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237.イタチ娘捕まる! (夢主・蒼紫・翁・操)
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九条の屋敷に兄がいるかもしれない、という武尊の微かな望みは蒼紫の報告により消えた。
残念ながら期待した隠し部屋などはなかったそうで、高価な舶来の調度品の他は場にそぐわぬごろつきやヤクザ風の者が多数・・という事だった。
しかし、自分が調べてきて欲しいとお願いしたことを自分に話してくれただけなのにと思うのだが蒼紫の顔は意外にも不快さが表れていた。
「何かあったの?」
思わずそう聞いた武尊に蒼紫は少し沈黙した後、
「・・どうやらあの屋敷の奴らは志々雄のアジトの人間と同じような部類の奴だと考えられるのだが・・屋敷の中に俺の知った顔の奴がいた。」
と蒼紫は言った。
武尊は蒼紫のその様子から少なくともそいつとはお友達ではなかったと推測した。
「・・誰?」
蒼紫の目を覗き込むように聞いた武尊に蒼紫は、
「かつて観柳の私兵団だった組長クラスの奴だ。奴らは観柳邸に緋村が突入した際、最後の最後で観柳を見捨てて警察の手から逃れた奴らだ。」
と軽蔑の語り口調でそう言った。
もとより観柳の手下だったという思いが欠片もない蒼紫はそう言い切った。
「・・まさかあいつらが九条の下にいるとはな。」
「類は友を呼ぶっていうか、悪い奴らはとことん集まるのね。どこからか(お金に)おいしい話でも聞きつけたのかな。」
「その様だな。」
「・・ちなみに蒼紫は観柳にいくらで雇われたの?」
ふと浮かんだ素朴な疑問。
青年実業家と言いつつも裏で阿片で金を作っていた大金持ちの武田観柳ならいくらで蒼紫を雇ったのだろうかと気になったのだ。
蒼紫は困った目をしてしばし無言の後に、
「五十円だ。」
と小さな声で言った。
「五十円!(斎藤さんでも三十円いかないのに!)」
武尊は思わず驚いて声を上げて蒼紫を見る視線に蒼紫は、
「子飼いのあいつら四人も入れての五十円だ。」
と、少しだけ言いわけのように言った。
それなら一人十円と少なくないかと考える武尊だったが蒼紫は武尊の思うことが気になるのか、
「住むところは与えられていたし食事もあった。俺達五人で五十円はそれなりだ。」
と言った。
武尊はうんうんと頷いて、
「ともかく色々ありがとう蒼紫。兄様は見つからなかったけど、九条が人手を集めてあのアジトで何かしているっていうことが分かっただけでも大収穫だよ・・」
と言っている最中に武尊はある可能性が閃いた。
思わず蒼紫の目を見た武尊は蒼紫がわずかにうなずくのを確認した。
「俺もそう思っていた。あそこ(洋館)にいないのならアジトの何処に幽閉されている可能性がなきにしも在らずだ。」
蒼紫の言うとおり人を閉じ込めておくなら山奥の方がいいに決まっている。
志々雄のアジトと九条が関係あるならば兄はそっちに捕らえられている可能性というのは十分考えられた。
「じゃあ・・。」
「待て。」
立ち上がろうとした武尊を蒼紫は制した。
「まさか今から行こうというのか。」
『でも・・』、と言いたそうな顔の武尊に蒼紫は更に言った。
「九条が京にいる間表に出るのはまずい。奴は必ず数日中に東京へ帰る、それまで待て。それにアジトの中はとても入り組んでいる。内部の図面を俺が描く。捜索はそれからだ・・もし捕らえられているとしても武尊が奴の手に捕まらなければ事態は動かん、武尊の兄の状況も変わるまい。」
「うん・・。」
蒼紫の言うことはもっともだ。
