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234.紅葉の名所 (蒼紫・夢主)
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・・武尊、出かけるぞ
耳元でそんな声がする前に、耳に何かが触れた気がしたのは気のせいか。
ただ、耳に熱い息がかかったのは確実に自覚ができ、武尊は全身をぶるっと震わせたことで確実に目が覚めた。
「・・蒼紫っ!」
声の主を脳内で分析すると同時に目でその人物を見て確認した武尊は目を見開いて蒼紫を見た。
「昨日言った通り声をかけたぞ、準備が出来たら表で待っていろ。俺もすぐ行く。」
蒼紫の言葉に昨日の約束をはっと思い出して武尊はガバッと起きた。
蒼紫は珍しく武尊が困るような行動(じっと着替えを見つめる)などをせずすぐに武尊の部屋を出たので武尊は首をひねりながらも安心し、枕元の洋服に手を伸ばした。
「う、冷たい・・。」
室内の温度と同等の衣服は気合を入れて着替えないとヒンヤリなのだ。
武尊が支度をして表に出ると蒼紫は片手に風呂敷包を持ち、すでに待っていた。
「では行こう。」
夜明け前・・と言ってもまだすっかり夜だ。
星明りに慣れた生活だから何とか出かける用意は出来たものの夜明け前の一番冷える時間に何が悲しくて出かけないといけないのか。
しかも行先は教えてもらってない。
武尊は冷たい手をハァ~と息を吐き温めようとした。
蒼紫はそんな武尊を見て、
「すまないな、朝餉でも作くればよかったんだが俺の都合で黒達にあまり迷惑をかけたくないからな。寒いか。」
「ううん、大丈夫。私も黒さんたちに迷惑をかけたくないから。さあ、行こう。じっとしてると寒いよ。どっち?」
「こっちだ。」
蒼紫はそう言って武尊に手を差し出した。
「・・。」
この手は何を意味しているのだろうかと武尊は思ってしまう。
まさか、手をつなごうというのか?
蒼紫が?
武尊は疑いの目をもって蒼紫を上目遣いに見た。
すると蒼紫は、黙って武尊の手をさっと取り包むように握った。
そしてすぐに歩き出した・・まるで照れを隠すように。
「・・歩けばすぐに温まる。人目が気になるなら振りほどいていい。」
武尊は『あっ』という間もなく蒼紫に引っ張られるように歩いた。
蒼紫の指なし手袋から出た五指すべての美指はとても暖かかった。
一瞬ずっとこうやって温まっていたいと思った武尊だったが誰かに見られたらと思うと気が気ではなかった。
京都人は本当に噂が大好きなのだ。
あることないこと尾ひれをつけて言いまくるので武尊は目を凝らして周囲に気を付けた。
だが街中では運が良かったのか誰一人すれ違うことはなく、蒼紫の言った通り蒼紫の歩くスピードで歩くとあっという間に息が切れそうになり逆に汗ばんでくるぐらいのだった。
耳元でそんな声がする前に、耳に何かが触れた気がしたのは気のせいか。
ただ、耳に熱い息がかかったのは確実に自覚ができ、武尊は全身をぶるっと震わせたことで確実に目が覚めた。
「・・蒼紫っ!」
声の主を脳内で分析すると同時に目でその人物を見て確認した武尊は目を見開いて蒼紫を見た。
「昨日言った通り声をかけたぞ、準備が出来たら表で待っていろ。俺もすぐ行く。」
蒼紫の言葉に昨日の約束をはっと思い出して武尊はガバッと起きた。
蒼紫は珍しく武尊が困るような行動(じっと着替えを見つめる)などをせずすぐに武尊の部屋を出たので武尊は首をひねりながらも安心し、枕元の洋服に手を伸ばした。
「う、冷たい・・。」
室内の温度と同等の衣服は気合を入れて着替えないとヒンヤリなのだ。
武尊が支度をして表に出ると蒼紫は片手に風呂敷包を持ち、すでに待っていた。
「では行こう。」
夜明け前・・と言ってもまだすっかり夜だ。
星明りに慣れた生活だから何とか出かける用意は出来たものの夜明け前の一番冷える時間に何が悲しくて出かけないといけないのか。
しかも行先は教えてもらってない。
武尊は冷たい手をハァ~と息を吐き温めようとした。
蒼紫はそんな武尊を見て、
「すまないな、朝餉でも作くればよかったんだが俺の都合で黒達にあまり迷惑をかけたくないからな。寒いか。」
「ううん、大丈夫。私も黒さんたちに迷惑をかけたくないから。さあ、行こう。じっとしてると寒いよ。どっち?」
「こっちだ。」
蒼紫はそう言って武尊に手を差し出した。
「・・。」
この手は何を意味しているのだろうかと武尊は思ってしまう。
まさか、手をつなごうというのか?
蒼紫が?
武尊は疑いの目をもって蒼紫を上目遣いに見た。
すると蒼紫は、黙って武尊の手をさっと取り包むように握った。
そしてすぐに歩き出した・・まるで照れを隠すように。
「・・歩けばすぐに温まる。人目が気になるなら振りほどいていい。」
武尊は『あっ』という間もなく蒼紫に引っ張られるように歩いた。
蒼紫の指なし手袋から出た五指すべての美指はとても暖かかった。
一瞬ずっとこうやって温まっていたいと思った武尊だったが誰かに見られたらと思うと気が気ではなかった。
京都人は本当に噂が大好きなのだ。
あることないこと尾ひれをつけて言いまくるので武尊は目を凝らして周囲に気を付けた。
だが街中では運が良かったのか誰一人すれ違うことはなく、蒼紫の言った通り蒼紫の歩くスピードで歩くとあっという間に息が切れそうになり逆に汗ばんでくるぐらいのだった。