことを他の人から聞いたんだって。」
斎藤は川路が何と言おうともやはり武尊を夜会に行かせるべきではなかったと今更ながら思った。
紛うことなく反乱将校の額のど真ん中を打ちぬいた武尊の銃。
あの事件の結果、武尊の存在を多くの人が知ることになったからだ。
斎藤は僅かに怒りの感情を漏らしながら、
「何を賭けた。」
と言った。
「・・言えない。それが海軍との約束だもの。」
「海軍か、フッ、それだけ知れば何が目的かだいたい検討はつく。」
「えっ!?」
「何も驚くことはないだろう。これは商船だ。まさか毛皮を買うのにそれほどまで武尊の腕を必要とする訳などあるはずない。おおかた武器でも買う算段だったんだろ。」
武尊がうっ、図星!と思っていると斎藤は片方の手で武尊の鼻を摘まんで軽く左右に振った。
フギーッと猫が毛を逆立てるように慌てる武尊に斎藤は、
「阿呆が、お前はすぐ顔にでる。」
と言い手を放した。
斎藤の鋭い思考と突っ込みに何も言えず武尊は悔しそうに小さくぅーと唸った。
「・・黙ってても意味なかった。」
「俺に隠し事は無駄だと言っただろ。くぐった修羅場の数が違うんだよ。」
「それはっ!・・・分かるけどぉ・・。」
きっとその通りだと武尊は思うと何も言えなかった。
「で、何の武器だ。」
斎藤にそう聞かれて武尊はかわいい眼で斎藤を見た。
「ふん、それで黙秘を貫こうというのなら無駄なことだ。・・それとも俺にいじられたいのか?」
その言葉にぞくっときた武尊は反射的に首を横に振り、
「いじられたくない!黙秘なんてそこまでバレてたら隠している意味ない!新型の拳銃だよ!短筒!これでいいでしょ、放してよー!」
「折角の再会だというのに俺から離れたいのか?」
興奮してばたつく武尊に斉藤がそういうと武尊はしゅんとおとなしくなった。
「・・離れたくない。」
「なら大人しくしていろ。」
「だって一がいたずらするんだもん。」
「悪戯だと?これは可愛がっているというんだ。それとも真面目に尋問してほしいのか?」
斎藤が真面目な顔で武尊に言うと武尊は言葉が出てこなかった。
ふっと脳裏をかすめたのは鷹が鬼の新撰組副長に拷問されて死んだ場面。
まさか自分にはそんなことはしないよねと思いつつもあの場に斉藤もいたのだ。
不安が武尊の胸をよぎった。
身も心も斎藤に受け渡している武尊だが、一ヶ月も離れていた所為か感じることがある。
先程から時々皮膚がピリリとするくらいの空気を斎藤から感じていた。
武尊の本能が武尊に囁く・・敵に回せば間違いなく怖い男だという事を。
急に喉が渇いたような感じがして口をぱくぱくさせた武尊に斉藤は更に言った。
「で、短筒の買付のためにこの船に来たのは分かったが肝心の海軍奴らの姿が見えないがどこにいる。」
「え?山本少尉なら船を下りたよ。オンナスキーが『短筒は売らない』って言ったから。」
「つじつまが合わんな、交渉が成り立たんのなら武尊もここにいる必要はないはずじゃないのか。」
「うん、それがね、山本少尉ったらそれでは困るからもっとお金を出すって言って、海軍上層部に掛け合うからオンナスキーに待っててくれって言って私を身代わりにおいて行ったの。」
「フン、武尊は人質扱いか。」
「みたいだね。だけど別室で待っていたら船がいきなり動き出したからもうびっくりしたのなんのって。慌ててデッキに出たら霧だし・・。」
「そこで俺達は再会したというわけだ。」
「うん・・。」
武尊はもう少し身体をねじって斉藤を見た。
もっと斉藤の顔が見たかったから。
斎藤は武尊の眼差しに厳しい目を和らげ大きな手で武尊の髪をくしゃりと撫でた。
「やめて~、はじっ・・めっ!そこだめーっ!」
息を荒げて足をバタつかし武尊は斎藤に乞うた。
斎藤は少しそれを楽しんだ後、フンと鼻で笑って口を放した。
「喋る気になったか。」
斎藤は武尊の身体をがんじがらめにしていた腕を緩めて聞いた。
武尊はようやく斜め後ろに振り返ることが出来きキッと斎藤の顔を見上げた。
斎藤はそんな武尊の視線をものともせずニヤリと目で笑った。
斎藤の目が早く話せと催促している。
むきーっとした武尊は口を開きかけたがその時自分が何故この船に乗り込むはめになったか、その原因を走馬灯のように思い返していた。
事の始まりは会津へ行く前に突然神谷道場へ現れた山本少尉から始まったのだ。
そして海軍省トップの川村海軍卿から直々とも言える今回の依頼。
他言無用の海軍の事情。
富国強兵の一端である武尊の買い付けをいち民間人に託すのはある意味海軍の恥であるかもしれないし武器入手の裏側をやすやすと言うべきではないと武尊は思った。
これは自分と海軍の契約で斎藤は関係ないと。
(でも・・。)
と武尊は斎藤を見つめた。
「何だ、何を思っている。」