兄がもう目の前にいて、十六夜丸のことが聞けると考えるだけで気がはやるところを武尊はぐっと抑えては座りなおした。
「・・・。」
「・・・。」
話に一旦区切りがついたというか、妙な間があった所為なのか、蒼紫も武尊も違和感に沈黙した。
残念ながら期待した隠し部屋などはなかったそうで、高価な舶来の調度品の他は場にそぐわぬごろつきやヤクザ風の者が多数・・という事だった。
しかし、自分が調べてきて欲しいとお願いしたことを自分に話してくれただけなのにと思うのだが蒼紫の顔は意外にも不快さが表れていた。
「何かあったの?」
思わずそう聞いた武尊に蒼紫は少し沈黙した後、
「・・どうやらあの屋敷の奴らは志々雄のアジトの人間と同じような部類の奴だと考えられるのだが・・屋敷の中に俺の知った顔の奴がいた。」
と蒼紫は言った。
武尊は蒼紫のその様子から少なくともそいつとはお友達ではなかったと推測した。
「・・誰?」
蒼紫の目を覗き込むように聞いた武尊に蒼紫は、
「かつて観柳の私兵団だった組長クラスの奴だ。奴らは観柳邸に緋村が突入した際、最後の最後で観柳を見捨てて警察の手から逃れた奴らだ。」
と軽蔑の語り口調でそう言った。
もとより観柳の手下だったという思いが欠片もない蒼紫はそう言い切った。
「・・まさかあいつらが九条の下にいるとはな。」
「類は友を呼ぶっていうか、悪い奴らはとことん集まるのね。どこからか(お金に)おいしい話でも聞きつけたのかな。」
「その様だな。」
「・・ちなみに蒼紫は観柳にいくらで雇われたの?」
ふと浮かんだ素朴な疑問。
青年実業家と言いつつも裏で阿片で金を作っていた大金持ちの武田観柳ならいくらで蒼紫を雇ったのだろうかと気になったのだ。
蒼紫は困った目をしてしばし無言の後に、
「五十円だ。」
と小さな声で言った。
「五十円!(斎藤さんでも三十円いかないのに!)」
武尊は思わず驚いて声を上げて蒼紫を見る視線に蒼紫は、
「子飼いのあいつら四人も入れての五十円だ。」
と、少しだけ言いわけのように言った。
それなら一人十円と少なくないかと考える武尊だったが蒼紫は武尊の思うことが気になるのか、
「住むところは与えられていたし食事もあった。俺達五人で五十円はそれなりだ。」
と言った。
武尊はうんうんと頷いて、
「ともかく色々ありがとう蒼紫。兄様は見つからなかったけど、九条が人手を集めてあのアジトで何かしているっていうことが分かっただけでも大収穫だよ・・」
と言っている最中に武尊はある可能性が閃いた。
思わず蒼紫の目を見た武尊は蒼紫がわずかにうなずくのを確認した。
「俺もそう思っていた。あそこ(洋館)にいないのならアジトの何処に幽閉されている可能性がなきにしも在らずだ。」
蒼紫の言うとおり人を閉じ込めておくなら山奥の方がいいに決まっている。
志々雄のアジトと九条が関係あるならば兄はそっちに捕らえられている可能性というのは十分考えられた。
「じゃあ・・。」
「待て。」
立ち上がろうとした武尊を蒼紫は制した。
「まさか今から行こうというのか。」
『でも・・』、と言いたそうな顔の武尊に蒼紫は更に言った。
「九条が京にいる間表に出るのはまずい。奴は必ず数日中に東京へ帰る、それまで待て。それにアジトの中はとても入り組んでいる。内部の図面を俺が描く。捜索はそれからだ・・もし捕らえられているとしても武尊が奴の手に捕まらなければ事態は動かん、武尊の兄の状況も変わるまい。」
「うん・・。」
蒼紫の言うことはもっともだ。
兄がもう目の前にいて、十六夜丸のことが聞けると考えるだけで気がはやるところを武尊はぐっと抑えては座りなおした。
「・・・。」
「・・・。」
話に一旦区切りがついたというか、妙な間があった所為なのか、蒼紫も武尊も違和感に沈黙した。