※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
236.或る人の名 (蒼紫・夢主・影宮・観柳・操)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(何故九条が此処に!)
武尊も蒼紫と同じ思いで馬車を見送った。
九条が乗った馬車はそのまま岩の見張りの間を抜け奥へ入っていった。
どうやら岩の入り口は馬車がぎりぎり通れるくらい拡張されていたようだ。
馬車はそのまま更に奥へ進み少し先の広い場所を見下ろせる所で止まると、九条は馬車からゆっくり降り目の前の男ににこやかに話しかけた。
「やあ観柳さん、お久しぶりです。調子はいかがですか。」
「はい、すべては順調でございますよ。」
長年の癖なのだろうか、上の者に対しては無意識に手をすり合わせる動作をしながら観柳はニコニコと答えた。
そう、降りた九条を出迎えたのはあの武田観柳だった。
観柳は鍛冶橋監獄署から九条により助け出され、その代わりに九条の頼みを聞くことにしたのだ。
そこで住所兼仕事場としてこの場所を与えられたのだが、来てみて驚いた。
確かに山奥で不便な場所の穴ぐら。
だがそこにある調度品の多くは高級な物であり、何の為だか分からないがモールス信号機など最先端の物があり観柳を大いに感動させた。
更に言うと、自分に特別な個室が与えられ、そこにはキングサイズのベッドに真紅の羽二重の布団があった。
自尊心の高い観柳が満足しないわけがない。
「しかしまあ・・京都のこんな山奥にこんな秘密の工場を持つなんて。さすが影宮様・・。」
観柳が自分の与えられた処遇にニコニコしながらそういうと九条は、
「まあ、たまたまですよ。この場所はもともと比叡山の管轄でしてね・・。ちょっと前に無断である小悪党に拝借されてましたのを今は私が管理しているだけですよ。」
と目を細めて言った。
使えるものは人でも物でも有意義に使うというのは優れた経営者の考え方だが、その意味では九条もなかなかの手腕なのだろう。
「本当は私が此処へ来るのは来年の梅が咲くころだと思ってましたがいろんな事情で急きょお伺いすることになってしまいました・・
観柳さん、先ほどあなたは『順調』とおっしゃいましたね。あなたはまだ此処へ来てひと月ほどでしかありませんが、例の物・・いかほど進んでますか?」
「こんな所で立ち話も何でしょう、もしお時間があるのでしたら奥でお茶でもいかがでしょう。こんな場所ですが紅葉がきれいなところもあるんですよ。」
「そうですね、東京勤めですと次はいつ京都へ来れるか分からないですからね・・ぜひあなたお勧めのお茶でも頂くとしましょう。」
九条がそう返事を返すと観柳は手もみをしながら奥の客間へと案内したのだった。
武尊も蒼紫と同じ思いで馬車を見送った。
九条が乗った馬車はそのまま岩の見張りの間を抜け奥へ入っていった。
どうやら岩の入り口は馬車がぎりぎり通れるくらい拡張されていたようだ。
馬車はそのまま更に奥へ進み少し先の広い場所を見下ろせる所で止まると、九条は馬車からゆっくり降り目の前の男ににこやかに話しかけた。
「やあ観柳さん、お久しぶりです。調子はいかがですか。」
「はい、すべては順調でございますよ。」
長年の癖なのだろうか、上の者に対しては無意識に手をすり合わせる動作をしながら観柳はニコニコと答えた。
そう、降りた九条を出迎えたのはあの武田観柳だった。
観柳は鍛冶橋監獄署から九条により助け出され、その代わりに九条の頼みを聞くことにしたのだ。
そこで住所兼仕事場としてこの場所を与えられたのだが、来てみて驚いた。
確かに山奥で不便な場所の穴ぐら。
だがそこにある調度品の多くは高級な物であり、何の為だか分からないがモールス信号機など最先端の物があり観柳を大いに感動させた。
更に言うと、自分に特別な個室が与えられ、そこにはキングサイズのベッドに真紅の羽二重の布団があった。
自尊心の高い観柳が満足しないわけがない。
「しかしまあ・・京都のこんな山奥にこんな秘密の工場を持つなんて。さすが影宮様・・。」
観柳が自分の与えられた処遇にニコニコしながらそういうと九条は、
「まあ、たまたまですよ。この場所はもともと比叡山の管轄でしてね・・。ちょっと前に無断である小悪党に拝借されてましたのを今は私が管理しているだけですよ。」
と目を細めて言った。
使えるものは人でも物でも有意義に使うというのは優れた経営者の考え方だが、その意味では九条もなかなかの手腕なのだろう。
「本当は私が此処へ来るのは来年の梅が咲くころだと思ってましたがいろんな事情で急きょお伺いすることになってしまいました・・
観柳さん、先ほどあなたは『順調』とおっしゃいましたね。あなたはまだ此処へ来てひと月ほどでしかありませんが、例の物・・いかほど進んでますか?」
「こんな所で立ち話も何でしょう、もしお時間があるのでしたら奥でお茶でもいかがでしょう。こんな場所ですが紅葉がきれいなところもあるんですよ。」
「そうですね、東京勤めですと次はいつ京都へ来れるか分からないですからね・・ぜひあなたお勧めのお茶でも頂くとしましょう。」
九条がそう返事を返すと観柳は手もみをしながら奥の客間へと案内したのだった。