「女・・ってやっぱり口が軽いのかな、だから遊郭って情報源になるのかな。」
「いきなり何が言いたい。」
「私は口が軽い女にはなりたくないんだけど・・。」
斎藤は真面目な武尊の顔を見て言った。
「ならばそれが武尊の判断で俺に言った方がいいのか良くないのか少し時間をやるから考えろ。」
武尊は斎藤が時間をやると言うとは思いもよらず、正直驚いた。
武尊が黙り考えている間、斎藤も黙って武尊を見守った。
武尊は『ねぇ。』と斎藤に目で訴えてから
「私は・・この船に乗って銃の勝負をするはずだった・・。」
と言った。
そしてゆっくりと話し始めた。
「・・一が神谷道場での用事を済ませてとっとと東京を離れろって言った事もあって私は会津に行く準備を終えると神谷道場へ行ったの。」
斎藤は黙って目で頷いた。
そしてその目がそれでどうしたのだと聞いている。
武尊はそれを見るとまた口を開いた。
「だけど緋村さんとは上手く話しが出来ずに帰ろうとした矢先に海軍少尉が一人神谷道場へやって来て私を訪ねて来たの。目的は今日のこの日の為に。」
「それが銃での勝負というわけか。」
「うん、あの夜会の時私が銃を撃ったことを他の人から聞いたんだって。」
斎藤は川路が何と言おうともやはり武尊を夜会に行かせるべきではなかったと今更ながら思った。
紛うことなく反乱将校の額のど真ん中を打ちぬいた武尊の銃。
あの事件の結果、武尊の存在を多くの人が知ることになったからだ。
斎藤は僅かに怒りの感情を漏らしながら、
「何を賭けた。」
と言った。
「・・言えない。それが海軍との約束だもの。」
「海軍か、フッ、それだけ知れば何が目的かだいたい検討はつく。」
「えっ!?」
「何も驚くことはないだろう。これは商船だ。まさか毛皮を買うのにそれほどまで武尊の腕を必要とする訳などあるはずない。おおかた武器でも買う算段だったんだろ。」
武尊がうっ、図星!と思っていると斎藤は片方の手で武尊の鼻を摘まんで軽く左右に振った。
フギーッと猫が毛を逆立てるように慌てる武尊に斎藤は、
「阿呆が、お前はすぐ顔にでる。」
と言い手を放した。
斎藤の鋭い思考と突っ込みに何も言えず武尊は悔しそうに小さくぅーと唸った。
「・・黙ってても意味なかった。」
「俺に隠し事は無駄だと言っただろ。くぐった修羅場の数が違うんだよ。」
「それはっ!・・・分かるけどぉ・・。」
きっとその通りだと武尊は思うと何も言えなかった。
「で、何の武器だ。」
斎藤にそう聞かれて武尊はかわいい眼で斎藤を見た。
「ふん、それで黙秘を貫こうというのなら無駄なことだ。・・それとも俺にいじられたいのか?」
その言葉にぞくっときた武尊は反射的に首を横に振り、
「いじられたくない!黙秘なんてそこまでバレてたら隠している意味ない!新型の拳銃だよ!短筒!これでいいでしょ、放してよー!」
「折角の再会だというのに俺から離れたいのか?」
興奮してばたつく武尊に斉藤がそういうと武尊はしゅんとおとなしくなった。
「・・離れたくない。」
「なら大人しくしていろ。」
「だって一がいたずらするんだもん。」
「悪戯だと?これは可愛がっているというんだ。それとも真面目に尋問してほしいのか?」
斎藤が真面目な顔で武尊に言うと武尊は言葉が出てこなかった。
ふっと脳裏をかすめたのは鷹が鬼の新撰組副長に拷問されて死んだ場面。
まさか自分にはそんなことはしないよねと思いつつもあの場に斉藤もいたのだ。
不安が武尊の胸をよぎった。
身も心も斎藤に受け渡している武尊だが、一ヶ月も離れていた所為か感じることがある。
先程から時々皮膚がピリリとするくらいの空気を斎藤から感じていた。
武尊の本能が武尊に囁く・・敵に回せば間違いなく怖い男だという事を。
急に喉が渇いたような感じがして口をぱくぱくさせた武尊に斉藤は更に言った。
「で、短筒の買付のためにこの船に来たのは分かったが肝心の海軍奴らの姿が見えないがどこにいる。」
「え?山本少尉なら船を下りたよ。オンナスキーが『短筒は売らない』って言ったから。」
「つじつまが合わんな、交渉が成り立たんのなら武尊もここにいる必要はないはずじゃないのか。」
「うん、それがね、山本少尉ったらそれでは困るからもっとお金を出すって言って、海軍上層部に掛け合うからオンナスキーに待っててくれって言って私を身代わりにおいて行ったの。」
「フン、武尊は人質扱いか。」
「みたいだね。だけど別室で待っていたら船がいきなり動き出したからもうびっくりしたのなんのって。慌ててデッキに出たら霧だし・・。」
「そこで俺達は再会したというわけだ。」
「うん・・。」
武尊はもう少し身体をねじって斉藤を見た。
もっと斉藤の顔が見たかったから。
斎藤は武尊の眼差しに厳しい目を和らげ大きな手で武尊の髪をくしゃりと撫でた。